これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…
あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…
今回は近代建築の四大建築家と呼ばれている人です…近代建築史上、とても重要な考案をした人たちです…
彼らの仕事ぶりは大きな、例えばビルや街づくりなどで評価されますが、彼らは小さな「家」にも影響を与えました…あなたの「マイホーム計画」のためにもぜひ覚えて欲しい建築家たちです…
三大建築家と呼ばれるのは…
フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビジェ、ワルター・グロピウスの四人です…
今回はフランク・ロイド・ライトです…
ライトで思い浮かぶのは、あまりにも有名な「落水荘」です…正確には「カウフマン邸」です…
流れ落ちる滝の上に建つ「落水荘」の写真をあなたもどこかで見ているはずです…
場所はピッツバーグ近郊の山の中に富豪のカウフマンがライトに依頼した別荘です…1936年に建てられました…巨岩を縫うように流れる川と滝…そこに「落水荘」Fallingwater は建っています…
「にじり口」を思わせるような狭くてほの暗い入り口…天然の岩を生かした床に、その下を流れて滝になる川…もちろん家の中から流れに降りることもできます…広いテラスが張り出した建物はコンクリートの造形で窓枠などは鉄のサッシです…床は岩肌もそのまま使われ、リノリウムも貼ってあります…
写真で一見してもわかりますが、この広いテラスはカンチレバー(片持ち梁)で作られています…鉄筋コンクリートや鉄の強度がなければできない「家」です…この「家」は近代化を突き進むコンクリートと鉄の時代の「家」とも言えます…
調度品の家具はライト自身のデザインで、これらはこれまでライトが設計した家のすべてに共通しています…木でできたこれらの家具類は、大きなソファやテーブルだけではなく、照明器具や壁まですべてにわたり、ガラス窓は幾何学的な模様が施されたステンドグラスです…
ライトが「家」に求めたデザインの要素は「水平線の強調」でした…ことさら強調された軒の深さは微妙な日の移ろいを演出し…呼応するようにライトのインテリアが「自然」を感じさせます…彼はこうした「家」のすべての素材を現地で得られる石や木を使います…ここでは鉄平石の乱石積みです…ライトの設計の特徴です…日本では大谷石が多用されています…
水平線を強調した深い庇(ひさし)はアメリカの平原に低く合うようにと配慮されました…人間の営み=暮らしが自然と一体になるように…あるいは周囲の環境を壊さないようにと願った「家」です…
彼の「家」はこの水平の強調で平原を表すPrairieに似せたことで「プレイリー派」と呼ばれ、いわゆるライト派の建築の代名詞になります…
ライトを代表する「旧帝国ホテル」設計で横浜の港に着いたライトはそのブリッジから見渡す日本の家並みに感動したと言います…当時の平屋の屋根が連なる光景に大草原=プレイリーを連想したのかもしれません…
そういえば、狭くほの暗い入口とそこを抜けて広々と感じる居間(実際ここではやや低い天井)や何よりも滝の上にあること…そのこと自体が茶室的で、とても日本的な空間意識と言えそうです…日本には周囲の自然を景色に借りる「借景」という独特の方法があります…自然を大切に、その自然と一体化するように考えた日本独特の考えですが…ライトはさらに踏み込んで自然を建築で支配したようです…
「自然」と調和しようとする日本と、支配しようとする西洋の考え方の根本の差異かもしれません…
突き出した屋根と庇が水平を強調するので、鉄平石を積んだ暖炉の煙突や外壁の垂直も強調されます…
そして流れ落ちる滝は千に変わり万に変化して時間の移ろいを映し続けます…
川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず…鴨長明の「方丈記」の有名な一節が浮かびます…
森の中でそれも川辺にあればその湿気も半端ではないはずです…とても木の家では無理です…
コンクリートと鉄がこの「家」の建設を可能にしたと言えるでしょう…そのせいかカウフマン氏の子供たちは今も湿気と水漏れに悩まされます…あるいは絶え間のない水音にも悩まされているかもしれませんね?
それでもここにはライトが具現した、「家」の形の一つがあります…
彼は「落水荘」以前にも多くの「家」を作っています…有名な「ロビー邸」や「ジェイコブス邸」などは現存し今も多くの人々や「家」の愛好家たちを魅了します…いずれも「プレイリー派」の家です…
高い天井と林立する柱の間の植物の「ウイルソン本社」…ゆっくりと名画を鑑賞しながら歩いている間にビルを上り詰めている「グッゲンハイム美術館」など、ライトの名作は世界中にあります…日本でも先に挙げた「旧帝国ホテル」自由学園の「明日館」などでライト建築の名作を体験することができます…
また彼が自らデザインした、ソファーや照明器具などは今でもそのレプリカは「ライト」風と呼ばれて人気があります…あるいは「アールデコ」風であり、「ティファニー」にも似た色使いです…こうした手法の特徴は「家」作りに携わった大工=職人たちが参加していることです…専門的な造形や精緻な仕事ぶりはアメリカの「アーツアンドクラフト」Art's And Claft Movement 運動を現代にも伝えます…
機械的に生産される「家=暮らし」をアートと考え、時間をかけながらも「家」を創る…
今の時代だからこそ、こんな人間的な視点が「家」作りには必要かもしれません…
同時にこんな人間の根源的な欲求に応える大工=職人さんがもっと出てきてもいいのではないですか?
日本人は器用だと言います…だからこそ、と願うのは僕だけですか?
のちに彼はこのプレイリーのど真ん中に自身の設計事務所「タリヤセン」East をつくり、世界中の気鋭の設計家がここから巣立ちます…
ライト自身は日本の浮世絵の収集家であり、文化への造詣が深かったことでも有名です…
彼の建築が「自然」や「空間」を取り込んだのはとても「茶室的」です…それが今も僕たちを魅了するのかもしれません…「自然」や「空間」が意識できる「環境」が「家」にも必要だとすれば…
あらためて日本本来の「家」の文化と、暮らしのカタチを見つめ直すのもムダではなさそうです…!
ホントに「家」作りって難しいですね!
でもキーワードは「家=家族」のようです…そして「家=家族」は変容するものだということです…
ここまで読んでくれてありがとう!あなたのダンボの耳に届いたでしょうか…?
次は、ル・コルビジェです…こちらも「家」に影響を与えた人です!