これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい方に、読んでいただきたいブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…

 

 手元に一冊の本があります…もう本は随分とヨレて汚れているけれど!

本のタイトルは「ウオールデン・森の生活」または単に「ウオールデン」と言います…

原題は「 Wolden or Life in the Wood」 で…作者はヘンリー・デビッド・ソロー…

アメリカの博物学者で、作家で、詩人で、大工で、自然主義者で、今で言う環境保護の運動家です…

1817年7月12日にマサチューセッツ州のコンコード郊外に生まれました…

 

 マサチューセッツ州はニューイングランド地方でアメリカ独立運動の中心になったところです…それだけこの地域には独立心や自由への憧れが強くあります…例のカミツキガメへの対抗心など今も盛んです…

その州都ボストンに近いところにあるのが「ウオールデン湖」です…

 

 1845年、彼はこの湖のほとりの森の中に自力で小屋を建てます…それから2年2ヶ月を自給自足で暮らした記録がこの本です…

 

 彼は死ぬまでにたくさんの言葉を残しますが、その多くで「自然」の大切さを語り「自由」と「自立」を説きます…わけてもそんな言葉の集約のようなのがこの本です…僕たちの若いころの愛読書の一つであり、薄汚れている原因なんですが! もちろん多くの人たちに影響を与えたロングセラーです…

 

 今日言われるLOHAS=ロハスという言葉は…彼が説く「自然と人間と社会がいつまでも心地よく生きるために」Lifestyle of Health and Sustainability …の頭文字をとったもので、後年私たちの社会がこれを概念化したものです…

 彼は、自分の中の「自然」に感応するものを大事にし、「家=生活」はそうあるべきだと言います…

 

 彼はこの小屋を「家」Houseと呼んでいます…彼は「個=個人」の確立に「家」は欠かせないと主張します…事実彼の周囲1マイル(1,6キロ)四方には隣人もいませんでしが、その環境で木を伐採し古レンガを積み自力で小屋を建てます…全体は8畳ほどの大きさにマキ小屋、中はベッドと書き物や食事兼用の机に煮炊用のストーブだけという質素さです…これが彼の「家」です!

 

 日が暮れれば暗くなり夜明けとともに明るくなる時代…アメリカでも最も寒いこの地方…ここで彼は友人と呼ぶ遠くの森の大きな木に会いに行き、雪の上の小さな足跡を追い、まわりの木々が毎日色を変えてゆく姿を眺めながら、本を読み思索をします…

 

 彼にはそれが世界を知ることであり…先進であることであり、同時に哲学的なことでもあったのです…そんな彼の「個」を体現したのが「家=暮らし」でした…いつも彼の思索の中心にあったのが「自然」であり「社会=関わり」でした…「家=暮らし」が一人ぼっちではないということです…

 「家」があなたという「個」を持っているということも忘れてはいけません…!

 

 

「私が森で暮らすのは、暮らすということと真正面に向き合いたかったからです。生きる=暮らしに大事な事柄に目を向けて、本当は生きていなかったのではないかと死の間際に思いたくなかったからです…

暮らすことがどんなことなのか? それを私は学びたかったのです…嫌な暮らしを生きたいとは思いません…私は今を生きたいのです」…とソローは述べます!

 

 

 残念ながら今では町や都会にソローの時代のような森=自然はありません…町は明るくなり各エネルギーも格段に進歩しています…それでもあなたの暮らし=生活はあり、家族や子供たちへと受け継がれてゆきます…むしろ社会的な関係はより密接で煩雑なものになるはずです…でも失ってはいけない「暮らし方の自由」があります… 170年も前にこの本に提示された幾つかの真実が、あなたに暮らしの視点を提示してくれるはずです…!

 

 「家」と「暮らし」…結局は人の営みとは切り離せないものです…流行りの「断・捨・離」やミニマリストであることも、反対にモノにあふれて暮らすのもいいでしょう…今の都会はモノに溢れ魅惑的で誘惑的です…

 

 大切なのは暮らし方=生活の方法が「家」と「家族」にあるということです…それを考えるあなたの「マイホーム計画」も大変です…どうか「家」には人格があるということをわかってください…!

 

 

 彼の家=小屋には三脚の椅子がありました…「一つ目は私のために、二つ目は友人のために、そして三つ目はこの家に入りきらなかった沢山の友人ために」と言います…

 

 

 彼が遠くへ出かけている留守時でも友人が訪れます…そんな時たいていは木の葉っぱや幹をけずったメモで会いに来たことを告げ…彼もまた小屋に帰ってそれらを見てどんな友人が訪ねてきたのかわかったそうです…「友あり、遠方より来る。また楽しからずや」という名言があります…出典は孔子の「論語」!

 

 友人は生涯の宝です…どんなになっても友人が訪ねてくれるような「家」であることが実は人生でいちばん幸せでで楽しいことなのです…そんな時は「家」も笑いとても楽しそうです…若い頃から終生の友に恵まれることは人生を豊かにしてくれます…「マイホーム計画」のリストには良き友と出会うことも、ぜひ加えてください!…年寄りになり、たとえぼろ家になっても友人があなたを孤独から救ってくれるはずです

 そう、三番目の椅子が置ける「家」を造ることです…!

 

 この本が出版された頃、日本は幕末の頃…すでにその頃からボストン近郊に都会化の波が押し寄せていたというのも驚きですが…自然と暮らしの大事さを説くこの本は日本でも幾度も出版されます…若い頃にこの本の思想に出会った人は多いのではないですか…M・ガンジーやキング牧師にも影響を与えた名著です…

 

 早くから人間の尊厳を語り「個の自由」や「自然の保護」を唱え「奴隷解放」にも積極的だったソローが亡くなったのは1862年5月6日、44歳の若さでした…リンカーン大統領が「奴隷解放宣言」を発表したのは1863年1月1日

明治政府が出来たのはそれから23年後です…

 

 

 「家族の間に調和が保てるならば人生は成功だ」アメリカインディアン・ウテ族の言葉です…

 

 「家=家族」を持つことは容易なことではありません…でも「出来るはず、創るんだ!」と強く思ってください…結局はあなたの人生を幸福で豊かにしてくれます…

 

 

 ここまで読んでくれてありがとう!あなたのダンボの耳に届いたでしょうか…?

 次は、少し話題を変えて「世界の名建築家」についてお話します…住まいに影響を与えた人たちです!