あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…

 

 和風建築とは文字通り日本式の建築です…「在来型」とも言います…

ここでは建築方法の違いをおぼえて下さい。

 

 大きくわけて、今までの日本建築=和風のようなものを「在来型軸組み建築工法」といいます…

対して北アメリカから日本に伝わった、洋風のいわゆるツーバイフォーは「北米型木材組み壁工法」と呼ばれて二つに大別されます。

 

 「在来型」というのは日本の建築ですが… 機会を見つけて、それぞれの施工現場を見比べて下さい…

「在来型」では「軸組み」と言いますがこれは主に「柱」などを「軸」と呼び、これに交わる「梁」など横木で「組む」ことだと考えてください…反対に「北米型」では「壁」がその工法の主体となります…

 

例えるならマッチ棒を立てるように作るのが「軸組み工法」で、そのマッチ箱を作るように立てるのが「壁工法」といえます…荒っぽいのですが、この表現が二つの工法の違いです。


 

「家」そのものの構造はほぼ同じですが、大きな違いは外観上のデザインだけではなく…

まず壁が違います…柱や鴨居=かもいなどは隠さないから外から見えます…これらに囲まれるように壁がありますが、この壁は柱や鴨居の面より引っ込んでいます…

 

 この壁を「真壁=しんかべ」と呼びます…後述する「洋風建築」と大きく違うデザイン的な特徴になっています…対して洋風建築では柱や鴨居の出っ張りのない「大壁」と呼びます…

また鴨居は「家」内部の例えば部屋などををぐるっと取り囲むように取り付けられていて…柱が「家」の縦軸=縦方向を支えるとしたら、横軸=横方向に相当するのが梁や鴨居です…

 

 この縦と横が見えるのが和風建築の特徴と言えます…これにより室内は常に縦と横が強調されて住む人にも意識されます…柱や鴨居などの木は木地のままで、囲まれた壁は漆喰のままの白です…この壁を朱(赤)や青に着色したものもあります…

 後年この着色を簡単にしたのが「繊維壁」です…これは予め着色した繊維質を混ぜ込んだもので、ピンクやブルーなど簡単に色を楽しめます…ひと昔前に流行しましたが、今は漆喰壁の上に貼る壁紙が取って代わり人気はありません…でも壁紙に飽きた外国人には妙に人気があるようです…

 何れにしても、いわば絵画のモンドリアンのようなコンポジションが室内に生まれます…

 

 昔から日本建築のモジュール「尺」で、それを六倍した「一間=いっけん」と、その半分つまり「三尺」が基本的なモジュールになります…「尺」は昔の「尺貫法」の呼び方で現在の「メートル法」では30、5センチに換算されます…この一間×半間(三尺)は畳の長さに同じです…ただし畳も江戸間(関東間または田舎間)と京間、その他各地ではその大きさも違いますが…今は江戸間の大きさが標準になっています…

 

 この一間はまた一間(ひとま)とも読まれますが、こちらは一部屋という意味です…

 

 前述しましたが、「家」の構造は柱が縦軸になり、梁や鴨居が横軸になり、この間に部屋や玄関、階段室、廊下、台所、便所やトイレ、付随した押入れなどがこのモジュールで作られます…

 

 柱間の広い方は一間=六尺=約1、8mで、狭いほうが半間=三尺=0、9mになります…

六畳間なら、長手が畳2枚で約3、6メートル=二間で、短手が畳1、5枚=2、7メートルになります…

これらの平面上の言って見れば部屋割りは後述する「洋風」と変わりありません…

 

 建築方法については、まず基礎を造り、柱を立てて屋根を作ります…つまり「家」の構造的な強度をこの時点で作ります…柱の間の間柱、筋交い、火打などです…

この時点で壁や床などは作られていません…

 

 屋根を先に作ることで工事中の雨を防ぐと同時に床や職人さんたちを守ることができます…

このように「和風建築」ではまず基礎を作り、柱や梁を立て、屋根を作るという手順で工事は進みます…その後室内の造作(ぞうさく)が作られるというわけです…

 

 てっぺんの屋根に和瓦を葺き、外壁には下見板やモルタルを吹き、内壁は漆喰にして床や廊下に畳や板の間、障子や襖を多用して、日本風に仕上げたのを「和風」または「在来型」と呼びます…

 

 日本は地震国ですが昔の「家」にはこの地震には「仕方がない!」というような諦観がありました…

むしろ火=火事への備えの方が大きかったと言えます…「地震・カミナリ・火事・オヤジ」は恐いものの例え、地震や火事はその代表です…近頃は恐い小言を言うオヤジもいなければ、怖がる子供もいません…ね!

 

 もともと日本建築は木と紙で出来ていると言われにはめっぽう弱いうえに、明かりといえばロウソクや行灯(あんどん)煮炊きは薪や炭でどれも裸火です…

 もっぱら「家造り」の関心事は火事への備えだったというのもうなずけます…木と紙だけが密集した町並み、いったん火の手が上がればひとたまりもありません…かつて大火やその火の粉による延焼で城郭までも焼失した歴史があります…いわゆる「付け火=放火」は死罪と言われるほどの重罪だったのもうなずけます…

 もちろん寺社には地震に備えた工夫や工法が施されて現在に生きますが、これはあくまで「寺社建築」の範疇、宮大工の優れた仕事です…当然職人手間も材料も高価で普通の「家」には無理なようです…!


 

 ところで最近よく言われる「古民家」ですが、基本的に古民家と呼ばれるのは、柱や梁などと一緒に各仕口が古い手法で建てられた民家を「古民家」と呼ぶべきでしょう…ただ古いだけの「家」ならいくつもあります…ちなみに「クラッシクカー」と、それより古いけれど味わいのある「ビンテージカー」が違うのに似ています…それより古いクルマは「ベテランカー」です…!

 

 日本の各地で「古民家」が地方の再生にともてはやされますが、その多くは、不必要なのぼり旗や墨で大書した障子などをあしらった「ラスト・サムライ」的な「古民家」です…「家」や「家並み」は我々の祖先が残した「文化」です…身近な「文化」に気づき大切にするのも「家」と「くらし方」への愛着を大切にするということです…

 

 和風建築の粋、数奇屋造りというのは…元々は「茶室」がその源流です…

茶室は本来、質素の美を尊び、身分の高低をなくし、ひさしを深く伸ばして陰翳を楽しんだり…

数奇好きに通じます…そんな好き者が好んだのが数奇屋造りです…

 

 質素であることを重んじた当初の茶室は安価な材料で作られていたのですが、だんだんと華美になり、様式にも独特な世界観があります…今では材料の吟味や職人にお金がかかります…豪華な材料と技をあえて質素に見せる現代の数奇屋造り…これこそまさに和風建築と言えるかもしれません…!

 

経済力に任せて純和風に作る…それも「マイホーム計画」次第です…

 そんな夢も見てみたいですね…!

 

 ここまで読んでくれてありがとう!

 あなたのダンボの耳に届いたでしょうか…?

 次は「洋風」の家のお話です…