寒さはまだまだ続きます…

前回も述べましたが、ここでは寒さの実態を考えてみたいと思います…

 

 特にここでは集合住宅のアパートの一階を対象に述べます…アパートでは一階が冬季の寒さに、屋根に近い二階は夏季の暑さに悩みますが…これらの問題はこれからのあなたの「マイホーム計画」にも起きる共通の問題です…そのためにも今の季節の「寒さ」を体験しておいてください…

 

 前回と重複しますが…「家」の中の熱を放出する大きな原因は「窓」だということで…

対策に、二重カーテンやスキマテープの活用を提案しました…

 

 そのスキマですが「家」にはあちこちにあります…特に築年数の古い家は多く見られます…なにせ古い家ではこの「寒い家」対策がなくて当たり前なので壁や柱、窓周りのスキマなど数多くあります…

 

 いろんな箇所にありますが…

ここで思い出して欲しいのですが…冷たい空気は下に溜まるということです…正確には、冷たい空気は重量的に「重さ」があります…「家」の最下層の土間、まず床下には冷たい空気があります…これが一階などのスキマから部屋の中に侵入します…「家」の下の土間から上がった冷気は、畳の下のいわゆる粗板のスキマから畳の中へも侵入します…畳に触って冷たさを感じるのはこのためです…また畳の合わせ目に隙間があれば…畳同士だけではなく部屋の周囲の畳寄せのスキマにも注意です…

 

 さらに家具=本棚やタンスなど重量ものの配置次第ではその周辺の畳も反って、スキマができます…

 

 ここで思い出して欲しい、もう一つの事…

温められた空気は上方に溜まります…正確には温かな空気は重量的に「軽く」なります…つまり畳の上の生活圏で温められて上方に行った空気が自然に床下の冷たい空気をあなたの部屋に補充します…

これでは下の方が冷たく感じるのも仕方がありませんね…試しにこうした隙間に手をかざしてみてください…微かに冷たさを感じるはずです…これもスキマ風です…

 あの気球の原理もこの重量差を利用しています…時々ボ〜ッとバーナーが熱い=軽くなった空気を送っています…

 

 ところで日本の建物に押入れは付き物です…この中に布団や洋服などの大事なモノを仕舞っているはずです

ところがこの押入れ、設計段階から各段に敷かれる板の厚さは決まっています…特に寒さに一番近い最下部は下手に重量モノを置くと凹むほど薄いベニヤで仕上げてあります…床だけではなく押入れの壁も同じ仕上げです…これでは遮断性や断熱性を望むのは無理です…

 

 つまり押入れそのものが床下からの冷気=温度変化に無防備になっているということです…押入れを開けるたびに感じる冷気は、実は押入れそのものの冷気です…押入れは根太や段板、雑巾擦りなどで一見丁寧に作ってあっても、永年の使用では冷気庫ということです…ここにもあなたの生活の「時間軸」があるはずですが…

もちろん部屋の温度に慣れた体では、感じる温度差でブルブル度も違いますが…

 

 ひと昔前には大掃除のたびに畳も外で日光浴をしました…その時に粗板や床下の土間も乾燥されました…

畳の裏には墨で方角と番号が書いてあり、その通りに敷き直します…畳の造りも正確で、ゴザの切れ端を挟みヘリに隙間や凹凸は出ません…その代わり床下は土間=土が露出しているから冷気は上がります…

 実は畳は吸音性と吸湿性=断熱性を持つ、優れものなのです…!

 

 その畳の芯はより軽いスチロール製が多くなり、厚さも以前よりは薄くなりました…資源が枯渇してきたという現実もありますが、断熱性も重要になります…

 

 ここで大事なのは、畳職人が「家」の状況に合わせて正しい仕事をしていたということです…

最近はとってつけたような和室で琉球畳が流行っています…増える合わせ目…正しい畳職人を選ぶことも大事です…本来畳は土着の知恵、琉球ではない地方でこの土着性が再現されるかという疑問も残ります…

 

 

 ところで熱の伝わり方の一つに「伝導熱」というのがあります…

つまりモノが接触することで伝わる熱のことですが…温度は高い方から低い方へと流れます…スキマで冷やされた空気の中の「伝導熱」であなたの生活も寒いはずです…そんな空気に接していれば伝導熱です!

 

 ところで以上は温度差で言えばほんの数度=℃の違いということになります…

でも考えてみてください…手元のエアコンの温度表示を一度上げ下げするだけで、体感温度はずいぶん違います…この時の温度が部屋中を満遍なく循環=空気全体が温まっていれば?…

「断熱性」と「伝導性」を並立させるのがあなたの「マイホーム計画」の重要なポイントです…

 普段冷たい川の水の中に住んでいる魚を釣り上げてすくい上げる僕たち…人間の手の平と魚が感じる温度差は、何度にもなります…たぶん魚たちは全身ヤケドかもしれません…

 

 あるいはあなたがシャワーを浴びる時、頭ではあたたかなお湯も足に届く頃には冷たくなっています…これはシャワーのお湯がただ温めるだけの機械的な装置を通過する水だということです…湯船のように保温されたお湯ではありません…だから冷めやすいのです…ここで表示される「熱い」とはあくまでも「冷たくはない」ということの反意語です…今の湯沸かし器は温度変化にデリケートで、調整ダイヤルをほんのちょっと動かすだけで湯温は変わります…ここでも1℃の違いを感じることができます…!

 

 だから冬にシャワーだけでは体は温まりません…ナベを想像してみてください!

昔のお母さんはフタの閉じ方で空気を味方にして煮方を考えました…熱の「対流」を抑えた落としフタは素材の表面の形崩れを防ぎ、内部も柔らかく炊きあげます…これは熱を閉じ込めて=対流熱でハデに動かないようにして「伝導熱」をうまく利用しています…この概念はあなたの「〜計画」にも大事です…

 

 また人間の睡眠中は起きている時よりも体温が下がります…なのに就寝中でもエアコンを同じ温度に設定したままですか?…これではあなただけではなく部屋全体の乾燥が進みます…木部にも良くないばかりか結露の原因にもなり、それに電気代も大変です…寒いとぼやく前にエアコンの使い方を理解してください…!

 

 そもそも今の家は床がフローリングになりましたが、素材は表面にごく薄く天然木を印刷してあるだけで、中身は積層板です…全体が天然木ではないから、昔の廊下や濡れ縁のような踏み心地の優しさや、温もりがなく…ただ冷たい床でしかありません…ここからの冷気はあなたが考える以上に深刻です…

 

 以上の対策としては、床全体にカーペットなどを敷いて床全体を覆うといいでしょう…その後のメンテナンスや、そもそも日本では文化的に足元に敷くカーペットは見向きもされないようです…

生活音の軽減やスキマ風の防止にも役に立ちます…もちろんここは将来の「〜計画」を考えて、安価なものを選びます…スキマテープだけではなく、粘着性の低いグリーンのテープなんかもいいかもしれません…予め剥がした跡が残らないように剥離液も試してください…処理を誤れば大家さんと後でモメます…

 

 

 ついでですが、敷布団は薄ければ空気中の、敷き布団は畳=床の冷気をそれぞれ伝えます…

掛け布団について言えば、一番上に織り目の詰まった毛布などをかけると掛け布団にこもった熱を逃さないようにできます…これは若い頃に山のシュラフケースから学んだことです…

 

 この季節だからできるあなた自身の知恵を見つけてください…たぶんそれは真実です!

 

 どうですか?

たったの1度=1℃とはいえ、こんなに違います…この違いを知ることが実は大きなことなのです…

ほら、いい表現があります…「塵も積もれば山となる」って…! 

だから「1円を笑うものは、1円に笑われる!」んだそうです…!

 

 

 ここまで読んでくれてありがとう!

あなたのダンボの耳が少しでも大きくなればいいのですが…!