こんにちは…

 

 トミー・ウンゲラーさんが亡くなりました…僕の頃はアンゲラーでしたが最近は、ウンゲラーと表記されるようです…

 

 僕には懐かしいお名前です…デザイナーであり、イラストレーターであり、絵本作家でした…好きなイラストレーターのひとりでした…!

フランスのストラスブール出身の彼はその出自のせいか、かなりフランス的なシニカルな内容と線で人気がありました…ストラスブールはドイツの色濃い街としても有名です…

 

 僕もそんな彼に魅了された一人です…

まだグラフィックデザインが幅を利かせていた時代…海外のデザイン誌や有名雑誌の挿絵などで彼の作品を見ることができました…他のイラストレータと同じように彼の線は独特で、一目見ただけで彼の作品だとわかります…

 

 そんな中でも「フォーニコン」は、今では当たり前のような機械的なSexを通して人間のあくなき快楽をいろいろと覗き見せた…言って見ればオトナの絵本というべきものです…

黒い線一本で描かれた「フォーニコン」の中の女たちは、これも彼らしい女たちの口元が愉悦の表情をしています…日本の浮世絵にも通じる表現は彼独特のものでした…

数年前に復刻出版されましたが、やはりオリジナルをお薦めします…!

 

 その一方で子供向けの絵本にも、彼らしい才能を発揮しています…

有名なところでは、子供を助けるドロボーの「すてきな三人ぐみ」や、ねじ曲がった絵を探す「かたつむりみつけた」「へびのクリスター」「エミールくんがんばる」など、純真な子供の目で見て感じた多くの絵本も書いています…個人的に印象的なのは、サンタの銃に手ならぬツノをあげたトナカイの単純なクリスマスカード…

 いかにもフラン人らしい彼の小品です…

 

 彼の笑いは常に苦さと隣り合ったもので…当時はすっかりアメリカ人と思っていたんですが…後にストラスブール出身と知ります…多分にフランス的な皮肉っぽい笑いのシャレと、モダン志向の当時のアメリカ人の目がこんな作品に通奏しているのかもしれません…

 新聞の小さな記事ではアイルランドの娘さん宅で息を引き取ったようです…

 

 ちなみにストラスブール出身で日本におなじみといえば、あのアーセン・ベンゲル監督や「スケーターズ・ワルツ」のワルトトイヘル…個人的に大好きな指揮者のシャルル・ミュンシュ(ボストン交響楽団)や懐かしいマルセル・マルソー(天井桟敷の人びと)などですが…共通するのは呼び名のフランス語とドイツ語の混在…トミー・ウンゲラーの頭文字「U」の読み方にも「ア」と「ウ」の違いがあるようです…それとも、このネット社会、出自を第一にしたのかもしれませんね…面白い符丁です…


 

 

 今ではデッサン力のないヘタウマな漫画家や、写真術なんかいらないスマホというお手軽で、素人がたくさん作られる時代…作り手も見る方も素人になり、その間にダマしダマされる器械が介在します…これだからフェイクなんて簡単なものです…!

 

 彼の死で僕のグラフィックデザインの一端も死んだようです…!

彼が亡くなったのはアイルランドの娘さんの家とか…この国にも死と笑いが同居しています…あの楽しい皮肉屋のバーナード・ショウもこの国の人です…⁉︎

 

 ご冥福を祈ります…