「…むかしむかし、ずうっと昔のおハナシ…                  

世界はできたばかりで混沌としていました…造物神はまずこの天と地を分けて…

やがて六日間で地上のすべての生き物を作り…七日目にようやく休養をとります…

 

 もちろん造物神のもとにはすべての神サマが集められ…特別な粘土や、絵の具も集められて大きな工作教室のようです…神サマたちは粘土で型を作り、色を塗り…生命の息吹を吹きかけられて…それらはどんどん地上に降ろされます…

 

 こうやって天と地の間はドンドンにぎやかになってゆきます…

 

 神サマにも粘土遊びの好きな神サマもいれば、不器用な神サマだっていろいろいます…しかも色まで塗るのだから神サマも大変です…

 

 中にはハナだけが長ぁいものや、クビだけが長ぁいもの、木の上だけで生活できたり、翔ぶだけのもの、水の中だけで生きるものなど…のんびりと動くものやきびきびと動くもの…

 はじめに好きな絵の具を使われちゃって、あまった白と黒だけで仕上げたから、変に目立つものや反対に目立たなかったり、おかしそうなものや、どう見たってまともそうに見えないものまで…いろんな生き物が作られます…

 

 でも、普段からのんびり屋で心の優しいひとりの神サマは考えます…

作られた生き物のほとんどは人間を危険と考えるものばかり…人間を襲うことさえします…ひとつぐらいは人間に近づき、人間と一緒に暮らし、人間の孤独をなぐさめて遊び友達にもなれる生き物をつくってみよう…って!

 そこでこの神サマ、あまった粘土でいくつも形を作り、慎重に絵の具で仕上げて…そっと地上に降ろします…それが犬族だったのです!

 

 でもこの神サマは大切な間違いを犯しました…

こうやって人間と仲良くなった犬とはそれぞれの生命の長さが違ったのです…

お互いが必要な時に一方のほうがなくなってしまう…

 それぞれに別離の寂しさを感じなくてはなりませんでした…

こんなに人間と犬がお互いを必要とするなんて…信頼関係で結ばれるなんて!…

神サマは考えなかったのです…

 

 

 

 きっと犬と仲良く暮らした人間たちは感じるはずです…

犬がいなくなって、人間よりもどんなに彼らのほうが献身的で、寂しさを感じさせなかったのかということを…

 

 僕もその一人でした…

 

ボクたちにだって夢はある。もっと君たちと遊びたいって…

 

 

 

 年の瀬の騒がしい頃です…戌年=犬どしも終わります…ワンワン・キャンキャン♪

 

 

 皆様・どうぞ良いお年をお迎えください…!