他の男の影をちらつかせるのは
別にわざとでは無かった。
寂しいのを彼に言えず、
我慢してきた結果だった。
でも 隠し事はイヤだから
素直に全て白状してきた20年。
それがかえって彼に火を点ける結果になるとは
思ってもみなかったし、
アタシとしては 無意識のうちにやっていることだった。
「俺だけ・・・」と彼の口から放たれた以上、
アタシはきっとフラフラすることなく
このまま 今のまま 彼と歳を重ねていくのだろう。
でも、平坦なままだと
何か物足りなさも感じていくのも事実だろうし・・・・・
そこで考えたのがちょっとした刺激を
与えることだった。
普段、彼の欲求に拒むことのほうが多いアタシが
その欲求に不意に応えたとしたら
彼はどんな風に思うだろう・・・・
「案外、ヤルな」などと思うのだろうか?
それとも・・・・
「ヤレばデキるじゃん」かな?
*******************************************
「ユウキは良いよなぁ・・・・・
俺の代行機君があるからさ(笑)
あ!そうだ!携帯でエッチな写真送ってよ」
「えー?イヤよ(苦笑)
アタシがそういうの趣味じゃないって知ってるでしょ?」
「分かってるけどさ・・・・ちょっとくらい良いじゃん」
ふて腐れたような声を出す彼に
「うーん・・・・・ちょっと考えさせて」
いつも拒んでばかりの女では
つまらないのではないか・・・
時には大胆さも必要なのではないかとふと思った。
彼は腰痛持ちで
この日は朝からマッサージに行く日。
アタシは東向きの窓から朝の光が差し込む寝室で
例のオモチャを取り出し、
彼の要求する写メでは無く、
その上をいく、動画の撮影を試みた(苦笑)
どうやらアタシの携帯では
1度で30秒ほどの動画しか撮影できないことを
初めて知る。
両膝を大胆に広げる格好はかなり滑稽だ。
自分では目を伏せたくなるような代物だけれど
マッサージを終えた彼が携帯に目をやった時、
どんな反応をするかを考えると少しだけワクワクした。
30秒の動画を2本撮影。
そして・・・彼の携帯に送信。
マッサージを終えると
よく電話をかけてくれる彼なのだが
その日はいつにも増して早い時間に携帯が鳴った。
「び・・・・・びっくりした!
写真じゃなくて動画だ!?
いや・・・まだゆっくり見てないんだけど
とにかく ちょっとだけ見て
連絡しなきゃと思って慌てたよ」
アタシはとにかく笑うばかりだった。
「って言うか・・・・既にギンギンなんですけど。
って言うか・・・・ゆっくり見ても良い?
で・・・・・抜いても良い?」
なにやら しどろもどろの彼に
「どうぞ(笑) じゃぁ・・・またあとで電話ください」
と少しだけ上から目線で応えるアタシだった。
30分ほど経ったあとで
携帯が鳴る。
「抜かせて頂きました(笑)
いや~マジ、動画ですか?みたいな感じですよ」
「敬語だし(笑)
アタシも意外にやるときゃやるでしょ?」
「ほんとだよ!って言うか・・・・また 毛剃りました?
妙に綺麗ですけど」
「剃ってないよ、元々、薄いし、携帯の動画じゃ、
そんな毛の1本1本は写らないでしょ?
まぁ・・・・とにかく、すぐにその画像は消去してね(笑)」
「ヤダ!また 新しいの送ってくれるまで持ってる」
「ほら!また調子に乗るんだから!
動画はこれっきりよ」
「これっきりとか絶対ヤダからね!」
まるでダダをこねる子供のように
なっていた彼が可笑しかった。
まぁ・・・でも
今回は喜んでくれたからヨシとしよう・・・・(苦笑)
しかし、その夜、ふと思った。
以前、彼が暇なときに
とある投稿サイトをひらいて見ているのを
見せてもらったことがあったのだけれど
まさか、それに投稿しやしないかとハラハラした。
もちろん、顔など映っていないのだけれど
とにかく彼にメールした。
「ねぇ・・・・まさか、あのエロサイトに
投稿しないよね?(笑)」
「あ! そんな手があったか!?(激興奮)」
「え? 思いついて無かったんだ?シマッタ・・・・」
どうやら アタシは墓穴を掘ってしまったようである。
「それも良いよなぁ・・・・・(ニヤリ)」
「イヤに決まってるでしょ?バカ!」
「顔も映ってないんだしさ」
「そういう問題じゃないでしょ?
って言うか・・・アナタは見られても平気なの?」
「うーん・・・・・だって他の人の反応気にならない?
あれって、他の人のコメント付くんだよ」
「イヤ!全然気にならないし!(汗)」
「綺麗に撮れてるし、皆様のオカズにどうぞ・・・みたいな」
「バカじゃないの?」
しかし、ここでアタシは思い出していた。
その投稿サイトでは
その写真や動画1枚づつに
題名が記載されており、
「うちの40歳の嫁です」とか
「僕の彼女です 25歳です」とか
「ただのセフレです」などと書いてあったことを・・・・・・
仮に彼なら
どういう題名にするのかが妙に気になった。
もちろん、そんな題名など、ふざけたお遊びなのだけれど
とにかく無性に気になった。
「ねぇ・・・・・もし 仮によ?
投稿するとしたら どんな題名にするの?
ちゃんと 彼女ですって 書いてね」
すると彼からの返信には
こう書いてあった。