理事長ブログ

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国際スーパーフード学術機構理事長の山口です。コロナに強い体質を作るスーパーフードについて学んでいきたいと思います。

脂肪は肥満の原因になるということで敬遠されることが多いのですが、食べても肥満の原因になることはなく、逆に減量や、糖尿病の予防にも役立つという脂肪酸があるのです。最近、その脂肪酸は認知症の予防にも役立つということが注目されています。それは、中鎖脂肪酸です。ココナッツは、その中鎖脂肪酸を豊富に含む代表的な食品であり、ウオルフのスーパーフード・リストでは楽園のシンボルとして取り上げられています。

 一般の脂肪酸は、長鎖脂肪酸と言って、炭化水素の鎖が12個以上つながっています。中鎖脂肪酸はそれが8個〜10個と短いのです。中鎖脂肪酸は摂取するとまず肝臓に運ばれ、分解されてケトン体というものに転換され、ブドウ糖に代わるエネルギー源として使われます。長鎖脂肪酸のように、中性脂肪として体細胞に貯蔵されることはありません。食べても太る方向には行かないわけですね。

 中鎖脂肪酸はまた、腸内の善玉細菌の良い餌になります。善玉菌は中鎖脂肪酸を酢酸やプロピオン酸・酪酸といった短鎖脂肪酸に分解し、腸内を悪玉菌が増殖しにくい弱酸性に保つとともに、腸管のL細胞を活性化して、インクレチンというホルモンの分泌を活発にさせます。これは別名、痩せホルモンとも言われるもので、血糖値を下げるインスリンの分泌を促し、血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑える優れものです。その上、インクレチンのこの働きは血糖値依存的と言って、血糖値が低い時は働かないので、怖い低血糖の心配がありません。近年では、インクレチン・アナログが安全な糖尿病薬として売り出されています。中鎖脂肪酸はこのインクレチンの分泌を促すことから、糖尿病の予防に効果があると注目されているわけですね。

 中鎖脂肪酸から、肝臓で作られるケトン体にも注目です。私たちの体は、グルコースをエネルギー源として最も好みます。脂肪をエネルギーとして使うには、まずケトン体に分解してから使いますが、血中にグルコースが十分あるときは脂肪をケトン体に転換しません。ジョギングなどの有酸素運動をしても、15分以上続けないと脂肪燃焼効果は得られないと言われるのは、血中のグルコースが十分ある時はまずそちらが使われるので、脂肪が燃えないからです。体細胞の中で特に脳は普段はグルコースしかエネルギーとして使えません。低血糖が恐ろしいのは、グルコースが欠乏すると、脳細胞がダメージを受け、酸欠になったのと同様に昏睡などから死に至ることもあるからです。ところが、最近の研究で、グルコース濃度が低くてケトン体の血中濃度が十分にある状態に順応すると、脳はケトン体をエネルギー源として使えるようになることがわかりました。認知症の脳では、グルコースがエネルギー源としてうまく使えなくなっていることもわかってきています。脳のエネルギー不足が認知症の原因となっているのです。そこで、代替エネルギーとしてケトン体を使えるようにしてやると、認知機能の低下を防ぐことができるというわけです。血中グルコース濃度を低く、ケトン体濃度を高く保つ状態をケトーシスと言いますが、これは米国のアルツハイマー型認知症研究者のデール・プレデセン博士によって考案されたリコード法という認知症治療法にも取り入れられています。中鎖脂肪酸の摂取は、血中ケトン体濃度を高めることによって、ケトーシスな状態にすることを助けます。リコード法でも、ココナッツオイルの摂取が勧められているのです。

 常時ケトーシス状態を保つケトジェニックな体質になることは、減量にも効果があります。ケトジェニックな状態になると、筋肉やその他の体細胞がエネルギー源としてケトン体を好んで使うようになるため、少しの運動でも脂肪が燃焼しやすくなるからです。

 一方、あまりに血中ケトン体濃度が高まると、ケトアシドーシスという血液が酸性になる危険な症状になります。糖尿病性ケトアシドーシスという合併症は、呼吸困難や昏睡なども引き起こしますが、インスリンの欠乏でグルコースが使えなくなり、代替エネルギーとしてのケトン体濃度が急上昇するために起こります。ケトーシスのケトン体濃度は200μmol/L以上の正常範囲内でのケトン体が増えた状態ですが、ケトアシドーシスでは7,000μmol/L以上にもなります。ココナッツオイルを摂取したぐらいではケトアシドーシスにはなりませんのでご安心ください。

 中鎖脂肪酸が減量に効果があり、糖尿病や認知症の予防にも役立つ優れものの脂肪酸であること、わかっていただけたでしょうか。次回はこの中鎖脂肪酸を豊富に含むココナッツについて詳しく紹介しますね。