『初めて付き合う人は、一番好きな人がいい』
 
  
きっと、女の子なら誰もが夢見るお決まりのセリフ
 
亞理も、10代の頃当たり前のように望んでいました。
 
高校を、卒業するまでずっと親に監視されていたから
 
恋愛ひとつ、まともに出来ない亞理には
 
たくさんの夢がありました。
 
それは、あまりにも幼すぎる夢でした。
 
世間知らずの亞理は今時にはめづらしく・・・
 
 
19にして、キスもしたことがありませんでした。
  
 高望みで片思いと失恋ばかりの高校時代でしたが、
 
今思えば、ちょっとした、小さな恋もありました。
 
  
  
高校の頃、初めて出来た彼氏の樋口君はバスケ部の補欠でした。
  
 
当時、バスケ部のキャプテンに片思いしていた亞理は
 
何度も告白しましたが、全然相手にされず
 
補欠の樋口君に、よく相談するようになりました。
 
そんな、亞理の健気な片思いに心打たれたのか
 
初めて亞理に告白してくれたのはまぎれもなく、樋口君本人でした。
 
 樋口君は、背が亞理より2cm低くて
 
亞理の好きなキャプテンとは程遠い存在でした。
 
正直タイプではなかったし、樋口君と二人でいる事を
 
キャプテンに冷やかされたりすると、死んでしまいたいくらい
 
恥ずかしい気持になったりしていたことは
 
自分の容姿を棚にあげて、失礼だけど多々あったのです。
 
 
亞理は、ブサイクなおかっぱのめがねっこのくせに
 
身の程知らずな、どうしようもない、面食いなのでした。
 
そんな樋口君と、付き合うことになったのは
 
彼の告白から3ヶ月以上も経ってからでした。
 
それは、ある寒い冬の夕暮れでした。
 
期末テストの試験勉強で残っていた亞理と
 
相変わらず片思いの相談相手の樋口君が一緒の教室にいました。
 
あたりも真っ暗になった頃、亞理が帰ろうとした時
 
彼が自転車で駅まで送ってくれる事になりました。
 
自転車の後ろにステップをつけて二人乗り
 
もうすぐ駅につく頃、樋口君が
 
『亞理ちゃんのこと、ずっと好きでいていい?
僕の事は、好きじゃなくていいから付き合って欲しい』
 
と、言って来たのです。
  
正直、びびりました。
 
告白した時に、亞理はひどい振りかたをしていたし
 
もう完全に吹っ切れたと思っていたから・・・
 
まだ好きだなんて、思ってもみなかったんです。
 
その、気持が本当か知りたかったのと
 
片思いばかり、振られてばかりいる自分をかわいそうに思っていた事と
 
一度でいいから、誰かに想われている事を実感してみたかった
 
という好奇心だけで、OKしてしまいました。
 
今から考えれば、自己㊥で最低なオンナ
 
亞理は、キスもさせず、図々しくも
 
毎日チャリンコで登下校の送り迎えをしてもらっていました。
 
 チャリ
 
最終的には、好きにならなくてもいいと言われたけど
 
いつまで経っても好きになれない葛藤が起きて
   
亞理の良心が痛み出して、わかれてしまったんだけど
 
当時めちゃめちゃださかった、ブサイクな亞理を
 
好きになってくれた奇特な人だったのかもしれない。
 
 
 
高校を卒業して2年後にたまたまご飯を食べる機会が
 
あって、再開したのだけど
 
彼は当時かけていためがねをコンタクトにして
 
ちょっぴり凛々しくなっていました。
 
亞理も、コンタクトにしてパーマなんかも当てて、煙草もすうようになって
  
すっかり変わってしまったのに、彼は
 
『びっくりするほど、綺麗になったね』
 
って相変わらず優しかったなぁ。
 
 
そのあとやけぼっくいに火がついて・・・的な恋愛には、発展しなかったけど。
 
今はどうしてるんでしょうね?
 
今でも、あの頃のピュアラブが淡く懐かしく思い浮かんでくることがあります。