ルーザ・レットナー

それが彼女の名前。


彼女はヴァーナのアウリル族だ。


幼き頃、彼女は父と一緒に猟をして生活をしていた。
食べられる野草、獲物のいそうな場所。彼女は鼻が効くのですぐに
父に負けない知識を得た。…というより野生の勘だろう。


もっと幼き頃、よく彼女は他の狩猟者が仕掛けた罠に引っ掛かった。
美味しそうな匂いがしたから。その時に彼女は美味しい物には罠があるかも知れない事を学んだ。


ある時に、罠に引っ掛かって足に怪我をした猫を見つけた。
美味しそうなので、食べようとしたら父に止められた。
「こらこら、お前の兄弟だろう。よく似た耳が付いてる」
「父のは似てない。雄だからか?」
「まぁ、そんなもんだ」
暫く、その猫とも暮らした。兄弟同士でよく意味のない会話をしていた。
「にー、美味しそうだな。あ、いやお前じゃないぞ、にー。」

2度程季節が変わった頃、にーは病気が元で弱って死んだ。
罠から助けて足を治療した後もずっと棒みたいな足だったから、苦労してたんだろう。
その頃からルーザは語尾に にー。と付け始めた。

「父、最近この辺りの山、あんまり動物いないにー」
「んー…乱獲してる奴でもいるのかな…随分減ったよな」

いつもの狩り。その場で食い荒らした様な血の跡が気になって、その跡を辿ったいつかの事。

山奥には、トラがいた。
その後の事は何だか曖昧。父が血まみれで、二人で一生懸命走った…様な気がする。
父は家に帰るなりベッドにばったり倒れこんだ。
ルーザは父の止血をして、眠る父を見たまま眠った。

翌日、父が昨日見た時より白い顔でルーザに話しかけた。
「おぉう…まだ起きれたか。しぶてぇな俺。まぁあんま時間ねーけど。
よく聞けルーザ、お前がこれから先に生きてくのに重要な事を言っとく。
 正直俺に学力がねぇからお前にゃろくに学問のひとつも教えてやれなかった。
そんなお前がこれから目指すべきものは2つ。強くなる事と、名をあげる事だ。
 ひとつ目のは、あれだ。お前はこの狩りの技術を生かして、出来る仕事をするんだ。
具体例をあげると、冒険者になって魔物狩りをするとかな?
 ふたつ目は、ひとつ目と深く関わるんだが…有名になる事だ。
名が知れれば、おのずとでかい仕事も入ってくる。飯も食いっぱぐれねぇ。
 その2つさえ目指してりゃ、お前は今よりでかくなれるさ」
「父より背がでかくなるのかにー?」
「背はわかんねぇなぁ…。いや、でかくなるってそういうのじゃなくてな?
まぁいーや。おう、それとな。お前今日からルーザ・レットナーじゃねぇ。
 ただのルーザだ」
「ぇ」
「薄々感づいてたかも知れねぇが…いや、お前はまじで気づいてなさそうだな…
 俺ぁ実はヒューリンって種族なのよ。ヴァーナじゃねえ。要はお前の父親じゃなかったんだコレが」
「『にー』と兄弟じゃないのか?」
「まぁ、そういう事だルーザ。気にすんな、お前にはこれから「二つ名」が付く筈だからよ!」
「二つ名…って何ですにー?」
「でかい事をするとつくんだよ!さっき言った二つを頑張ってりゃその内付くさ。
いつか伝説になるようなのがつくといいな!あ、やべぇ。すげぇ眠い。寝るぞ」
「あ…うん」
「起こすなよ?そいでもってお前は今日からただのルーザになったんだから、
どっか行け。ラインでもエルーランでも好きなとこいけ。いっとくが俺はもうお前の飯は
獲ってやらんからな!」
父親放棄宣言をして、男は眠った。ぐらぐら揺さぶったって起きやしない。
 ルーザは、男をにーのすぐ横に寝かせて来ましたに。

ルーザは、これからただのルーザですに。
 父だった男の遺した二つ。強くなって、名をあげる。
そうしたら、ご飯に困らない。そうしたら、新しいルーザになれる。
 
ルーザは、今ただのルーザじゃないですに!




ルーザの設定に関するエピソードですた。


るーざ

キャラ用紙に移ってない左右の髪はこんなんなってます。