通勤途中、ライバル会社?
S工務店の監督が乗った
軽四トラックとすれ違った。
朝早く、彼はもう事務所を出て
現場へ向かっているらしかった。
彼はむつかしい顔をしていた。
土間の納まりや神保電器のプレート、
あるいは建前直後で寄棟か切妻の軒先、
それとも車庫木製引戸の縦桟の見付、
書いて承認もらう図面でも頭にあったのか、
いずれにせよ、真剣に前をみて
運転していた。
現場監督というのは孤独なものだなぁ、
と思った。
彼がそうやって考え、指示し、
建築は進むだろう。
けれど彼はひとり、あんな顔をして人知れず
検討しているんだ。
少し胸が熱くなった。
同業の彼よ、がんばれ。
きれいに竣工し、
ひとが住み始め、やがて
だれも工事途中のことを
言わなくなっても唯一、
俺が覚えといてやる。








