「なあ、おれってヒーロー好きやん?」

「いや、そんな初耳な情報を、さも皆さんご存じかのように振り回さんといて。」

「でさあ、ちょっと考えてん。俺、なんでヒーロー好きなんやろうって。」

「そりゃ、かっこええからちゃうの?」

「かっこええのは結果や。何が俺にかっこいいと思わせて、好きやと思わせてるんやろうってことや。」

「なんか絶妙に目線が上からやな。うーん、あれちゃうか。」

「お、お前も分かったか、言うてみ。」

「だから、なんで上からやねん。だからあれやろ。目の前に立ちはだかる強大な悪に自らの損得勘定をほっぽりなげて、たとえ一人になったとしても世のため人のために戦うその姿にかっこよさを見出してるんやろ。」

「そうそう、やっぱり必殺技やねんなあ。あの今までのすべての盛り上がりはこの必殺技をかっこよく見せるための前座ですと言わんばかりの、キマり具合。もはや敵もあの必殺技食らうまでは倒れられへんみたいな雰囲気すらあるやん? しびれるわ~。」

「そうそう、以前の俺の話とそれ以降のお前の話が全く噛み合ってないねん。なんで同じ意見やと思って乗っかってこれたん。俺の話聞いてた?」

「でも必殺技にも弱点があってな、それ。何かわかる?」

「話の終盤にしか出てこうへんとか、変身状態でしか使われへんとかちゃうん?」

「名前がダサい。」

「そんなん弱点に入らへんわ。どんな名前でも威力に変わりないやろ。」

「だから、俺の必殺技はかっこええのにしようと思って。」

「きっとこの先、強大な悪と戦うこともないし、なんかの武術を修めてるわけでもないお前がまず自分の必殺技持ってるわけがないやん。」

「俺、名前から入るタイプやねん。」

「十中八九、名前だけ決めて満足するタイプや。」

「で、いくつか考えてきたからそれがかっこええか決めてほしいねん。まず最初な -vanishing kick- これどう?」

「いや、名前が勝ちすぎてるねん。相手蹴るとき一回足消えてもうてるやん。」

「かっこええとおもってんけどなあ。」

「かっこええ云々の前に、人智を超えてもうてるねん。ヴァニシングキック言いながら丸見えの蹴り放つ奴のどこがかっこええねん。」

「そうかー、じゃあ次、-とどろけ!眼力閃光- これどう?」

「もう技の方向性も迷子になってるやん。」

「要はごっつい目力ってことやな。」

「どこが必殺技やねん。ただ睨みつけてるだけやないか。」

「じゃあ、正真正銘これが最後!」

「おう、全然期待できひんけどな。」

「ライダーキック。」

「採用。」

「さっきまでダサいと思ってたけど、やっぱりこれが一番かっこいいと思えるようになったわ。」

「先人は間違ってなかったな。」