終盤戦に入りました。

今、残りの人数は5人、そのうち人外は狼1人だと分かっている、役職者は、占い師、霊媒師はいなくなっていると分かっている、騎士は残っているかどうか分かっていないという状況だとします。

会議中に「騎士は出てください。後で出た者は絶対に信用しません」と騎士がつのられ、Aだけが騎士だと名乗りました。さてこの場合、Aを真めにみていいのでしょうか?

狼は、真の騎士はいなくなっていると判断し、もしくはいなくなっているかどうか分からないがいなくなっている方に賭け、騎士だと名乗る可能性があります。(たとえば13人村で残りが5人になったとき、8人がいなくなったわけです。ですので、だいたい村人は半数ぐらいいなくなっているわけです。残っている狼には村人全員それぞれの騎士である可能性が等しく見えているとき、今2分の1ぐらいの確率で騎士は残っていないだろうと思います。)

騎士が残っていなかったら、続けて騎士だと名乗る者はいないわけです。

ですので、1人だけしか名乗っていないからといって、真めにみるのは早計です。

 

グッドジョブが起こった直後の会議で騎士をつのった場合はどうでしょう。すなわち、騎士が残っていることが分かっています。

Bだけが騎士だと名乗りました。さてこの場合、Bを真めにみていいのでしょうか?

Bが真の場合、狼は続けて「自分こそが騎士です」と名乗らないことが多いです。2人を順に追放していけば狼の負けとなってしまうからです。ですが、続けて名乗る手もなくはないです。

「狼なら続けて名乗らないでしょ」と言って、真めをとろうとするのです。

ですが、人狼ゲームに慣れている人なら2番目に出たからといってそのことで真めにみることはないでしょう。2番目に出て真めをとろうとする手口を知っている、もしくはその手口に気づくだろうからです。しかし、慣れていない人は真めにみてしまうかもしれません。真めにみてしまうと、2番目に名乗った人が夜襲撃されていなくても、狼はわざと残しているんだなと思ってしまうでしょう。

ですので2番目に狼が出たらBは、「自分こそが真の騎士です。どんなことがあっても絶対に順に追放して下さい。どんなことがあっても絶対にです。狼は残り1人ですから、そうすれば村が絶対に勝ちます」と言えばいいですね。1人しか残っていない狼は、「どんなことがあっても絶対に順に追放して下さい。‥‥」とは結構言いずらいです。

Bが狼であった場合も、真の騎士はすぐに「自分こそが騎士です。どんなことがあっても絶対に順に追放して下さい。‥‥」と言います。狼は「どんなことがあっても絶対に順に追放して下さい。‥‥」とは結構言いずらいです。

 

すなわち、狼が残り1人なら、狼は2番目に名乗ることはあまりしないです。残りの他の人が慣れていない人ばかりだったらたまにするかもしれないといった程度です。ですので1人だけ名乗ったBをわりと高い確率で真だとみていいです。

狼は先に名乗って真めをとろうとする手もなくはないです。ですが、慣れている人がいればそれも通用しない手でしょう。先に名乗ったからといって真めにみることはないでしょう。次に名乗った騎士ともども順に追放するでしょう。

 

今、騎士が残っているかどうか分からないという設定なのですから、グッドジョブが起こった直後の場合ではないということです。

 

では、1人騎士と名乗ったAへの対応はどうすればいいのでしょうか?

みなにAが真と思うか聞いてみたところ、みなどちらか分からない、5分5分ぐらいとみているとのことでした。確かに、どちらかさっぱり分からないことが多いです。

他の4人の狼である疑わしさは同じだとします。

さて、誰を追放すればいいでしょうか?

 

Aが名乗ったそのときの会議で、Aを追放できますか?

真かもしれないし、真だったらグッドジョブを起こせる可能性があるし、二度グッドジョブを起こせる可能性があるし‥‥と思って今日は追放しないことにしておこう、と思ったりはしませんか?

なお、Aが真でもすぐに夜に襲撃されるとは限りません。狼はわざとAを残し、Aが残っているのはおかしいんじゃないか?という戦法を使ってくるかもしれません。

確率で考えれば、Aが狼である可能性は50%、残りの4人が狼である可能性はそれぞれ  12.5%です。こんなにまで違うのです。

それにAを残したとしても、グッドジョブが起こる確率なんてかなり低いのです。(なお、他の4人の中に騎士がいる可能性はありません。いたら名乗っているからです。)

Aを残したとしましょう。

Aが真である確率は50%、グッドジョブが起こるのは狼も会議で追放されなかったときで、その確率は残り4人それぞれの狼である可能性が12.5%なのですから87.5%、狼がわざとAを残す確率はX%であるとすると、またAには3人それぞれの襲撃される確率が等しくみえているとすると・狼が3人それぞれを襲撃する確率が等しいとすると、グッドジョブが起こる確率は、

2分の1×100分の87.5×100分のX×(1-100分のX)×3分の1‥‥①      

です。

X=80とすると(狼はAを80%の確率で残すとすると)、①≒2%です。

X=50とすると、①≒4%です。

X=20とすると、①≒2%です。

グッドジョブが起こる確率は、かなり小さいのです。

確率で考えれば、Aを追放するのがよいということは簡単に分かるのですが、この場面においてA以外の者を追放してしまうことが何と多いことか。

 

ですので、残りの人数によらず、占い師や霊媒師や確白の者がいなくなって今後誰が追放されるのか分からなさそうな状況になったらーーすなわち大抵終盤ですね。たとえば確白の者が残っていたらグッドジョブを起こしやすいですね。ーー、真の騎士は基本的にはカミングアウトしてはいけないのでした。その状況では基本的にはすぐに追放されるからです。ただし追放されそうだとか、対抗が出たとか、グッドジョブが起こった直後だとか、自分がかなり村人にみられているとか、他にかなり高い確率で追放されそうな者がいる‥‥等といった場合はカミングアウトしてもよいことがあります。

すなわちその状況になったら、基本的には騎士をつのってはいけないのでした。

その状況になったら、狼も基本的には騎士だと名乗ってはいけないのでした。

その状況になったら、狼が騎士だと名乗ったとき、他の者がその騎士をかなり真めにみているのでないならば、騎士はカミングアウトする必要はないのでした。どうせその騎士は今日の会議で追放されることになるので。

 

【参考】

残り3人のときCが騎士だと名乗ったとします。

他の2人ともがCを真50%偽50%とみているとすると、そして他の2人の狼である疑いの確率が等しいとすると、3人の狼である疑いの確率は、50%、25%、25%になります。

他の2人ともがCを真60%偽40%とみているとすると、そして他の2人の狼である疑いの確率が等しいとすると、3人の狼である疑いの確率は、40%、30%、30%になります。

他の2人ともがCを真66.66‥%偽33.33‥%とみているとすると、そして他の2人の狼である疑いの確率が等しいとすると、3人の狼である疑いの確率は、33.33‥%、33.33‥%、33.33‥%と等しくなります。

 

残り4人のとき、4人の狼である疑いの確率が等しくなるのは、真75%偽25%とみている場合です。

残り5人のとき、5人の狼である疑いの確率が等しくなるのは、真80%偽20%とみている場合です。

 

数字(確率)で考えることが結構大切なのですね。