『魔王』 から。
主演:大野智・生田斗真
しおりさん…
アナタは…
たくさんの愛を、僕にくれたアナタは…
この百合のように、いつか儚く
散ってしまうのだろうか。

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夜、帰り道。
領としおりは、何もしゃべらぬまま、ただただ歩いていた。
しおりと同じスピードで歩く領だが、異様なほど悲しそうな表情をしている。
それはしおりにも、耐えられないほど気まずく、自分も悲しみが降り注ぐように胸が痛かった。
「聞きましたよ」
わざと話を膨らませるしおり。
「お姉さん、いるんですね」
領「……」
「事務長さんが、すごく仲良いって。」
しおりはまだ何も分かっていない。
領と姉の事情を…。
「…きっと自慢の弟何だろうな」
「天使の弁護士ですもんね。」
そう言ったしおりは、気付いたら先を歩いていた。
領は、その場で立ち止まっている。
領「…僕は…天使なんかじゃありませんよ…」
領は、その場で初めて、声を出した。
だけどそれは、苦しくなるほど消えそうで、悲しい声。
しおりは、領の近くまで歩み寄る。
領「…じゃあ」
立ち去ろうとする領。
その腕をしおりは、行かせないように掴んだ。
領「……」
「何を悩んでいるのかわからないですけど、力になれることがあったら、言って下さい。」
領「…っ」

領はしおりを見ている。しおりは話し出す。
「神父様から聞いたことがあるんです。天使とは、美しい花を与えるものではなく、悩んでいる人のために務めるもののことだって。」
領「…っ」
「…私じゃ…
成瀬さんの天使にはなれませんか?」
しおりの目は領を見つめている。この揺るぎないしおりの想いに、領は惹かれていっているのだ。
「…!…すいません、なんか私…」
自分が言ったことに今気がつき、しおりは、思わず掴んでしまっていた領の腕を離す。
感極まった領は、
涙を流し…

しおりを抱き締めた。
きっと領の、迷いに迷った行動だっただろう。
そんな領が、しおりへの想いがより一層強くなった瞬間だった。
魔王 終
