鳴りもしない携帯をちらちらと何度も確認する。

『そっちも楽しんで』ってなんだよアイツ。
俺(ニノ)が今日何するか知ってるってこと?
やっぱ単純にニノと入れ替わったのか俺?

てか『そっちも』ってなんだよ『も』ってなんだよそっちも潤と楽しむ気かよ!?
何する気だよっつーかアレか、そんなこと言うってことは俺のLINEも見られたのか。
やばい超恥ずかしい。
これは恥ずかしい。
え?カメラロールとか?それも?
待て。待て待て待て。
それはあれだろさすがに人として見ないだろ。
ニノのLINE調べた俺が言うのもなんだけど踏み込んじゃいけないラインてあるだろ。
うわーまじか。終わった。
俺が今誰なのか知らないけど是非とも元に戻れるならそれと同時に記憶も消して欲しい。

「カズほんと大丈夫?なんかトラブル?」
「や、なんでもない!道混んでるね」
慌てて携帯をケツポケットに入れて座り直す。
ナビの行先はずっと赤い線が続いていた。

「…しりとりする?」
相葉くんが家族でドライブするときは必ずするって言ってたのを思い出して提案してみる。
「んーん」
乗ってくるかと思ったのに相葉くんはあっさり断って。
「なんかこのままだと日が暮れちゃいそう。戻る?」
だって。
せっかちってこういうのも含まれるのかな。

「え。でも」
「カズもなんか上の空だし」
怒ったのかとドキッとする。
相葉くんを怒らせるなんてしたことない。
怒ったとこなんて見たことない。
けどあれか、ニノになら見せるとかそういうことか。

「や、そんなことないよまーくんとドライブなんて滅多に出来ないし楽し…」
「次のインターで降りよ。車じゃなんも出来ないし」

車じゃ?なんも?出来ない??

どこで何をする気ですか相葉さん!