「だから次に行くしかないんだよ」

智はグラスを置くと ふぅ、と溜息をついた。

バカ呼ばわりされて。
もう当分ここには来ないと決めていたのにやっぱりこんなこと話せるのはコイツしかいないのが悔しいんだけど。

「いやそんな簡単に行けたらとっくに行ってるって…」
「俺はあれから考えた。考えて考えて考えた」
智は遮るように、深刻そうに話し始める。
「…はぁ」
こういうとき、絶対大した内容じゃないのがわかるから早々に聞く気は失せていた。

「まずは潤くんに行ってみようと思う」
「はぁ!?」

ほらもう大した内容じゃない上にどうしようもない、この人。
大体考え抜いたみたいな言い方してるけど、この前すでにそんな感じしてたしね?

「翔ちゃんには入る隙がない」
「俺にはあんのかよ。つーかなにその消去法で選んだみたいな理由」
「違う違う、俺が翔ちゃんに、じゃなくて潤くんが翔ちゃんに入る隙がないんだよ」
「なくないだろ相葉くんのことはもう諦めてんだから」

智はいつもの無表情をさらに無表情にして。

「……潤くんてほんとバカ」
「あのさ、俺のことバカバカ言い過ぎじゃない?」

「25メートルプールにさ、1日1滴ずつ水を落としていくとして」
「はい?」
「プールがいっぱいになるのにどれくらいかかるかわかる?」
「え。わかるの智?」
「わかんないよ」
「じゃ何の話だよ」

今日の智は脈絡がなさすぎる。
俺翔くんの話ししに来たんだけど…

「1滴ずつでもいつかは満たされるって話」

智はグラスに残ってたビールをくっと飲み干した。

「潤くんの頭の中、いつか俺でいっぱいになる日がくるんだよ」



………何その自信。









☆おはようございます…
先日のコメ返も途中ですみませんの世界です(^_^;)

大分ブログを放置してる間に各地で猛威を奮った台風、北海道の地震。
皆様大丈夫でしたか?
心よりお見舞い申し上げますとともに一日も早い再建をお祈り致します。

早く皆が日常に戻って好きな人を追っかけて、
欲を言えばアニバコンに参戦できますように!!