ニノと話しがしたいってこと、相葉ちゃんが知ってるのかわかんない。
このあと個人的に用事があるのかもしれないし
俺との話しが終わったら合流するのかもしれないし
そんなにお互いのプライベートは干渉しない主義なのかもしれない。

とにかくいつもならさっさと楽屋を出るニノがいつまでも席で携帯をいじってるのを
相葉ちゃんは特別構うわけでもなく皆に挨拶して出ていった。
翔ちゃんと潤くんも不自然なほど自然に振舞って出ていった。

楽屋の外にはマネージャーやスタッフが待ってる。
だからほんとに、ほんとに言いたいことをバシッと決めて終わらせなきゃ。

「あの…さ」
向かいに座って重い口を開くとニノは携帯を横に置いた。

どこか警戒しているような、表情を読み取られまいと無理に作ったような無表情。

「俺…俺ね、相葉ちゃんのこと好きだよ」
「…っ、はいっ?」

突拍子もない俺の告白にニノはさすがに表情を変えた。

……結局1週間考えたけど何にも浮かばなくて。
考えれば考えるほどただニノとの楽しかった思い出が浮かんで。

あれもこれも伝えたい。
あなたのどんなところが好きだったとか、
何をされて嬉しかったとか。
もっとこうしたかった2人でいたかった好きになってほしかった

考えれば考えるほど最後は泣きたくなるから途中で考えるのをやめた。

「え、なになに何の話?」
「でもニノのことはもっと、特別に好きで」

本人を目の前にしたらきっと色んな言葉が削ぎ落とされて口から出るだろうって今日この瞬間に賭けたのに。

「……だから、大好きなニノが、大好きな相葉ちゃんを選んだことは喜ばしいことで」
「………」

でも今話してることは多分分かりづらくて無駄なことばかり。
頭がゴチャゴチャしてなんにもまとまらない。

なのにニノはいつもみたいな茶々も入れずに黙ってる。

「大好きな、ニノが。…俺を、選ばなくて…相葉ちゃんを…選んだんだけど。俺はニノが、好きだから…」
「………」
「….ごめん…こんなこと言われても…困るよね」

潤くん、やっぱ困らせない言い方なんてわかんなかったよ。
結局俺は失恋するためなんて聞こえのいいこと言うだけで
自分の気持ちに区切りをつけるためにニノにその負担を半分負わせて
ニノが幸せになる邪魔したんだ。

俺の気持ちも知らないで1人で幸せになっちゃうニノに
何か仕返しがしたかっただけなのかもしれないよ。

こんなこと、潤くんはしちゃいけないよ。


「…別に困らないよ」
「……え?」

「貴方にそんなこと言われて、困るヤツなんて多分いないと思うよ」
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