「翔くん昨日いつの間に帰ってたのー!?」 

昼休みや下校は逃げることができてもさすがに朝改札で張られてたらそれは無理で。

「え、普通に帰ったけど」
「教室の前で待ってたんだよ!」
「頼んでないし…」

さくさく歩く俺に潤は必死についてくる。

「今日の昼はどこで食うの?」
「お前友達いないの?」
「めっちゃいるよ!」
「そいつらと食べなさい。オトモダチは大切に」

そんで改札んとこから遠巻きに潤を見てついてきてる女子たちがずーっといたから。

「ファンも大切に」

振り切るようにコンビニに入った。






蒸し暑い理科室。

棚を覗くと付箋はそのままだった。

しばらくそれを見て……ぺり、と剥がして丸めた。


また勝手にエアコンを点ける。

今日も先生は来ないのかな。
しばらくしたら二宮さんが来るのかな。


餌はやらずにいつもの席についてビニール袋を開けた。


コポコポ酸素ポンプの音。
もくもくタマゴサンドを噛む音。


…こんなに居心地悪かったっけ。
こんなに時間が経つのは遅かったっけ。

今日に限って眠気も襲ってきやしない。


するとカラ…と遠慮がちな音が聞こえて。

勢いよく振り返ると
「…、っあ」
変な声出た。


「せん…」
「餌やった?」

初めて…先生から質問された。

「や…勝手にやっちゃまずいかと思って」
しどろもどろの俺の横を通り過ぎて棚から餌を出す。

また無言で餌をやって無言で金魚を見つめてる。

…心の中で「久しぶり」とか言ってたりして。

「…ふっ」
想像したらちょっとウケて。

「何?」
先生はこっちを見るから思わぬ反応にびびって。

「いや、久しぶりですよね。餌」
「あぁ…用務員さんに頼んでたから」
「忘れられちゃいますよ」

先生は不思議そうに俺を見る。
いや…不思議そう…かな?
無表情なだけかも。

「金魚。ちゃんと餌くれる人の顔は覚えてるんだって」
「あぁ…」

そうなんだ、って小さく呟いてまた背中を向けた。

「また毎日餌あげないとね」
誘導するように、独り言のフリして。

「…そうだよな」
先生も独り言みたいに言った。






☆昨日はお返事できずにすみません~!
息子がテレビ台にしがみついてテレビを観てしまうので
対策の人工芝を買いに行ったりしてました。←痛くて踏み入れなくなるらしいです。
さて効果はあるのか…
これから設置してみます!(`・д・´)





【結果】




ただの足つぼ。