「じゃ、明日から授業は通常通り。以上」

夏休み明け、最初のホームルームだってのに相変わらず先生は
伊達眼鏡の奥の目を伏せたまま教室を出る。

生徒の誰のことも見やしない。

俺のことなんか見ちゃいない。

あんな風に笑ってくれたくせにほんとに何もなかったみたい。


ダラダラと鞄に筆記用具をしまってると相葉くんが近付いてきて小声で
「顔の濃い1年が待ってるよ?」
だって。

「まじ?どっちのドア?」
「うしろ」
「じゃ前から出るわ。ありがと」
「ううん、くふふ」

なんで俺が潤から逃げてるのかを相葉くんが知ってるのか
わからないけどとにかく感謝だな。

初日のこのだるいテンションに潤はきついわ。

なるべく人が廊下に溢れた頃を見計らって前のドアから出た。


わかってたけどそっちの階段は………



理科室に続く渡り廊下のある、方。


皮肉にも潤が待ち伏せしてくれてたことが俺の背中を押すことになるなんて…。

理科室に行くのを躊躇ってた俺には丁度いい理由が出来たわけで。


『ちょっとかくまってください』
『1年に俺のストーカーがいるんです』

…そう言えばまた笑ってくれるかな?




―――理科室は暗かった。
暗くて、暑かった。


勝手にエアコンをつけて…いつもの席に座る。


今日は先生は来ないのかな。
まだ昼休みにはなんないのかな。


…そういえば初めて水槽全体を見た気がする。
いつも半分以上先生に被ってたから。

水草、結構もりもりにあったんだな。

…腹減ってる?
先生はまだだからもうちょっと我慢しろよ。

そんなことを脳内で語りかける。


……先生もいつもこうやって金魚に話しかけてたりして。


ふっとおかしくなって笑った。


その時突然ガラッとドアの開く音がして―――
「!」

振り返るとそこには小柄なシルエットが、いた。




☆お蔭様で息子の熱も下がり元気に電車に向かって
覚えたてのバイバイをするようになりました。

ご心配いただいた皆様、ありがとうございました\(^o^)/


ではごく一部のエイリアンマニア様に贈る1枚を…


Sakuraが始まると何をしててもビクーッてなってテレビに近付いて拳を振り上げます。
教育の賜物です。