「リーダーこれありがとう」

楽屋で差し出されたトートバッグ。
相葉ちゃんの笑顔はちょっと違和感があった。

「あ、もう読んだの?翔ちゃんも読んだ?」
受け取ろうと手を伸ばす…けど相葉ちゃんはバッグから手を離してくれない。

「んふふなぁに?あげないよ?」
「リーダー」

反対の手がにゅって目の前に差し出されて。

「これも…ありがと」
「!!」

この漫画大人買いするときに色々調べたものが書いてあるメモ。
しかも裏には…

(見られた!)

恥ずかしさで顔が熱くなっていく感覚と、うまい言い訳しなきゃって
脳みそがフル回転してわけがわかんなくなる。

「や、これはその、俺書いておかないと忘れちゃうしその似顔絵は
メンバー全員描いてて今年は誕生日にそれぞれ描いてあげようかなって」
「そうなの?」

相葉ちゃんは優しく笑ってる。
ぱーって周りも巻き込むような明るい笑顔も大好きだけど…
こういう笑顔も大好きだった。

「おれだけにだったらすごくうれしかったんだけど」
「…え?」

「おれリーダーのことすきだから」

力が抜けて、相葉ちゃんももうバッグをちゃんと持ってはくれなくて
どさりと音がして中の漫画が散らばった。

「すきだから…うれしかったんだよ」




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智くんは目をまんまるにしてる。
いつもどちらかと言えば無表情だしぼけっとしてるけど
今日は目をまんまるにして口は相変わらずの半開き。

「きもちわるい?ごめんね。リーダーはすきなひとがいるんだよね」

それがおれだったら、なんてほんのちょっぴり期待したけど
この表情はちがうみたい。
でもいいや。
きもちよくフラれることができそうだよ。

「おれが勝手にすきなだけだから…いつかすきじゃなくなるまで
すきでいさせてほしいだけなんだ」

智くんはなんにも言わない。
言えるわけないよね。
急に男にガチの告白されてしかもそれが仕事仲間。
断るのも気を遣うよね。

「そんなこと言われても迷惑だよね、くふふごめんね」

もうそろそろこの話はやめた方がいいかなとおもって
床に落ちたマンガを拾おうとしゃがむ。

「このメモうれしかったから…そんだけ。ごめんね」

そう言ってたら智くんが立ち上がって、その影がマンガに重なった。

「なんで謝るの」
見上げると智くんはいつもの無表情で。

「なんでそんな謝るの?俺の返事はいらないの?」
「え、いいよおれを傷つけないようにとかそんな考えるなら…」

「俺の好きなひとは相葉ちゃんだよ」

智くんは無表情だけど…声がふるえてた。