「・・・で?」
「で・・・って」

目の前の潤はこれでもかってくらい冷めた目で俺を見てる。

いつもの居酒屋のいつもの報告会。
・・・でもそれも今日で最後かも。


「そんで・・・本格的に寝ちゃったからそのまま雅紀はソファに寝かせて・・・」
「ばっかじゃないの!?」
潤は最後まで聞かないで椅子に寄りかかった。

実際バカだと思うよ。
けど、けどさ、寝ちゃったんだもん起こしてまでどうこうできねぇよ。

しりとり混じりに告白してもどうだろうって今は思うし
つーかなんてったって相葉くんはお前のことが好きみたいだし・・・

「てか水飲ませてって言われてふつーーーに飲ませたの?」
「え・・・当然だろ。それ以外に何があんの」
「ばっかじゃないの!?そこは口で、でしょ!」
「えっっ!?」
バカはお前だろ!
なんだよそれ。
ちらっとも思わねぇよそんな破廉恥なこと!



「え、そんで朝は?普通に帰らせたの?」
「いや・・・起きたらもういなかった。メールでお礼だけ来た・・・からもうわかんねぇよ俺」

おしぼりを手持ち無沙汰にいじってみるけど
全然落ち着かない。

「・・・ブランケットの匂いは?同じ香水だったでしょ?」
潤のフォローも痛々しいよ。

「それもわかんねぇよ焼肉行ったんだもん」
「チョイス最低!何やってんの翔くん」
「あーもういいの!いいんだよもう!」

思ったより大きな声が出て慌ててトーンを落とす。

「・・・もういい、雅紀のことは諦める」
「はぁ!?なんで?そこまで行ったらあとちょっとじゃん。
次から家も呼びやすくなったし・・・」

「もう呼べないよ」
「なんでだよ自然に誘えるでしょ?」

コイツ何も知らないで・・・雅紀はお前のこと。

「・・・誘えないよ食事も家も」
「どんだけヘタレなんだよもー!」
「ヘタレって言うなよ俺まじ頑張ったんだから」
「ヘタレでしょそんなの本気で好きならもうちょっと・・・」
「うるさいな雅紀はお前のことが好きなんだよ!」

言っちゃった後、自分の言葉にハッとした。

きょとんとしてる潤。

時間が止まったみたいに周りの音さえ聞こえなくて。

「・・・あ・・・」
「え・・・?」

やべぇ。言うつもりなかったのにあまりにヘタレヘタレ言うからつい・・・

「・・・なわけないじゃん何言ってんの翔くん?」
「・・・だって・・・」

「・・・ほんっとヘタレ。何言われたのか知らないけどさ、もっと考えなよ」
残りのビールを流し込んで潤は席を立った。

「いや・・・もう考えるのやめて行動に移しな?」
なんかわかんないけど俺・・・怒られてる?

「ほんとに好きなら簡単に諦めるとか言っちゃ駄目でしょ」

わざとらしく伝票が目の前に置かれて。

「もう翔くんにアドバイスすることはありません」

潤は個室から出て行った。