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「この道混むんだよなぁ…まったく大野さん勝手なことして」
さっきから少し動いてはすぐ止まる車に苛立ちを隠せないニノ。
「どっか予約してくれてんの?」
「…キャンセルした方がいいかも。まぁいいや。あとで電話しときます」
運転席のニノはいつも思うけど…ちょっと違和感がある。
まだ高校生役もできるくらい幼い容姿でハンドルを握るニノは不思議な感じ。
「…あんまり見ないでくださいよ。ところで今日はどうでした?」
「朝7時に相葉さんが来てー…」
「7時!?あの人ほんと馬鹿だな」
「でもすげぇ料理作ってくれてさ、うまかったよ」
「馬鹿みたいな量作ったでしょ」
「そうそう。食いきれないの。ははっ」
「で、リーダーとは釣りなんだけど…全然ダメだった。時間が悪かったんだろうね」
ニノは黙って聞いてる。
「でも俺リーダーと釣りしてみたかったから楽しかったよ」
「…それはよかった」
しばらく沈黙が流れて。
でもそれは決して居心地の悪いものじゃなく。
朝早くて長時間日差し浴びてたからか急激に眠くなってきた。
「潤くん眠いなら寝ていいですよ」
…ニノの声は心地いい。
「…くん、潤くん起きて」
肩を軽く叩かれて目を開けると薄暗い駐車場だった。
「…あれ?ここ」
「予定が狂ったんで…もう私から直接プレゼント渡しちゃいます」
「え?だってここ」
ここを俺は知ってる。
「潤くんが一番欲しいもの用意しました」
「え、ニノ」
ニノは車から降りると俺の方にまわってドアを開けてくれた。
そしてわざとらしく執事みたく手を差し伸べる。
「プレゼントがお待ちですよ」
その手を取るとふいに引き寄せられてほっぺたにキスされた。
「潤くん、誕生日おめでとう。大好きですよ」
びっくりしたけど今日3回目だし、何よりその「用意されたプレゼント」が
俺を死ぬほど緊張させてるんだ。
「明日また改めて中華と鯛食べさせてください」
いたずらっぽく笑ってニノは車に乗り込んだ。