「別れよ?」


あぁ・・・そうだよね。

当たり前だよね。

こんな話聞いて「話してくれてありがとう。おれも好きだよ!」なんて言う奴いないよな。


ただ雅紀の傷を深くして・・・俺は何をしてるんだ。


雅紀のいないこれからを、俺はひたすら後悔と自責の念に囚われながら生きていくんだ。

俺の身勝手な行動でどれだけ人を苦しめたんだろう。


もう俺は・・・。


「・・・それでまた、ゼロからやり直そう?」


そう聞こえた気がした。

幻聴?

ついに俺願望が聞こえるようになっちゃった?


「・・・翔ちゃんは、にののフィルターでしかおれを見てなかったんでしょう?

だから・・・ちゃんと翔ちゃんの目でおれを見て。それでちゃんとすきになって?」


雅紀の目は強かった。

俺に嫌われまいと健気に振舞う雅紀はもうそこにはいなくて、

また俺は自分の小ささに恥ずかしくなった。


「おれも翔ちゃんの全部を知って、それからまた翔ちゃんをすきになりたい」


「ほんと・・・に?俺また好きになってもらえるの?」


ああ。やっぱり自分勝手な発言してる。

なんでこんな言い方しか出来ないんだろう。


「・・・俺雅紀がまた好きになってくれるならなんだってするよ。なんでも言ってよ。俺」

「何もしなくていいよ。何かしたらまた変なことになるから、くふふ」


この笑顔だ。


きっと皆この笑顔に惹かれていくんだ。


ただ無邪気だとか、可愛いとか、そんな単純な笑顔じゃないんだ。


きっと雅紀は人の辛さも弱さも知っていて、それでも大丈夫だよって。

それでも笑っててあげるって。

そういう笑顔なんだ。


「もう俺はちゃんと雅紀を見てるよ。ちゃんと俺の目で見て・・・好きだから」

「・・・うん」

「その気持ちだけ・・・受け取ってよ」

「・・・うん」


これが貴方の負担にならないといいな。

これが貴方の望むものならいいな。


潤からもらった気持ちは俺の中に根付いて、きっと俺を大きくするよ。

貴方から気持ちをもらえるなら、そのためにきっと俺は強くなるよ。