「ねぇ潤見てこれ」
「んー?」
ソファにもたれてる俺に翔がいじってた携帯を見せてくる。
いつからかな。
その近さも、においも、温度も、いつからどきどきしなくなったんだろう。
「くだらねぇよなぁ」
そう言って笑うあんたを、いつから愛おしいと思わなくなったんだろう。
嫌いになったわけじゃない。
別れるほどのことでもない。
この世界のどれだけの恋人たちがこんな関係で一緒にいるのだろう・・・
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「相変わらず仲いいですね」
移動中も楽屋でも一緒にいる俺らに、ニノがからかうように話しかけてきた。
翔は嬉しそうに
「だから逆に意識して収録中変な距離とっちゃうんだよな」
と言った。
「まぁあんまりくっついてないでくださいよ。そういうのは二人のときだけにしてください」
意味深に笑うとニノはリーダーの元へ行ってしまった。
「変なの、あいつ」
翔は俺の腕に手を通すとそのまま新聞を読み出した。
「・・・読みづらくないの?」
「いーの。潤に触れていたいの」
「・・・ふぅん」
「ちょっとは喜びなさいよアナタは」
答えられずに、俺はその新聞の見出しを何度も読み返した。
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翔が好き。
俺は翔のことが好きだ。
ただ時間とともに最初のころのときめきがなくなっているだけ。
翔が俺を好きでいてくれることは当然じゃない。
だから大切にしなきゃいけない。
翔のことを、この時間を、この空間を。
・・・こんなことを考えている時点で俺の気持ちはおかしいのか?