小さな光
「みんな、ちゃんと乗ったかい?」
只今、圭吾が車に全員乗ったか確認中・・・・
「圭なんか、張り切ってるね。新米の先生みたい」
「ははっ。本当ですね」
あたしは圭吾に聞こえないように、総くんとヒソヒソ話をしていた。
「よし、出して」
確認も終わり、車は圭吾の合図によって動き始めた。もうそろそろ学校に着く直前に急に目の前に小さな女の子が現れた。
「----!!」
運転手は顔を青くしてブレーキを踏んだ。
-----キーーーッ。
「うわっ」
あたしはバランスを崩し頭を打つと思った瞬間。蓮があたしを抱きしめる形で体を支えてくれた。車は女の子の目の前ギリギリで止まっていた。あたしたちは慌てて車を出て女の子にケガはないかとか、とにかく慌てていた。見た感じでは小学生低学年くらいだと思う。
「ねぇ・・・なんで君のような子がこんなとこいるか教えてくれるかな?あ、それと名前教えてくれるかい?」
圭吾はニッコリと微笑んで優しく女の子に質問した。それに対して女の子は圭吾の顔をじっと見ていた。よく見るとおんなのこは目がクリッとしていて、肌は色白で綺麗な顔立ちだった。だけど・・・
「質問は一つにしてくれる?まぁ、仕方がないから答えてあげる」
これと似たセリフどこかで聞いたことがある・・・どこだっけ?
「で、二つも聞き取れなかったからもう一回言って・・・」
小学生(推測)だと思えない上から目線のお言葉・・・圭吾の顔が引きつってるー!
「やっぱいい。まぁ、目的は言えないけど、この近くにある高校に用があるの・・・まぁ言えるのはそこまでだけどね」
この子、なんか空と気が合いそう。
「あと、名前はだったね。私は芹沢葉月、小学2年生」
「芹沢?」
葉月ちゃんの名前を聞いていち早く反応したのは圭吾だった。
「どうしたんですか?そんなマヌケな顔して変ですよ?」
本気なのかワザとやっているのか・・・(おそらく、本気)圭吾をマヌケ呼ばわりする総くん。どうやらどの状況でも人をイジメたいらしいな・・・この人は。
「神威くん・・・今俺、驚いてるの。空気呼んで」
「で、何に驚いてんだ?」
少し興味深く聞く俊。にしても、この子。あたしたちを見ても怖がる素振りも見せない・・・普通なら泣くか、とても怯えた顔をするだろう。圭吾や総くんはともかく、俊や蓮は普通からしても近寄りにくい存在・・・それなのに、葉月ちゃんは無表情を崩すことなくみんなと接している。ある意味大物なのかもしれない。それに、まだ小学2年ならランドセルを背負ってるはずなのに、そのランドセルもないし、葉月ちゃんの近くには親らしい人はいない。
「芹沢・・・芹沢財閥。芹沢グループの娘じゃないかい?葉月」
「私を呼び捨てにするな。私を呼び捨てしていいのは姉様と巫琴だけだ」
「!!」
今、葉月ちゃん巫琴さんの名を・・・。姉様?分からない。今あたしだけ?この話についていけてないのは・・・。あっ、でもみんなは巫琴さんのこと知ってるんだ!あたしはそう一人で納得していると、
「誰だそれ?姉様?巫琴?聞かねぇ名だな」
えっ?なに言ってるの?あたしは頭が真っ白になった。そんなあたしにお構いなしに蓮は続けた。
「人探しは交番行って、聞いて来い。俺らはテメェみたいなやつに構っている暇なんてねぇの」
「ふーん。今から学校?どこの?」
「お、おい。人の話聞いて「早く答えたら済む話」
葉月ちゃんは蓮になんと言われようがここから動こうとはしなかった。おまけに、蓮が喋っている途中だったのにそれを遮った。恐るべし、現代小学2年生・・・。それにさっきからクスリともしない葉月ちゃん。
「花桜高校ですよ」
ニッコリと優しい笑顔で葉月ちゃんの質問に答える総くん。
「あっ・・・そこ私が用ある学校。連れてって」
なんて正直なんでしょうか。こんな人たちに連れてってなど頼めるでしょうか?あたしは断固無理だ!
「何か腹立つな、このガキ」
俊は、葉月ちゃんの態度が気に入らないようで・・・・
「勝手に腹立てといてガキ呼ばわり?人の名前も覚えられないの?可哀想にさぞかしバカなんでしょうね」
さっきから毒を吐きまくる葉月ちゃん。正直なんだよきっと、素直すぎるんだよ。うん・・・・素直なんだよ葉月ちゃんは。
「ははっ。そんなこと緒方さんに言えるのはこの世で葉月さんと時音さんだけですよ」
「時音?今・・・時音って・・・時音って言ったよね?」
「ええ・・・言いましたよ?どうしたんですか?そんな取り乱して」
「ど、どこにいるの?そっ、その時音って人・・・」
ひどく慌てていた。さっきまで毒を吐いていた葉月ちゃんとは全くの別人で・・・。
「教えて・・・!私に、時音・・・時音姉様はどこ?」
「えっ?」
今、あたしのことなんて?
「「「「時音姉様!?」」」」
こ、こいつら・・・あたしのことバカにしてる!!しかも必死に笑いを堪えようとしてるのが丸分かり。だって現に圭吾の肩が震えてる。
「ねぇ・・・・笑ってないで、答えてよ・・・・。お願いだから」
今にも泣き出しそうな弱々しい声で蓮にすがる葉月ちゃん。蓮は笑い終えるとゆっくりと、指を差した。
「そいつ」
蓮の指先には・・・そう、あたし。
「こ、こんな近くに姉様がっ・・・・」
「待って!あたし・・・」
-----キッ。
「着きました」
-----あたし、姉妹なんていない・・・・。
そういい終える前に学校に着いてしまった。
「今日はここまでにしとく。時音姉様にも会えたし」
何もなかったように帰っていく、葉月ちゃん。この時、葉月ちゃんがあたしを探していたことを怪しく思っていればよかった。あんな幼い体で必死にあたしを守ろうとしていたこと、全てに気づいてあげれてたら、誰も傷つかずに済んだのかな?










お腹すいた!だるい!

ほんま良かったわ、ゆかりに怒られるとか内緒で