日本型社会主義の変革〜戦後タブーの脱却・洗脳的中立の脱却 | あらやす日(本)誌

日本型社会主義の変革〜戦後タブーの脱却・洗脳的中立の脱却

社会主義・共産主義は、

無政府主義が合体しなければ、

個人の所有権=物に対する自由等を奪って、

人も労働するモノにして労働力を完全に確保し、

その他の生産手段や技術等も国家管理する。

 

【蛇足】

社会主義・共産主義と無政府主義が合体したら、独裁者等の特権階層が生まれ、労働者と親衛隊のような軍隊を独裁者が完全に所有して社会的収益を特権層階層が獲得する国(北朝鮮のような国?)になるのだろう。または、完全に外国の属国になるのかもしれない、

 

 

国家管理の組織は、

共産党・ナチ党等による一党独裁的な統治だけでない。

複数の政党を許容する議会制民主主義下であっても、

肥大化した行政権(行政官庁等)による統治体制になれば、

国家管理は厳格になり、経済市場等の「自由」を抑制する。

 

日本は、

共産党を政党として認めて、

さらに、

行政権が肥大(行政官庁等の諸規制等の多さ)していることから、

諸外国と比較すれば、

比較的に見れば

議会制民主主義下の社会主義的な国に見えるようだ。

 

【蛇足】

・日本労働組合総連合会(連合)は、大手の諸企業の組合を中心に会員約680万人で、他の組合の会員や関係者(旧・会員やご家族等)を入れれば一千万人超えだろう。

・日本で行政権に関わる官公庁等の関係者(約400万人)は、組合関係と共に日本最大の政治的圧力ができる団体になりかねない。しかし、実際、専門職的な個々の行政部門(防衛・警察・消防・教育、技術職等)と一般事務職的な行政職には差異があり、諸官庁は組織的に機能分化していて団結しにくい。税金等の歳入・歳出で行政権を支配しかねない財務省の存在が目立ちやすいが、警察や裁判所等の司法権を取り込んでいることで、肥大化した行政権内部に対して第三者的・監査的な監視機能はあるようだ。

 

 

日本が焚書坑儒的に導入を抵抗した経済思想「新自由主義」は、

東西冷戦時、

旧西側陣営の反・共産主義の理念になり、

また、

金融・経済に大きな力を与えて東西冷戦で旧・西側は勝利し、

(目に見えにくい経済的な勝利なのでまさしく「冷戦」的に勝利し)

東西冷戦後、

今でもグローバリゼーションの源になっている。

 

【参考】

・フリードリヒ・ハイエクは1974年・ノーベル経済学賞を受賞。ハイエクの著書『隷属への道』は、1944年、アメリカのシカゴ大学で出版され初版で35万部、今まで200万部を超え、グローバリゼーションを支えるリバタリアニズム、新自由主義の原点になった著作。日本で『隷属への道』が翻訳出版されたのは、東西冷戦終了後、1992年頃なので、日本では左派を温存したい中立政策のために、焚書坑儒的な動きがあったのだろう(欧米に留学して学んだ日本人はいるが…)。日本は…中立的な政策のもとで反共的な動きを抑制し、日本の政治学・経済学等も左傾化していたたため、日本の学術界等は新自由主義の導入をなかば拒否していた(?)ようだ(今も…受容しない感じ)。

・1970年代、東西冷戦時代の頂点時期に、ハイエクとフリードマンがノーベル賞を取り、新自由主義(グローバリゼーションの源)は、反共産主義の経済思想として尊重されてきた(日本以外の多くの国では…)。ハイエクのいた米・シカゴ大学で新自由主義=シカゴ派が成長し、ハイエクの弟子ミルトン・フリードマンは、ハイエクのノーベル経済学賞受賞の2年後、1976年にノーベル経済学賞を受賞。

・ここ半世紀で、日本の「学問の自由」に対して違憲的に高等教育への導入等を阻害したのは、軍事学・戦史・インテリジェンス等の軍事関係の学問と経済学で学ぶべき「新自由主義」関連の学問だ。日本は、軍事関連の学問は防衛大学校だけに集約してきたが、「新自由主義」関連の学問は…1970年代〜1980年代、基本書等の出版もなく、今もほとんどの大学・大学院で教えることはできないだろう。

 

 

もし、

今、

新自由主義をつくったハイエクや弟子のフリードマンが生きていたら…

彼らは日本の統治体制、国政を徹底的に批判するだろう。

 

【蛇足】

・旧・西側圏が標榜した「新自由主義」は、「核」兵器等の軍事力に代替する「マネー」の力を発揮して、旧・東側圏に多大な影響を与えて東西冷戦の解消になったようだ。

・1980年代、イギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権は、「新自由主義」を実践し、産業界の組合に圧力をかけて縮小・解体させ、「グローバリゼーション」に拍車をかける無国籍的な金融資本を拡充させて、英米の政府は社会保障体制も縮小させる「小さな政府」を目指した。当時、アメリカは日本に対して圧力をかけてきたが、中曽根政権は左派勢力や行政権の関係者と組んで抵抗したと思われる。

・「新自由主義」がつくった「グローバリゼーション」に対する日本的抵抗は小さくなっているが、「グローバリゼーション」の行き過ぎで国益を損失してきた英米等では抵抗が大きくなっているようだ。

 

 

日本は長年、

過激派や反日、ストライキ等の行動派と距離を置くことを条件にして、

(思想上の接点があるので、距離でしかなく、完全に関係を絶つことは困難だろう…)

「共産主義」を受容して、

企業等の組合を中心に言論活動中心の左派勢力を温存し、

社会人、労働者の「軍」ともいえる組合の組織をタブーにせずに受容してきた。

 

1970年代までは、

経済市場等を国家的に一体化して管理して経済成長を遂げたが、

結果的に行政権を肥大化させて多くの経済規制等を構築した。

また、

欧米の旧西側諸国で、

政治・経済学上、反共産主義の思想になっていた普通の理論について、

特に新自由主義等を日本社会(出版・メディア・大学等での情報共有)は拒否してきた。

さらに、

日本は半世紀以上、

不思議なことに、

正規の「軍」をタブー(禁句的抑制)にして、

国内外で簡単に説明しにくい「自衛隊」にしている。

 

日本は軍事大国ではないが、

日本の最大の宝は人材であり、

数値化した労働生産性以外のことまで入れて、

総合的に評価したら日本は濃密な労働大国だろう。

 

客観的に、国際的に見れば、

政治学・社会学上等で先進諸国と比較すれば、

日本型社会主義の実態は、

わかりやすく、見えやすいが、

定義等を行わずに現状を受容してきたことで、

日本国内では自然な姿勢に見えている。

 

世界中を見れば、

アメリカ、イギリス等の多くの国々では、

新自由主義をテーゼにしてグローバリゼーションをつくって、

民間レベルで経済市場の覇権を拡大し、

東西冷戦時に組合活動は抑制され、

国は小さな政府になって行政権=行政組織は縮小されている。

 

日本のように行政権が肥大している国では、

国の首(成長性等)を絞める社会体制になり、

たとえば、

公務員の人口割合の多いイタリアやギリシア等の経済成長は、

ほぼ完全に衰退している。

行政権が肥大している国=公務員が多い国は、

民間の産業で働く人々が貧しくなり、

公務員の生活が豊かに見えて、

行政関係者が特権階層に見えてしまう。

 

その中間的に、

欧州諸国等、多くの先進諸国が存在しているが、

地球上、多くの国は、

行政権=行政組織は非常に小さくなり(極小の政府になり)、

最悪な治安状況になっている。

また、、

極小の政府では、

経済市場等を管理、規制ができずに、

現代の植民地支配的なグローバリゼーションの動きの犠牲になっているようだ。

 

さて、

はて、

日本は、

諸外国と比較照合して、

珍しく受容してきたこと

(「社会主義・共産主義」「行政権の肥大現象・諸規制」「メディアの第四の権力化」等)、

珍しくタブー視してきたこと

(「軍・軍事学」「核シェルター」「新自由主義」的経済学等)、

半鎖国的に独自に構築した主観的国家観について、

正確に客観的に見てゆけるか?

 

こうした客観化の中で、

偏向せずに、

試行錯誤しながら、

環境変化に対応しながら、

取捨選択するのが日本の伝統的な知性なのだろう。

 

【蛇足】

・自民党は長年、行政権を巻き込んで行政権を握るために、元官僚の議員をつくって議会に送ってきた(議会=立法権が行政権に支配されやすい(一部支配されていた)状況かもしれない…)。

・安倍政権下での「岩盤(規制)へのドリル」は、小泉政権に類似した行政権への積極的な介入だ。安倍政権が目指す成長戦略の核にしたい「規制緩和」は、裏で行政権を敵に回したことになり、森友・加計学園問題の裏には、規制緩和を目指す安倍政権打倒の目的で行政権の一部(官僚・元官僚等)と野党・メディアとの連携があったように表からは見える。

・希望の党等の野党勢力は左派勢力を取り込んで、行政権も巻き込むかもしれないが…行政改革を自民党よりも行うことで行政権を自民党よりも敵に回すかもしれない(それを脅迫的に使って行政権を自民党よりも巻き込むかも…)。かつて、小泉政権(2001年〜2006年)は、日本周囲で東西冷戦が終了したことで、欧米の「小さな政府」の流れに乗って、郵政民営化等で行政権の縮小(聖域なき構造改革)や非正規雇用を増大させる(海外移民を労働者にするニーズを減退させる)派遣労働者等の規制緩和をした。規制緩和=行政権の肥大化の解消は、行政権を敵に回しかねないので、議会等での規制緩和の動きには抑制が出てきている。

・小泉チルドレンの刺客として政治家の踏み台にした小池百合子・東京都知事が看板になっている新党=希望の党には、行政権等による国家管理の厳格化よりも自由な経済市場=グローバリゼーションを蔓延させる余地があるるかもしれない。経済市場に介入して抑制等をかける行政権(行政権と癒着しやすい勢力等)に対して無国籍的な国内外の産業界は抵抗し、希望の党に最大の希望(便宜・マネー等)をかけて味方になるのかもしれない。