先日、Eテレで放送していた番組。
母を殺した父へ ―親族間殺人・残された家族の苦悩―
これは、最愛の母を殺した憎き犯人は実父だったという
大山寛人さんを取り上げた番組であった。
と言っても、子供たちのおかげでほとんど観る事が出来なかった
ただ、大山さんのHPがあったので、事件の概要等は
知ることが出来ましたし、大山さんの葛藤や今の活動なども
HPに載っていましたので、だいたいは把握できたのですが・・・
それにしても、この息子さんの手記と言うかを読んでいると
本当に胸が痛くなります。
実の父親が殺人犯で、死刑判決を受ける。
それだけでも大変なことです。
その上、その殺した相手が実の母親と祖父ですから
どれほどの苦しみを味わってきたのか想像も出来ません。
けれど、寛人さんはその憎むべき父親の死刑を
望んではいない。
許しているわけではない。
ただ、父親が死刑で死んだとしても母親は戻ってこない。
それならば、一生かけて反省し後悔し、生きて罪を償ってほしいと
思うようになっていったのだという。
しかし、結果は死刑。
遺族である寛人さんの思いは伝わらなかった。
寛人さんはHPでこう綴っている。
死刑とは、被害者遺族の処罰感情が第一だと思う。
僕は加害者の息子でもあり、被害者の遺族でもある。
被害者遺族である僕が望まない、加害者の死刑とは
いったいなんの意味があるのだろう?
と。
そして、父親の手記というのも読みました。
どうして義父を、妻を殺すことになったのか?
そこには父親の生い立ち等まで遡らなければ
ならなかった。
いわゆる保険金殺人ってことで言われている事件の真相と
父親が語る真実はまったくもって異なっておりました。
もしお時間があれば、ぜひHPより一読していただければと
思いますが、父親の義父に対する疑念、恨み等は
根が深くお金に目がくらんでというような単純明快な
ことではありませんでいた。
もちろん、この手記が真実であれば・・・ということになりますが。
もし、もし、この手記が本当であるならば、そして、遺族である
寛人さんが死刑を望んでいないのに、結果死刑ということになりましたが、
これは本当に正しかったのか?
とても考えてしまいました。
もちろん、どういう理由があれ人を二人も殺めてしまったことは
到底許されるべきことではありません。
そこにどのような理由があれど・・・
ただ、この父親の手記を読んでふと思ったのは、
私たちが日頃観ているニュースなんかでも、私たちがそうだと
思って聞いている内容だったり、真相ってのはまったく異なっているのかも
知れないというちょっと怖さを感じたんですね。
一方的に流されていることを真相だと思って聞いている怖さ。
何かいろいろと考えさせられました。
でも、やっぱりどんな理由があろうと人を殺めてはいけないですよね。
殺されたほうはもちろんですが、その家族の苦悩たるや。
殺された家族も、加害者の家族も地獄です。
ましてや、それがどちらも自分の家族なんて・・・
同じ日に、高島忠夫さん寿美花代さん夫妻の番組も
ちらりと観ましたが、寿美さんが殺された長男の話をしていて
殺されたところが風呂の浴槽だったこともあり、事件から50年近く
経った今でも浴槽には入れないと仰っていたのが衝撃的でした。
50年経ってもまだ癒えない傷なんだと・・・
本当に人の命の重さをつくづく考えさせられた時間でした。
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大山寛人さんのHP 苦悩、憎悪、葛藤の果てに・・・たどり着いた答え