「あの・・・一緒に帰んない?」
「えっ、俺と?」
「うん。」
「ああ、別にいいよ。」
学校では結構話をする方だが、いつもはあまり一緒に登下校することはない、
クラスの女子にいきなり誘われた男子。
まもなく、1番線に、快速、新木場行きが参ります。黄色い線までお下がり下さい。
緑帯の車両が大宮の地下ホームに滑り込んだ。
「最近さあ、学校とかつまんなくねえ?」
「え~、そうかな?」
普通に会話をしていても、彼女は心の内側で焦っていた。
うう・・・どうしよう・・・・ちょうどいいタイミングが・・・・・。
「そういえばさあ、これ快速だよな?」
「うん、確かそうだったよ。」
「そういやあ、お前ってどこで降りるんだ?」
「私、武蔵浦和だから、次で降りるよ。」
「俺は北朝霞だから次で乗り換えなきゃいけないんだよな。めんどくせ。」
次は、武蔵浦和です。お出口は右側、武蔵野線はお乗り換えです。
ホームに停車すると、空気の排出音と共に、銀色の扉が開く。
彼女は考えたまま俯いていた。
「快速ってやっぱ速いもんだな。なあ・・・・って、お前どうした?」
頭の中が混乱しながらも、何とか切り出せた。
「あ・・・あのさあ・・・・これ、もらってくれる?」
「えっ?」
「だから・・・・・今日って14日でしょ。 だから・・・」
「俺がもらっていいのか・・・・・?」
「当たり前だよ! 君のために作ったんだもの。」
お互いに頬を染める・・・・・・。
「・・・・ありがとう。 マジ嬉しいよ。」
「いや・・・美味しくないかもしれないし・・・期待しないでね。」
「そんなことないさ。 君が一生懸命作ってくれたのなら。」
「・・・・・・」
二人共に、照れを隠せなくなっていた。
「・・・・・・あっ、やべえ、電車行っちゃうじゃん! あれに乗らないと予備校遅れちまうから、じゃあな!」
「え? あっ、そうなの? なんか、ごめんね、急いでるのに時間取っちゃって・・・・・・。」
「気にするなって。 それより、ありがとな!」
「・・・・うん。」
お互い、笑顔で手を振りながら帰途についたのであった。