私はらーめんが好きだ。愛してもいる。
ガキの頃から、らーめんばかり食べていた。
親父には「お前のらーめんに対する情熱が学問に向けば、違った人生になるのになあ」といつも言われ、肩身の狭い思いをしてきた。
そんな私が、それまでの自分の営みに自信が持てたのは、会社に入って営業をするようになってからだ。
初めて会う人に、他のどんな話をするより、その人が住んでいる地域のらーめん、あるいは生まれ故郷のらーめんの話をするのが最も食い付きがよかった。
この日本にらーめんが嫌いな人はほとんどいない。
むしろほとんどの人はらーめん好き、一億総らーめん評論家といっても過言ではない。
そんな、食べ物が日本はおろか世界にあるだろうか?
私はらーめんに限らず、食べることに拘りを持って生活している。
確かに、おいしいものは他にも山ほどある。
しかし、らーめんほど可能性のある食べ物はほかにないと断言できる。
誰かが言っていた。
「らーめんは丼の中の異種格闘技だ。」
まさに、その通りだ。
麺とスープさえ入っていれば(スープが入っていないものもある、らーめんのスープにうどんを入れたものもある)、どんな品でも、作った人、食べた人が「これはらーめんだ。」と言えば、らーめんなのだ。
世界各地で、日本発のらーめん店の開店が相次いでいる。日本に来る外国人観光客が味わいたいのは、人々の普段着の生活である。
日本における普段着の食べ物、それは鮨でも鰻でも、天ぷらでもなく、らーめんなのである。