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(ピーチ立ち上げ)
それは、一本の電話から始まりました。
ちょうど12年前、私は実家に住んでいましたが、ほとんど家には寝に帰るだけの生活をしていて、家の電話に出ることなどありませんでした。
誕生日を出掛けて過ごして、めずらしくこの日は家でおとなしくする日!と決めて自宅にいた、貴重な1日。玄関→トイレ付近の廊下部分にある自宅電話。
その電話が、ちょうど私が通った時に、呼ぶように鳴ったのです。
夕方17時くらいでしょうか。まるで目の前を通るのを待っていたかのように鳴った電話。
普段ならセールスか何かの電話かなと思い、まず家の電話に出ることなんて無いのですが、なんだかその電話は出なければいけないような気がしました。
ほぼ無意識に受話器を上げ、私『もしもし・・・』
少しの沈黙のあと、女性の声で『・・・しおりちゃん??』
と呼び掛けられました。
えっ??
これ自宅の電話!!
自宅に電話してきてしおりちゃんと呼ぶひとなんてまずいないはずなのに?!
でもこの声、聞いたことのある声!
私『・・・はい。』
先方『よかったぁ。お元気にしてるの~?』
・・・それは約10年前、20歳の頃に働いていたスナックのママさんからの電話だった。
ママ『よかったぁ、昔の履歴書にね、実家の電話番号が書いてあったので、もしかして連絡つくかなと思ってね、電話したのよ。』
ママ『新宿の○○ですが、わかるかしら?
実は今月でね、新宿のお店を閉めることになってね、それで連絡しようと思ったのよ。』
突然の電話は、とても懐かしい声でそう言いました。
新宿のお店は、私が初めて水商売を始めたお店。初めてしおりになったお店。
働いていたのはほんの1年くらいの期間でしたが、それから約10年も経っているとは思えない、びっくりするほど自然にママの声が耳に響きました。