秋晴れのいい天気の下、半袖で、少しでも時間があれば畑に居る。

蒔いた種は双葉から本葉が少しでてきたところ。膝をついて間引きをする。

球根はまだまだ、手元に残っており、せっせと穴を掘って埋め込んでいる。周到に計画していたはずの場所は、かなり変更になり、ついにどこに埋めたかわからなくなってきた。

チューリップの球根。　チューリップも原種系が流行っていて、今年も植えてみた。

赤紫と黄色。高さ１０センチほど

チューリップの原産地はオランダではなく、古代ペルシャ。

ペルシャ、いい響きだね。　今日日、中近東だ、イランだというとなにか不穏になるけど、私はイスラムとか経済制裁とか核開発ではなく、ペルシャと呼んでみたい。　ペルシャチューリップと花の名札に書いた。

秋の夕べはつるべ落とし。５時をすぎると暗くなってきて、農作業は終り。アタマのなかはペルシャ。　よし赤ワインを飲むぞ。

１９７９年のイラン革命以来、イランはアルコール禁止。　理由はコーランらしいが、古代はゾロアスター教。ゾロアスター教、拝火教というイメージが強いが、最後は善神が悪神に勝つと楽天的。そのために、よい考え、よい言葉、よい行いをしよう…とシンプル。

ペルシャ時代は、酒は飲んでいた。

「ルバイヤート」という詩集がある。１１世紀のペルシャに生まれた

オマル・ハイヤードがルバイーイイという四行詩をたくさんつくった。

日本語でも読める。　岩波文庫が有名。

　２００５年　マール社版　

私の持っている本は、重訳で、１９世紀に英国の詩人、エドワード・フィッツジェラルドが英語に翻訳し、それを１９２１年に竹友藻風が邦訳した。

七・五・七を基調とした文語体。　大正時代の人は暗唱して諳んじたらしい。すごいね。

今はペルシャ語からの新訳もあり、口語体にもなっているが、わたしはこの文語体が好き。

酒を飲め。　人は死んだらなにかもおしまい。　来世に行っても救われない。　口語だと身もフタもないが、文語だとステキ。

ある者はこの世の誉、ある者は

来るべき預言者の楽土をねがふ。

ああ取れよ、正金を、手形を捨てよ。

遥かなる太鼓の音を意をするなかれ。　（１３）

そして、酒はひたすら飲め。　もうアルコール依存症の世界。

かく、終に暗闇の酒のつかひの

川岸に汝を見出でて、盞を

すすめつつ、霊魂を唇へとさそひ、

飲みほせといふ時も、ためらふなかれ。　（４６）

文語でしっくりこない時は、フィッツジェラルドの英訳も同じページに並記されているので、それも韻をふんでたりして、とてもいい。

こんな４行の定型詩が、なんと１１０も続く。

オマル・ハイヤードは、詩人ではなく、数学者、天文学者で、その他、医学、歴史学、哲学などの才能も傑出して、ペルシャのレオナルド・ダ・ヴィンチという人もいる。

さて、「ルバイヤート」で、飲んでるのは赤ワイン。　この本はページを開くと左ページがすべてイラスト。

ビアズレ―風で、ロナルド。バルフォア（１８９６－１９４１）の挿絵。　白黒イラストでもチューリップ型のグラスには赤い色、赤ワインだ。　イラストに描かれているのは上半身を隠していない女性。たまにそれにからむ男。

酒、女、装飾的な花。　

ペルシャはいいな。　厭世的というのは、現代の価値観。

快楽主義で何が悪い。　歓楽こそ、人間的。

昼間は飲んではいけない。　一日2合…。　うっせんだよ。

11月はボジョレーヌーボーがでる。世界の葡萄はどうかな？

ペルシャを経て、イランの国章はサーベルと４つの三日月だけど、カタチはチューリップ。　

ワイングラスも世界で、チューリップ型が席巻している。

赤い酒は、薔薇か？血汐か？

イランでは、イスラム法により、飲酒は最大８０回のむち打ち刑だそうだが、アルコール依存症患者は、ロシアなんかより多い。　あやしい密造酒が出回り、身体を壊す。

女は男たちを惑わすから閉じ込めておけ。顔を被え。　禁止はよくないね。

酒、女、花…。解放しよう。　飲食店へ行って、友人と酒を楽しみ、恋をして…。　そういえば、「ルバイヤート」というフレンチビストロの店があったが、まだやってるのかな？　「ルバイヤート」という甲州ワインの老舗ワイナリーはある。　

甲州の小さなワイナリーはつぶしたくないな…。

訪れると、見学させてくれて、ワインの試飲をさせてくれ、レストランがあるところもある。　ぜひ、自家用車じゃなく、タクシーで訪ねてみてください。

ペルシャの音楽を聴いて、酔っぱらって、わが家で唯一のペルシャ風絨毯の上で寝ようと思ったが、めちゃ埃くさいから、やめた。

あはれ、わがおとろふる命にそなへ、

命死ぬときには洗へ、葡萄もて。

わが骸そ青葉につつみ、よこたへよ。

人訪はぬにはあらぬ園のほとりに。　（９６）