新海誠作品新作
「君の名は。」
観てきました。
21時40分からのレイトショーだというのに、人の入りは良く、真ん中あたりの席はほぼ埋まっていました。
なので仕方なく横の方をとりました。
さてさて、RADWIMPSの楽曲と神秘的な画から始まる本作のストーリー概要と感想をネタバレ的に書いていきます。
(確か)高校2年生(なのでだいたい17歳)の立花 瀧くんと同じく高校2年生の宮水 三葉ちゃんはある朝目を覚ますと、身体が入れ替わってしまいます。
当初二人はそれが夢だと思っていましたが、何度も同じことを繰り返し、周りからの反応を見るうちに、実際に入れ替わりが起きていることに気づきます。
二人は何とか互いの生活を成立させようと、決まりを作り、協力することにします。
舞台は、瀧くんは東京(主に新宿〜代々木近辺)
三葉ちゃんは飛騨の糸守という小規模な町
という設定がなされています。
三葉ちゃんは瀧くんの身体に入っている間、瀧くんの憧れのバイト先の先輩、奥寺さんと仲良くなり、遂にはデートの約束まで漕ぎ着けます。
そしてデート当日、入れ替わりは起きず、事の次第を知らない瀧くんは慌ててデートの待ち合わせ場所に向かいます。
時を同じくして、三葉ちゃんは彼が上手くやっているか、はたまた彼のことが気になり出している様子で、突如東京に行くことを決意。
東京に向かいます。
東京に着いたものの、電話は繋がらず、いるはずの場所にも彼はいません。(三葉ちゃんがデートの約束をしたので、デート先は知っている)
会えるわけないか…
と残念そうに帰りの電車に乗ろうとしたその時…!
電車の中に鏡越しに何度も見た顔を見つけます。
急いで満員電車に乗り込む三葉ちゃん。
そして、単語カードをパラパラとめくる瀧くんの目の前まで行き、何度か名前を呼び
覚えてないかな?
しかし、瀧くんは
お前、誰?
呆気に取られる三葉ちゃん、少し顔を赤らめながら次の駅で降りようとます。
しかしその時、瀧くんが呼び止めます。
あの!名前…!
そこでとっさに三葉ちゃんは名前を告げ、
自分の髪紐を彼に渡し、ドアが閉まってしまいます。
なぜ瀧くんは三葉ちゃんを認識出来なかったのか。
それにはちゃんとわけがありました。
三葉ちゃんは飛騨の家に戻ってくると、肩下くらいまであった髪を切ってしまいます。
恐らく自分のことを覚えていなかった瀧くんへの失意からでしょう。
そしてその夜、友人に誘われ地元の祭に出向く三葉ちゃん。
この日は1200年ぶりにとある彗星が、視認できるほど接近すると言われていました。
彼女は実際に彗星を目にすることになるのですが、彗星は空中でいくつかに割れ、その破片が糸守に落ちてしまいます。
当然糸守の町は全壊。
町民のほとんどが犠牲になるという大きな事件となりました。
そして一方、瀧くんはデートを終え、今日は彗星が見える日だと言っていた三葉ちゃんのことを思い出し、ふと電話をかけます。彼女は出ません。
そして、その日を境に連絡がつかないどころか、入れ替わり自体が起きなくなります。
瀧くんは三葉ちゃんに会いに行くことを決心し、飛騨の糸守町を訪れに行きますが、そこで衝撃の事実と向かい合うことになります。
糸守町は3年前に、彗星の破片が落ちてきたことにより全壊したという事実。
確かに、三葉ちゃんに入れ替わっていた時に目にした町は見当たらず、大きくクレーター型に湖が1つ増えているのでした。
そんなはずない。
つい最近まで俺たちは入れ替わっていた。
スマホを見ればあいつの書いた日記だってある。
そう思う瀧くんでしたが、その日記も消えていきます。
三葉ちゃんは3年前に死んでいた…?
だとしたらなぜ今の自分と入れ替わることができた…?
彼女とその町は救えなかったのか…?
そう思った彼は三葉ちゃんに入れ替わっていた時に参拝した宮水家の由緒ある場所に向かい、そこにある当時三葉ちゃんが残した酒を飲みます。
次の瞬間、時間の流れを遡り(タイムリープ)、彗星接近当日の三葉ちゃんと入れ替わることに成功します。
そうして、町民を救うため、友人たちと共に行動を起こし始めます。
そんな中、その由緒ある場所に三葉ちゃんの存在を感じた瀧くん(三葉ちゃんの身体に入っている)はまたもその場所に向かいます。
そうして出会うはずのなかった二人は、黄昏時にようやく出逢いを果たします。
そこで互いの名を2度と忘れないように、しっかり記憶に刻みます。
そして一瞬の出逢いを経て、三葉ちゃんの魂は三葉ちゃんの身体に戻り、救難活動を続けます。
一方で自分の身体に戻った瀧くんは、自分がなぜここにいるかも思い出せません。
なんとか思い出そうとしても、大切な人の名前だけが出てきません。
救難活動を続ける三葉ちゃんも同様に、忘れないと心に誓った名前を思い出せなくなってしまいます。
悲しみに暮れるその時、彼が忘れないようにと手に書いてくれたはずの名前を見ます。
そこに書いてあったのは
好きだ
の3文字。
これじゃ名前わからないよ…
と涙を零すも、彼を、彼の存在を改めて認識できた三葉ちゃんは救難活動に尽力するのでした。
そして、時は流れ、彗星の破片落下から8年。
瀧くんは大学4年生(22歳)となり、就職活動に励む日々を送ります。
この5年間、何かが足りなくて、何かを思い出せない、そんな日々を送っていました。
そんな彼はある日電車に乗っている時、すれ違う電車の中に忘れていた何かを見つけます。
すぐさま次の駅で降り、進行方向とは逆の方に走ります。
そうして、一人の女性に出会います。
少し年上でしょうか。
大人びて見えます。
彼女と階段ですれ違い、一瞬戸惑ったものの、呼び止めます。
あの!
俺以前あなたにどこかで会った気がして…
(セリフは完全に曖昧です笑)
女性は振り向くと、その頬に涙を滴らせ、
私も…!
と
そうして二人は言います。
「君の名は。」
というところでストーリーは終了となります。
糸守で行われてた儀礼的な風習とか、宮水家の家系に起きる夢の話とか(←結構ストーリーに絡んできます笑)は省きましたが、簡潔に言ってしまうと、三葉ちゃんが入れ替わっていたのは17歳の瀧くん(つまり三葉ちゃんの世界から見た3年後)であり、三葉ちゃんが彗星の破片落下の前日に東京に行った時に会ったのは当時14歳(中学2年生)の瀧くんだったのでした。
14歳の瀧くんは三葉ちゃんのことを知るはずもなく、もちろん電話番号も知らないので、繋がるはずもないのです。
そう、つまり終盤まで二人とも気付いていませんでしたが、三葉ちゃんと瀧くんとの間には3年の年の差があるのです。
しかし、その3年を超えて、瀧くんは17歳の年に17歳の三葉ちゃんと入れ替わるというミラクルが起きてしまうわけです。
これは一種のタイムリープ(時間移動)、そしてパラレルワールド(並行世界)に分類される話でもあります。
三葉ちゃんが彗星の破片落下により亡くなったという時間軸が元のものです。
そして、その結果瀧くんは三葉ちゃんと連絡が取れなくなり、彼女が書いた日記も消えます。(存在が消えたため)
その後瀧くんはもう一度彼女と入れ替わりますが、正確に言うとこの時タイムリープをしています。
既に起きた彗星事件の当日の朝の三葉ちゃんと入れ替わるからです。
つまり、未来を変える余地があった。
その結果、最後のシーンからもわかる通り、事前に彗星の破片落下を知ることによって(3年後を生きる瀧くんのおかげ)、三葉ちゃんたち町民が亡くなるという未来を回避し、彼女たちが生き残る未来が選択されます。
どっちの未来もあり得たという点で、これはパラレルワールドの話になってきます。
それに関しての説明は割愛させていただきますが、この物語はタイムリープとパラレルワールドが絡み合う少々複雑な構造になっているので、こうした作品に耐性のない方には少し難解に思えるかもしれません。
しかし、これを踏まえたうえで鑑賞できれば、スッと話が入ってくるでしょうから、もしその機会がある方はぜひそうしてみてください。
相変わらず映像美が繊細で、RADWIMPSの織り成す音楽とも上手くかみ合い、壮大な世界観のもと語られるファンタジックな作品でした。
んー、そのうちもう一度観たい気も。
ではまた。