ふと 気づいたんだけど


「 行かないで 」


そう 思ったことは あっても


言葉にして 伝えたことは


今まで 一度くらいしか なかった



いつだって


先に 立ち去るのは わたしの方 だった



不安に つぶされそうで


信じられなくて


いつだって 先走って 逃げ出してきた



さよなら も 言わずに



いえ、


言わなかったんじゃなくて


言えなかったんだと 思います


さよなら は 怖いから



そうして しばらくして


やっぱり と 思って 戻ってくると


たいてい そこには 誰も いない ていう パターン



背中すら 見えない



いつだって


最後に 置き去りに なるのは わたし



いつだって


自分の 手のひら に あったのは


曖昧な もの ばかり



しがみついても


消えてしまう もの ばかり



でも 曖昧な もの の 方が よかった


何も 決めなくて 済むから


失っても 喪失感は ある程度で 済むから



でも 曖昧さ は


わたしの 弱さ そのもの



形の ない ぼやけた 景色に


わたしは 恋を してきたんだと 思う



ひとたび その中に 入ると


まわりは 霧に まみれて


5cm先 しか 見えなくて



何も なにも 見えなかった



愛も 未来も 信頼も


存在して いなかった



確か だったのは


そういう 自分が 存在していた こと


ただ それだけ



いつまでも ずっと こうして


曖昧さ の 中で 生き続ける ことは


困難 だと 本当は 分かってた



いつか 限界を 迎えることを


知っていた



腕の ぬくもり や 刹那な 衝動 だけ で


生き延びる ことは


到底 不可能な こと だと



それでも 帰り際の くちづけが


抱きしめられた ときの 匂いが


圧倒的で 恋しくて



その 圧倒的さ といったら


世界で 一番 幸せ なんじゃないか と


錯覚する ほどに



わたしでも 素直に なれること


わたしでも 誰かを


ほんの 一瞬でも 幸せに できること


その 目を 見る たびに


独りよがり そんなことを 思い知って きた



初めから 対等じゃない 相手に


対等で あることを 望んだ 時も あったけど



初めから 手に入らない と 知っていたから


出来る限り ギリギリ 近づける 距離で


そばに 居続けた けど



そういう 事柄から 何を 学んで きたのか


わたしは 今でも 分からないし


断言も できない



でも


あんなに 夢中に なる ほど


人を 想う ことは 一生 ない


と 言い切れる



悲しすぎるくらい


誰よりも 想い続けた 恋 だった



今でも 言葉に すると


時々 涙が こぼれ落ちそうに なる くらいに



もう これは 呪縛 だとか


囚われ とか 後悔 とか


そういう 類いのもの では なく



自分の 身に ついた


何か 習慣 というか


アイデンティティ みたいな もの なのかも しれません



もう 全然 逢わない けど



以前も 何かの記事で 書きましたが


生きていてほしい


と 思います



幸せで いてほしい とか


不幸で いてほしい とか ではなく



生きていてほしい


この 世界の どこか 片隅で



その 事実だけで


大丈夫 だと 思えるから



それだけで


心細くないから



もっと もっと


遠くへ 行ける気が するから














いつだって わたしのそばには


当然のように あなたが いて



近くには いなくても


全然 会わなくたって


心の中に あなたは いた



月が 綺麗な 日は


心の中の あなたと 一緒に 見上げ



星の またたく 夜は


心の中の あなたと 願い事を 唱えた



悲しみで 堕ちて行きそうな 日は


心の中の あなたが 抱きしめてくれて



もう 誰も 信じない と 固く誓った 孤独の夜は


心の中の あなたが 何度も 髪を撫で 励ましてくれた



いつだって あなたは わたしの 道しるべで いてくれた



もう 全然 会わなくても


愛が なくても


存在することに ただ 意味を持った



それだけで 生きていけるような 気が した



愛は 奪われていくから


悲しいくらいに 痛みが つきもの だから



愛は がんじからめに するから


愛は いつか 燃え尽きるもの だから



愛が ない方が 幸せだった



愛さえ なければ


失わずに 済むのだから













明け方の 薄暗い道



深い霧に 包まれて


あの先も 見通せない



ヘッドライトが 滲んで


自分が 泣いてるのでは ないか と


一瞬 脅えた



凍てついた 空気


喉の 奥の 暖かさを 知る



だけど いずれ


何もかも 冷えていく だろう



あなた みたい だと 思った



何もかも 凍らせてしまう


繊細で 悲しくて


痛くて 丁寧な


冬の 空気の ような 人



霧が 晴れたら 見つけてね


わたしは ここに いたんだよ



あなたは もう 全然 知らない 世界の 生き物 だけど


思い出して 時々



時々で いいから



今 あなたは 幸せ ですか ?



終わりの日 あなたは 言ったよね



別れたら 今は 不幸だけど


未来は きっと 幸せだと



だから わたしは


もう ここには 戻らない



影に 隠される 屈辱は


二度と 嫌だ