連日のように報じられる森林火災のニュース。

ハワイ州マウイ島に続き、カナリア諸島のテネリフェ島でも大規模な森林火災が発生し、現時点で東京ドーム1087個分の面積が焼失しているとの事。いずれも世界屈指のビーチリゾートの島。

カナダ北部でも一週間程大規模な森林火災が続いていて、こちらの焼失面積は現在東京ドーム3万個分に及ぶとの事。カナダ北部と言えば北極圏にも掛かる地域で、オーロラ観光で有名なイエローナイフなどでは約2万人に避難命令が出されているとか。気温の低いはずの地域で何故このような森林火災が？

2000年頃から世界で急増している森林火災ですが、近年それが急激に増加、大規模化していて、「前年比の焼失面積」については、国や年によっては20倍や25倍という極端な数字を示している場合もあります。それこそ2021年は全世界で日本の面積の半分程の森林が焼失したとの事。世界では毎年平均、日本の面積の1/7程の森林が焼失しているとされていますが、今後、その面積が等比数列的に増える事も危惧されるわけです。

従来、自然発火による森林火災はごく当たり前の自然現象とされ、火災と再生が繰り返される事で生態系が維持されてきた側面がありましたが、今や、生態系を破壊するものに他ならなくなっているのが現実です。

そして、人為的要因による森林火災。これはあってはならない事だと思います。森林伐採による開発、焼き畑農業、火の不始末、放火、インフラの管理不備による発火などがありますが、そのせいで、本来起きる事がなかった火災が発生し、最悪の場合、大規模な人的被害、生態系破壊に繋がってしまう事になります。

近年気候変動による温暖化が猛威をふるい、前述したカナダ北部もそうですが、アラスカでも19年7月4日に32度を記録するなど、北極圏でも高温、乾燥、風が強い、の条件が作り出されています。その結果、大規模森林火災の舞台は北米、オーストラリア、南米、ヨーロッパに加え、北極圏、シベリアの広大な森林地帯にも及んでいます。特にここ4年の北極圏での発生件数の増加はあまりに顕著です。

森林火災は、酸素を作り出してくれる森林を焼失させ、代わりに大量のCO2を排出し温暖化を加速させます。それがまた多くの森林火災を発生させ、中にはマウイ島での火災のように住宅地を直撃するケースも出てきてしまう。

まずやらなければならない事。それは「人為的要因の森林火災」をゼロにする事だと思います。自然発火は止められませんがそれなら止められます。

その為に、行政や企業や個人がやる事は明確です。国の政策により森林伐採や焼き畑農業を止めさせる事は可能です。インフラを扱う企業は森林火災にならないよう設備を管理する事は可能です。住民レベルでも住宅地が巻き込まれないよう引火性のあるゴミや枯れ草を取り除く事などは可能です。火災を消し止める事は非常に大変ですが、火元を絶ち火災を未然に防ぐ事は難しくはありません。相次ぐ大規模森林火災に限った事ではなく、世の中の全ての火災が我々に突き付けているのはそこではないでしょうか。

2023-8-20