UNFPA(国連人口基金)の発表によると、7月1日時点での人口推計で、インドの人口が14億2860万人となり、中国の人口14億2570万人を抜き、世界第一位に。今後、インドが世界で最も人口の多い国になる見通しとの事。

インドの人口増加の原因としては、元々貧困層の人達が労働力として子を多く作る傾向があり、それに加え、医療の向上などで乳幼児の死亡率が減少した事が挙げられています。その結果、平均年齢28歳、生産年齢人口が全体の66%を占める「若者の国」になったとの事。IT大国インドと言われるように、IT産業を軸に、その他先端産業にも進出する中にあって、これだけの若い労働力を確保できる環境。否が応でもインドの将来性に目が向けられるわけです。

そして、同時に驚いたのが、中国の人口も14億人を越えていたという事。僕はてっきり中国の人口は10億人ぐらいだと思っていました。学生時代そう習ったからです。そこに一人っ子政策の影響などもあり少子高齢化が進み人口はそれ程増えてないイメージがあったのですが、数十年で4億人も増えていたのです。

人口減少、少子高齢化により、深刻な人手不足に陥っている日本にとっては羨むべき事かも知れません。では、なぜ、インドも中国もこれだけ人口が増えているのか？両国の共通点は何なのか？

まず、単純に国土が広く、それに比例して人口も必然的に多いという事が挙げられています。確かにそれもあるかも知れませんが、面積で言えば中国は世界で4番目、インドは7番目。他にも面積が大きい国はあるのですが、それらよりもずば抜けた人口を擁しているのがインドと中国なわけです。

次に言われているのが、稲作に適した国土が「人口支持力」を支えているという事。人口支持力とは、国ないし地域がその住民を養う事ができる力を指し、稲作の地域はそれが高いとされてます。水田は畑よりも安定した生産が可能であり、稲作の国の人口は世界の人口の6割ぐらいを占めています。そして、インドと中国は稲作の二大大国でもあります。

次に両国に共通しているのは、成人向けメディア媒体コンテンツ、いわゆるアダルトコンテンツの商品の制作·販売·所持が法的に禁止されているという事。裏では出回っているとの事ですが、基本的にはタブーで、中国ではそういったものを配信しただけで懲役10年の判決が下ったという事例もあります。勿論一概には言えませんが、そういった性に対する考え方がこれまでの出生率と密接に関係しているのかも知れない。

日本は今、深刻な人手不足に苦しんでいます。その事により、従来当たり前にこなしていた事がこなせなくなっている現実があります。マイナンバーの、事務処理ミスにより引き起こされた膨大な紐付け件数も役場の人手不足が根底にあるのかも知れない。バスの事故や橋桁落下などの事故も、過失側の人手不足が根底にあるのかも知れない。人手不足による「物流業界の2024年問題」も今取り沙汰されています。大阪·関西万博の海外パビリオンの建設申請が現段階でゼロなのも、短い工期の中での建設業者の人手不足が原因とされています。ひょっとしたらJAXAの相次ぐ失敗も、十分なスタッフがいない事が原因なのかも知れない。

日本はこの人手不足を未来に向けて何とか解消しなければなりません。一番良いのは、人手不足を補って余りある数の人材を、インドや中国のような人口の多い国から招く事ですが、あくまで他国の国民。そう簡単にいかないわけです。やはり、日本国内で少子化に歯止めを掛けなければならない。その為には人口を増やしている国から学ぶ事も必要だと思います。一つだけ絶対的に言える事は、少子化を止める為に、「これからの若者に頑張ってもらう」ではいけないという事。我々大人が、若者をちゃんと導いてあげないとだめなのです。性教育やその他諸々を含めて。でないと、若者も頑張りようがないのです。今まで、それをしてこなかったから、今、こういう状況になっているのではないでしょうか？

2023-7-16