コロナウイルス感染に関して | 八丈島アクアトリップダイビング シュノーケリングセンターブログ

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コロナウイルス感染に関して (更新日:2020/04/09) 医療法人財団 聖十字会 西日本病院 合志 清隆 新型ウイルスでは不明なことだらけである。ここでは最新の医学雑誌の文献等を簡単に 紹介しており、科学的な理解の一助になればと考えている。 コロナウイルス:風邪ウイルスの 1 つで、ヒトに病原性を持つものは6種類あり、さらに今回 の新型コロナウイルス(COVID-19 ないし SARS-CoV-2)である。重症化が明らかなものは SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群)と MERS-CoV(中東呼吸器症候群)である。 (ウィキペディア フリー百科事典) 感染拡大など:感染症の広がりの速度は、感染者数が 2 倍になる期間、あるいは感染者が他 者へ感染する時間による。例えば、2009 年のインフルでは 2 倍になる期間が 1 日であり、 感染のピークは数日だった。しかし、COVID- 19 では以上の期間が 4.4~7.5 日である。致 死率は 0.3~1%である。また、症状発現の前に感染か始まっているか不明で、潜伏期間は 5 ~6 日である。感染者の 80%は無症状ないし軽症で、14%が重症であり、6%が最重症であ る。 (Anderson RM. Lancet. Mar 21, 2020) *インフルエンザに比べて感染拡大が強く、終息に時間がかかることを意味する。 論文報告での解析:2020/1/1~2/24 までの報告論文の解析結果で、59,254 名の感染者を対象 としている。症状では、発熱(82%)、咳(61%)、筋肉痛や疲労感(36%)、呼吸苦(26%)、 頭痛(12%)、咽頭痛(10%)、消化器症状(9%)であった。検査結果では少ない報告のな かで、リンパ球減少や CRP の上昇がみられた。胸部 X 線検査では特徴的なものはないが、 多くで「スリガラス状の陰影」がみられた。8.3%に集中治療がなされ、53,631 名でみた全 体的な死亡率は 0.3%であり男性と高齢者に高かった。 (Borges do Nascimento IJ. J Clin Med. March 30, 2020) *中国の河北省の症例が 76%を占めており、さらに経過観察の期間が短くて正確な致死率 ではない可能性がある。 致死率:信憑性のあるデータは日本のクルーズ船の結果で 705 名の PCR 陽性者で致死率は 0.99%であった。しかし、乗船者の多くが高齢者であり、年齢が若ければ致死率は低くなる と考えられる。この致死率は SARS が 9.5%であり、MARS の 34.4%よりは低いが、イン フルエンザの 0.1%よりも高い。中国からの報告は 15~0.4%と幅があり、シンガポールか らは 3 月 25 日の報告で 0.3%とされている。 (Rajgor DD. Lancet Infect Dis. Mar 27, 2020) 2 *中国からの報告にはデータにバラツキがある。 *致死率から感染者数の逆算が可能であり、例えば致死率を 0.5%とすれば感染者は 200 倍 になる) 全米の重症例の調査報告:2/12~3/16 までの全米での「重症者」の調査で、その時の患者数は 4,226 名であり、65 歳以上の患者が 31%を占め、入院患者の 45%、ICU 患者の 53%、死 亡者の 80%であるが、これらは 85 歳以上では顕著になる。19 歳以下は入院患者の 1%以 下である。入院、ICU 入室と死亡率は年齢で異なっていた。死亡率は 20-44 歳(0.1-0.2%)、 45-54 歳(0.5-0.8%)、55-64 歳(1.4-2.6%)、65-74 歳(2.7-4.9%)、75-84 歳(4.3-10.5%)、 85 歳以上(10.4-27.3%)であり、全体では 1.8-3.4%であった。 (Bialek S. MMWR. Mar 27, 2020) *年齢による致死率が示されている。 イタリアの状況:3 月 19 日で 41,035 人の感染者に対して 3,405 人の死亡である。1 つは医療 費抑制政策で 2010~19 年で 37 億ユーロの削減で GDP 比でも低くなっている。さらに複 数の問題があり、①中央からの伝達が行き渡りにくい、②医療制度への柔軟性に欠ける、③ 公的機関と民間機関の連携が不十分、④医療への長期ビジョンに欠ける、以上の課題があっ た。 (Armocida B. Lancet Public Health. Mar 25, 2020) *死者数からみれば、イタリアでは感染者が膨大な数になっている可能性が高い。さらに初 期の段階からの医療崩壊が加わっている可能性がある。 医療者の防御:イタリアでは医療者の 20%が感染しており、一部は死亡している。体調や精 神状態の不良はトリアージが困難な状況を生みだし、個人の感染リスクを高めることにな り、PPE(防護具)が第一になる。 (編集室. Lancet. Mar 21, 2020) 患者へのマスク装着効果:医療用マスクは感染した患者から他への感染の抑制につながる。 香港からの 3 年間の調査結果で患者に医療用マスクを装着した場合と装着しない場合での 咳からのウイルス検出率をみたものであるが、コロナやインフルエンザのウイルスで飛沫 にウイルスが検出される効果は、インフルエンザではドロップ(>5μm)で抑制効果が、コ ロナではスプレー(<5μm)で有意に抑制された。 (Leung NHL. Nature Med. Apr 03, 2020) *感染者ないし疑い例では、患者への「マスク」着用が重要である。 医療者のマスクと手指衛生の効果:COVID ー 19 では結果が出ていない。2009 年の新型イン 3 フルエンザにおいての学生を対象とした 4-6 週間の観察研究では、呼吸器感染リスクはマ スクだけで 0.58~0.72 まで有意に抑制され、マスクに手指衛生を加えると 0.49~0.65 に抑 制された。 (Aiello AE. J Infect Dis. Feb 15, 2010) *「COVID ー 19 とは異なるが、マスクと手指衛生が医療者の感染リスクを抑制する意味で 重要だろう」と述べている。Yang C. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. March 27, 2020) *この数値は感染リスクをマスクで約 2/3 に、それに手指衛生を加えて約 1/2 に抑制するこ とを意味する。 医療者のマスク着用の効果:N95 マスクと医療用マスクでのコロナウイルスの感染抑制効果 の比較した臨床試験が4つあり、その総合的な解析結果であるが、感染抑制効果で医療用マ スクは N95 マスクと明らかな差はなかった。 (Bartoszko JJ. Influenza Other Respir Viruses. Apr 4, 2020) うがい(gargling)の効果:成人での結果は報告されていない。19,595 名の保育園児(2~6 歳) で日に 1 回以上の「うがい」で、発熱の抑制は 4 歳(0.68)、5 歳(0.59)と 6 歳(0.63) であり、緑茶(0.32)と機能水(アルカリイオン水など)(0.46)と水道水(0.70)であっt が、園児の「休み」には差がなかった。 (Noda T. J Epidemiol. Jan 2012) *日本で行われてきた「うがい」の効果は明確なものはない。 呼吸器系ウイルスの拡散防止:SARS やインフルエンザなどでの報告論文 67 を集めて統計 解析したものであり、以下のものが有効であることが示されている。①居住区の消毒(0.3, 0.23-0.39)、②手指衛生(0.54, 0.44-0.67)、③マスク(0.32, 0.26-0.39)、④N95 マスク(0.17, 0.07-0.43)、⑤手袋(0.32, 0.23-0.45)、⑥ガウン(0.33, 0.24-0.45)、⑦①~⑥の全て(0.09, 0.20-0.35)、⑧眼の防御(マスク+ゴーグル)(0.1, 0.05-0.17)、⑨鼻洗浄(0.3, 0.16-0.57)。 (Jefferson T. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Jul; 2011(7): CD006207.) *Cochrane は主にランダム化比較試験を集めて統計解説するもので、これによって何が効 果的であるか明瞭になり、数値が小さいもので効果が高いことを意味する) 眼の症状:中国から報告で臨床的に COVID-19 と判断された 38 例において、PCR 陽性は 28 例(73.7%)、結膜炎の眼症状があったのは 12 例(31.6%)、結膜から綿棒での陽性者は 2 名(5.2%)で咽頭からも PCR が陽性だった。結膜症状は重症者に多い傾向であり、低頻 度でも「眼からの感染」も考えられる。 (Wu P. JAMA Ophthalmol. Mar 31, 2020) *ゴーグルを使用せずに、最初は眼の症状がみられて、その後に肺炎症状が起こったことか 4 ら、眼からの感染の可能性が否定できないことが紹介されている。Lu CW. Lancet Feb 22, 2020) 米国の老健施設での感染:130 名の入所者と 170 名のスタッフで運用されている米国の施設 で、2 月 28 日に最初の感染者が出たが、3 月 18 日時点で入所者 101 人(83 歳、51-100)、 スタッフ 50 名(43.5 歳、21-79)、外部利用 16 名(62.5 歳、52-88)の感染者が確認され たなかで、それぞれ 34 名、0 名と 1 名の死亡であった。入所中の死亡者の 94%に高血圧 (67%)、死疾患(60%)、腎疾患(41%)、糖尿病(32%)、呼吸器疾患(32%)と肥満(31%) があった。 (McMichael TM. N Engl J Med. March 27, 2020) *施設内感染から 2 週間で入所者の多くが死亡している。 米国シアトルの報告:ICU での治療が必要な重症例 24 例(64 歳、23~97 歳)の検討であり、 入院の 7 日前に症状がみられ、最も一般的な症状は「咳」と「短い呼吸」である。発熱は 50%、糖尿病が 58%。全例が入院時に「呼吸不全」がみられ、18 例が人工呼吸器を、17 名 昇圧剤が必要であった。12 名が 1~19 日で死亡、5 名が自宅へ、4 名が一般病室へ。(*呼 吸器症状があれば致死率が高くなる) (Bhatraju PK. N Engl J Med. Mar 30, 2020) *呼吸器症状がみられると急速に悪化して自宅退院の比率が引くことを示している。 PCR 検査の感度と特異度:PCR 検査はウイルスゲノムを検出するという原理から,一般論 として感度(*診断する確率)は低く,特異度(*否定する確率)が高いと考えられます.