ある患者さんが言っていた言葉です。

その人はALSです。筋力が低下していて、歩行器で室内を歩くのがやっと。ALSには感覚障害がないっていうけど、何を食べても苦く感じるからって食欲が落ちちゃってガリガリで。
いずれもっともっと筋力が落ちて呼吸器をつけなきゃいけなくて話すこともできなくなることもご本人は知っていました。

「でも、私は恵まれてると思うよ。
 迷惑かけて助けてもらうばかりだけど、それで生計をたててる人がいるわけでしょ。
 それにそうやって人と接することで、ほんのちょっとだけど私が何かを教えられてると思うんだよね。」

本当にその通りです。

病気のことは患者さんを通してしかわからないし、患者さん以上にその病気を理解することもできません。

そう言ったら、
「あんたもしっかり勉強しなよ。」
って言って笑ってました。

ALSってすごく珍しい病気なはずのに、私がALSの患者さんに実際に接するのはこの方が3人目。

多発性硬化症、脊髄小脳変性症、進行性核上性麻痺、パーキンソン病…デイケアには逆にそういった病気の人たちが来るものなのか、今までいろんな方に出会いました。

根本的な治療法がない病気はまだまだあって、私の仕事ではそういう患者さんと接する機会が多いです。

いつも無力感を感じるばかりでこんなの気休めじゃないかって思うこともあるけど、ほんの少しでも自分が力になれたかもしれないと感じられたとき、たとえ病気が治せなくてもできることがないわけじゃないと思うのです。


人を支えることで支えられている。

本当にそう思うのです。

むこうから来てくれない限り関われないんだけど、気になってる患者さんがいます。


Oさんは脊髄小脳変性症でまだ60代の女性、元看護師さんです。


前回の来所中(私の職場は通所施設なのです)に、背臥位(仰向け)で寝ると呼吸困難感が生じるとおっしゃっていました。お話を聞くと、夜間の睡眠障害もあるようです。


神経筋疾患の方は全身の筋力が低下しています。呼吸筋の筋力も低下しているので眠ってしまうと呼吸が浅くなり、十分に二酸化炭素が排出できずにたまってしまいます。

そこで息が苦しくて熟睡できなくなったりするので、夜間のみBiPAPというマスク式の人工呼吸器をつけて呼吸を補助し、二酸化炭素をためないようにすることもあります。そうやって夜間にしっかり呼吸補助をしておけば日中も楽に過ごせるのです。


医療の知識のある方なのでそのことを説明し、今度主治医の先生に呼吸困難感と睡眠障害について相談してみて下さいとお伝えしていたのですが、お昼前くらいに「息が苦しい、病院に行きたい。」と言い出されました。


SpO2(血中の酸素濃度)には問題なかったのでやはり二酸化炭素の蓄積が原因だと考えられましたが、血液ガス検査をしないと確認はできません。

私も自分の持っている資格以上のことはできないので、受診を勧めることしかできませんでした。


結局、一旦帰宅してから旦那さんと受診したそうです。睡眠時無呼吸症候群だとのことだそうですが、BiPAPの導入までは進んでいないようです。


Oさんには脊髄小脳変性症の経過を診てくれる決まった主治医がいない、とのことでした。


専門医が少ないから?医療水準が高くない地域だから?


そんなことが理由になるのでしょうか。コメディカルの知識でもわかるようなことなのに、どうして楽にしてあげることができないんだろう…。


誰が働きかければOさんに適切な対処をしてあげられるのか、私にはわからないままです。

最近いろいろ思うことがありすぎるのでブログを始めてみました。


めんどくさがりなのであんまり書けないかもしれませんが…。


SNSとかで書いちゃうと個人情報にふれちゃうかもしれないから言えないけど、ほんと最近の医療・福祉に関しては考えさせられることばかりです。


私には難しいことはわからないし、現場のことしか知らないけど、このままだと日本はどうなっちゃうんだろうと思うこともしばしばです。


開業する気なんて全然なかったけど、最近は

「よし、あたしがイイ病院つくるぞ!!」

なーんて冗談半分・本気半分で言っちゃってる今日この頃です。