ある患者さんが言っていた言葉です。
その人はALSです。筋力が低下していて、歩行器で室内を歩くのがやっと。ALSには感覚障害がないっていうけど、何を食べても苦く感じるからって食欲が落ちちゃってガリガリで。
いずれもっともっと筋力が落ちて呼吸器をつけなきゃいけなくて話すこともできなくなることもご本人は知っていました。
「でも、私は恵まれてると思うよ。
迷惑かけて助けてもらうばかりだけど、それで生計をたててる人がいるわけでしょ。
それにそうやって人と接することで、ほんのちょっとだけど私が何かを教えられてると思うんだよね。」
本当にその通りです。
病気のことは患者さんを通してしかわからないし、患者さん以上にその病気を理解することもできません。
そう言ったら、
「あんたもしっかり勉強しなよ。」
って言って笑ってました。
ALSってすごく珍しい病気なはずのに、私がALSの患者さんに実際に接するのはこの方が3人目。
多発性硬化症、脊髄小脳変性症、進行性核上性麻痺、パーキンソン病…デイケアには逆にそういった病気の人たちが来るものなのか、今までいろんな方に出会いました。
根本的な治療法がない病気はまだまだあって、私の仕事ではそういう患者さんと接する機会が多いです。
いつも無力感を感じるばかりでこんなの気休めじゃないかって思うこともあるけど、ほんの少しでも自分が力になれたかもしれないと感じられたとき、たとえ病気が治せなくてもできることがないわけじゃないと思うのです。
人を支えることで支えられている。
本当にそう思うのです。