=第79話「緊張」=
「ただいまぁ」
「おかえり ギロウ♪ ちゃんと学校の用意取ってきた?」
「はいはい とってきましたよ! 明日から 行きます!」
「ごめんね、3日も休ませて! で 家 大丈夫なの?」
「あぁ ちゃんと 婆ちゃんに言ってあるから!」
「ご両親には?」
「あぁ 俺 居ないの!」
「えっ? ごめん! どうしてか 聞いていい?」
「あぁ いいよ! 俺 5歳の時 事故で死んじゃった!」
「そうだったの! ごめんなさい!」
「いいよ。。。 で 今は 爺ちゃん婆ちゃんと住んでる」
「お婆様 ご心配してない?」
「ちゃんと カズミの事 話してあるから!」
「じゃあ 治ったら ご挨拶うかがわないと。。。」
「そんな かしこまった家じゃないから。。。」
「でも。。。」
「爺ちゃんに 悪さするなよ! って 言われたけどね。。。」
「ギロウは 真面目ね♪」
「まぁね♪」
19時を過ぎたころ チャイムが鳴った
「あっ カナさん 来たね! お着替えタイムだ! は~い♪」
「カズミ お待ちかねだよ! カナさん」
ドアを開けた 義朗は 香奈枝の横に居る年配の女性に
深々と頭を下げた 直感的に気づいたから 姿勢を正して
「こ、こんにちは 波野義朗と申します」
「はじめまして 一美の母です♪ 緊張してるの?」
「はいっ!」
一美の母と香奈枝は 顔を見合わせて笑った
「香奈枝さんの言うとおり 見事な体育会系ね♪」
「随分 お世話になったみたいで ありがとう♪」
「香奈枝さんから いろいろお話きいて お礼に伺ったの!」
「いえ! 当然のことしただけですから!」
再び 顔を見合わせて 笑う二人
「ねぇ! 上がるよ!」
「はいっ! 香奈枝さん!」
「ヨシオ君 緊張しすぎ。。。笑えるよ♪」
「。。。」
手際よく お茶を出してきた義朗に
「お構いなく♪ って なんか変ね♪ 娘の家なのに」
「初めてね 一美の彼氏を観るなんて。。。」
「彼氏だなんて。。。」
「あれ? 彼氏じゃないの ヨシオ君?」
「あぁ 彼氏です。。。」
「いつも こんなんじゃないのよ お母さん♪」
「いつもは どんななのかしら?」
「もっと 男っぽいですよ ヨシオ君は♪ ねっ♪」
「はっ はぁ~」 うつむいて頭をかく義朗
「頼むわね♪ 一美のこと♪ 一人っ子で甘えん坊だから」
「はいっ! 幸せにします♪」
その場に居た 3人は 義朗の返事に大笑いをした
和やかに会話も弾んで 22時を廻った頃
「そろそろ 帰るわ 一美」
「ありがとう おかあさん」
「こんな しっかりして楽しい彼氏が居るから 安心したわ♪」
「うん ギロウが居るから 大丈夫!」
「あまり 甘えすぎちゃダメよ!」
「はいはい」
「はい は 1回でしょ!」
「あっ ギロウの口癖だから。。。」
「じゃあ 義朗君 一美のこと頼んだわよ♪」
「はいっ! しっかり頼まれました。」
「結局 緊張ほぐれなかったわね♪」
「すいませんm(__)m 」
「次 逢う時は 緊張しないで 愉しく会話してね♪」
「はいっ!」
「じゃあ 一美 行くわね♪ 孫はいつ頃かしら?」
「お母さん~!」
「まだ 早いわね。。。 じゃあね」
「ありがとう、じゃあ カナ お母さんのことお願いね♪」
「うん! じゃあ お大事に♪ 孫は 早いわよ♪」
「カナァ~~~!」
一美の母と香奈枝が帰った後の義朗は抜け殻のようだった
「可愛いね♪ ギロウ♪」
「疲れたぁ~ 来ないって いってたのに。。。」
「私も ちょっと ビックリしたけど。。。」
「俺 大丈夫だったかなぁ~」
「大丈夫だと思うわよ♪」と言うと大笑いする一美
「なんだよぉ~」
「だって 凄く緊張してるんだもの♪」
「しょうがないだろ。。。カズミのお母さんだぞ!」
「かっこよかったよ ギロウ♪」
「お父さんにも挨拶したほうがいいのかな?」
「それは まだ いいわよ!」
一美の声のトーンが落ちたのを義朗は はっきり感じた
「なんで?」
「お父さんは お母さんと違うの!」
「ってことは 厳しい人なの?」
「まぁね。。。」
「でも いずれは 俺 挨拶行くから!」
「そうね。。。」
一美は 先のことを考えると 不安だった
なぜなら 一美の父は 厳格な人間で
苦労に苦労を重ねて 今の会社を築いたから
今の若い義朗を 厳格な父が認めるわけがないと思ったからだ
でも 一美は 将来は将来
今は 義朗を一心に見つめて居たいと想った
夏から秋の出来事が 二人を一層近づけた
そして 強い想いで二人は繋がった。。。
=第78話 「看病②」=
「風邪 移っちゃう。」
「風邪じゃないよ! インフルエンザだよ!」
「大丈夫?」
「大丈夫さ! 海には 行ってないけど 筋トレは欠かさなかったから!」
「ホントだ 腕周り ちょっと太くなってる!」
「腕と 背筋 一生懸命 鍛えたんだ!」
「一美のレベルに追いつく為にね♪」
「まだまだ 先よ! テケテケちゃん♪」
「うるさいよ。。。 黙って 寝てろよ 病人は!」
「はいはい。」
「何か 喰いたいもんある?」
「今は いい! ギロウ 学校は?」
「あぁ~~~ 俺も 高熱が。。。」
「倒れた真似しても ダメよ! 学校 行きなさいよ!」
「いいよ! もう 短縮授業だし。。。」
「関係ないでしょ!」
「カズミ 置いて 行けないから! 頼むよ! 元気になるまで!」
「行きたくないだけでしょ。。。?」
「違う! 今は カズミが心配なんだよ!」
「どうだか?」
「少し元気になったら ちゃんと行くから! 今だけ! なっ!」
「ゴメンね。。。 ありがとう。。。 甘えるね。。。」
「ねぇ ギロウ そこの電話とって! 会社に連絡しないと!」
「あぁ そっか。。。」
「ちょっと シッ♪ ね!」
「もしもし おはようございます 私です。」
「インフルエンザにかかってしまって」
「はい! 大丈夫です。 友達 居ますから」
「大丈夫です!」
「はい! ありがとうございます。」
「また 連絡いれます。」
「へぇ~ やっぱり カズミもOLさん なんだな。。。大人じゃん!」
「一応 社会人ですから。。。」
「でも なんか 気分 ワリぃ~~~」
「えっ! なにが?」
「人に 弟 で 拗ねておいてから 自分も友達って言ってるじゃん!」
「電話の相手 お母さん だったから」
「えっ? お母さんの会社?」
「お父さんが やってるの。。。で 私とおかあさんも そこで 働いてるの」
「へぇ~ 凄いじゃん。。。 カズミって 社長令嬢なの?」
「違うわよ! 個人経営の会社よ」
「ねぇ じゃあ おかあさんとか心配して 来ない?」
「忙しいから 大丈夫だと思う。。。」
「来たとしても おかあさん 理解あるから。。。」
「ばったり 逢ったら どうしよう?」
「なんか 急に弱気になってない ギロウ」
「だって 緊張するじゃん。。。」
「可愛い♪」
「可愛い って 言うな!」
=第78話「看病①」=
冬の冷たい空気をぬって 太陽の温もりの光が
カーテンの隙間から 一美の顔に 優しく舞い降りた
ようやく意識が戻ってきた一美は
手の温もりに目を覚ました
“ギロウ。。。”
“夢なの。。。”
“夢なら 起きて。。。ギロウ”
そう想って 握った手に力が入った瞬間
義朗は 目を覚まして 一美を見た。。。
「どう?」
「どうして? ホントに夢?」
「昨日 トシが倒れてるの 見つけて 連絡くれたんだ」
「駅からの記憶が あまりないの。。。」
「インフルエンザだって。。。凄い熱だったんだぜ」
「病院の先生に“弟?”って 聞かれたよ!」
「で なんて答えたの?」
「はい! って 言ったよ。。。」
「そう。。。なんで 彼氏 って言わなかったの?」
「急に 聞かれたから。。。」
「そう。。。」
一美の声が淋しそうに聞こえた
「病院の先生なんだから 関係ないじゃん!」
「。。。」
「俺は こうして 一美の彼氏なんだから」
「うん」
「これからは ちゃんと宣言するから! 元気だせよ!」
「って 病気だから 元気も出ないか。。。ゴメン」
クスッと笑った 一美を観て安心した 義朗
そっと 一美のおでこに キスをした
「ねぇ ギロウが 病院 連れてってくれたの?」
「あぁ 重かったぜぇ~」
「えっ? 階段 大変だったでしょ。。。」
「階段もだけど 病院まで おんぶして 走ったんだぞ!」
「えっ!」
「だって 俺 車乗れないし。。。タクシー年末で捕まらなかったから!」
「ありがとう」
義朗の手を握る一美の手に力が入った
「ねぇ? もしかして 着替えも?」
恥ずかしそうに 一美は 聞いた
「うん!」
「。。。」
枕に顔を埋める 一美
「嘘だよ! 香奈枝さんに頼んだよ!」
「バカ!」
「ゴメンなカズミ 俺 ガキだったよな。。。」
「。。。」
「俺 トシから 電話もらった時 怖かったんだ!」
「どうして?」
「カズミが 居なくなったら。。。って考えたの!」
「なによ、 殺さないでよ!」
「俺 カズミ 居ないとダメだから。。。」
「カズミに いつも 横に居て欲しいんだ。。。」
「ギロウ。。。 ありがとう♪」
「私も苦しかった。。。ギロウが 居なくて ツラかったの」
「でも どうすることも出来なくて。。。」
「アナタを 傷つけてしまったことが 怖かったの」
「ゴメンね。。。」
「それなのに こんなに想ってくれて。。。」
義朗は 一美の唇に 優しく触れるキスをした
