何とお待たせすること3ヶ月以上…(ToT)


もー、スライディング土下座じゃ済みませんね…( ̄~ ̄;)

難産だったんです、これ。

最終的着地点に到るイビりにもぼちぼち限界が…(;^_^A


では本編どうぞ!!









◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


散々振り回され挙げ句おばちゃんパワーの洗礼に晒された若手メンバーが、目を虚ろにしてローリィが緋堂を含めた緒方組と悪巧み談義をしている姿を眺めていると、目敏く緒方組おばちゃんズが叱り飛ばしてきた。



「ほらそこの坊っちゃん嬢ちゃん!!
呆けている場合じゃないのよ。
私たちは只の知恵袋だと思いなさい。
  貴方たちこそが表立って動かなきゃいけないんだから。
  …とはいえもうCMと映画同時進行でやっちゃってるし?
シメるにも時間ないしね~。」



「…誓子さん、CMの方のスタイリストとメイクにあたしたちの後輩がいるんですけど、少しちょっかい出させてもいいですか?
あたしたちが手取り足取りタマゴから仕込んだコたちですから腕も人となりも太鼓判捺せますよ。」



誓子の言わば直属部隊に当たるであろうスタイリストとメイクからの提案に話は更なる拡がりを見せ、若手メンバーの魂が抜ける濃密な一夜はこうして過ぎていったのである…。



さて。


何だかんだとスケジュールの都合もあり、映画の次の撮影が行われるのは1週間後となっていた尚は、グラビア撮影や新曲の打ち合わせ等々、吉野の采配の元的確に仕事をこなしていった。


プロモーションの撮影も残すところは2シーン。


ダメ出しされまくった撮影も今日でアップ出来るとあって、どこか軽やかな足取りでスタジオ入りした尚を待ち受けていたのは、女性スタッフによる表向き一般論な噂話、裏は尚に対するイヤミハリケーンの嵐であった。



「…でね、その腐れ外道。
うまいこと言って散々幼馴染みの女の子に貢がせた挙げ句襤褸屑(ボロクズ)みたいにポイ捨てしたんだって~!!」



「きゃ~っ!!
何その最低男!!
完全犯罪者じゃないの!?
  その酷い目に遭わされた娘(コ)その後どうしたのか聞いてる!?」



「う~ん、そこまでは私も聞いてないんだけどぉ…ねぇ、もしそんな最低男が近くに居たらどうする?
私ならそんなヤツが近くに居ると判った瞬間からソイツを地獄に堕とす算段組み始めるかも!!」



「「「同感だわ!!」」」



だって女の敵よそんなヤツ、そうよね~と興奮気味に語る女性スタッフたちの会話の内容に、何も知らない男性スタッフは暢気なものだが状況を知っているプロモーション監督の潮と、リアルにその悪行をやってのけていたと最近漸く自覚した当人である尚はどうにか顔にこそ出さずにはいたが戦々恐々としていた。



(うわ~。さすがあの大女優緋堂誓子の認めたお姉ちゃんズの弟子…突っつき方のえげつなさも直伝なのか!?)[by潮]



(…何なんだよあのねーちゃんたち…チラチラ俺の方見ながら変な事言いやがって!!…でも待てよ!?確かこの前緒方監督、監督同士横の繋がりが在るって…まさかこの話、黒崎監督からスタッフに回った話じゃ!?)[by尚]



心当たり有りまくりの尚が思わず黒崎監督に目を向けたが、当の本人は役者もびっくりの演技力を発揮し俺の顔に何かついてるかとそ知らぬ顔をして見せた。



さすがに俺の話を緒方監督辺りから聞かなかったかとは言えない尚は、何でもありませんと首を横に振ったのだが。


ポーカーフェイスを貫こうとも、女性陣の話す内容は自分を指し示す内容ばかり。



「あらぁ…体調悪いのかしら?
顔色悪いし…背中、汗びっしょりよ?
大丈夫?どうしたの不破くん。」



腐っても鯛、人間性は兎も角ビジュアルも売りの一つにしているカリスマロックシンガー、【不破 尚】。


メイクでどうとでもなる顔色は誤魔化し切れずとも冷や汗といえど顔に汗を出さないの“だけ”は天晴れと言えた。



「ちょ、ちょっと貧血…かなぁ。
少しスタジオ暑いから背中だけ汗かいたかもしれませんね、ハハハ…。」



「あら大丈夫?
  …ねぇさっきの話、不破くんも聞いてたでしょう?
どう思う?
同じ男として、幼馴染みを人間扱いも出来ない恥知らずな腐れ外道の最低野郎って。
アタシたちとしては、そんな馬鹿こそ人間以下の愚劣極まりないイキモノに思えるんだけど…。」



口調こそ明るいが鏡越しに見える彼女らの眼は明らかに《お前だよ解ってんだろ言い返せるモンなら言い返してみろやあぁん?》とばかりに冷ややかで、尚の背筋は凍りつく寸前であった。



(ヤバい…このオバチャン…もといオネーサンたちにヘタな口利くと明日の朝日を拝めない気がする…っ!!
だ、だけど返事しねーとそれはそれでもっとヤバそう!!)



メイク室で椅子に腰掛け、ヘアスタイルのチェックをされながらの鏡越しの会話にはスタイリストとメイクアップアーティスト、そしてその助手たちが揃い踏みで尚を取り囲むようにしていた。



----疾うに逃げ場が塞がれていると尚が気付くのにもはや時間は要らなかった。





さて。


勘違いしまくったアメリカ人俳優二人のスケジュールに合わせて急遽海を渡ってきた為、共演の蓮の帰りも当然彼らが帰るまでに戻らねばならぬが故に勿論超特急。



「…本当なら直接報道陣の前に立って二人揃って発表したいのに…。」



「…仕方ないです、スケジュール合わせようにも蓮さんはあっちが活動拠点なんですから。
私もこっちに動いてきたばかりですから、直ぐにそっちに活動拠点戻すって訳にもいきませんし。
でも!!
お互いに頑張っていきましょうね。
仕事も、プライベートも。
………ほんの少しでも時間が出来たら、メール、下さいね。
私もしますから。」



「……ん。
出来るだけ電話もするよ。
俺の鼓膜を撫でる君の声は至上の音色だからね。」



「んもう…蓮さんたら。///
  それそのまんまお返ししますね。
…でも声聴いたら絶対電話切った後で哀しくなっちゃうと思う…。
逢いたくて堪らなくなるもの…。」



「キョーコ…。」



「…蓮さん…。」



「お~い、……お前ら、社長室まで来てイチャコラベタベタラブラブするのはどうなんだ?
まぁ公表するまでは表立っていちゃつくのはマズイし、また暫しの別れだから名残惜しいってのは解るが…。
俺がいるのを完っ全に忘れてねぇか!?」



完全に二人だけの世界を作ってイチャコラしている蓮とキョーコに、本当にコイツらこの前まで本当に資格が無いだの恋愛拒否だの壊死してただの言ってた奴らなのかとハリセンツッコミを入れたいローリィであったが、そこは世界中に愛を叫んで憚らぬ大物。


予想を超えていようとも幸せ溢れる恋人たちのラブラブっぷりを見られれば満足なので文句はつけない。



「…まぁいいや。
蓮お前ぼちぼち出ないと飛行機に間に合わんぞ。
いちゃつくのはそこまでにしておかないと俺、お前らのスケジュール弄って当分逢えなくしちゃおっかな~。」


「そんなの嫌ですっ!!
…い、意地悪言わないでください社長さん…っ。」



愛を全力で世界中に叫んで憚らぬ社長さんのお言葉とも思えません!!と目を潤ませて訴えるキョーコに冗談は通じないと瞬時に悟ったローリィはひらひらと手を振って冗談に決まってんだろが、んなこたしねえよと慌てて誤魔化した。



「時間ねえんだ、名残惜しいだろうがぼちぼち行かねえと本当に飛行機乗り遅れるぞ?
心配すんなっつーの!
記者会見はちゃあんと衛星生中継にしてやっから!!」



参っちゃうよなぁお前らにはと苦笑いしながらもどこか楽しそうにしているローリィに、二人は今度こそホッとしたのか抱きしめあっていた身体を離し、蓮は行ってくるねと手を振り何度も振り返りながら社長室を後にした。



「…1週間だけ我慢しろ。」



寂しげに見送ったキョーコの様子にポリポリと頭を掻きながら俺も大概お前らには甘いよなと苦笑いするローリィに、声を掛けられたキョーコは首を傾げた。



「…さっきも言ったが、海の向こうとこっちで映像繋いで生中継の記者会見開けるように調整してやっから。
あと1週間だけ我慢して他の奴らからの要らねえラブコール弾き返しとけ。」



そっから後は全開でのろけまくって良いからよと弄る気満々な笑みを浮かべるローリィに、キョーコは素直にはい、と満面の笑顔で頷き返していた。




それからというもの。



キョーコと蓮の超遠距離ラブラブメールが海を越えて飛び交っていた。


空き時間のホンの少しの時間でも《こっちは今こんな仕事です、夜は何時に終わる予定です、今夜も少しは話す時間が取れたらいいな》などとあのラブミー部最強ラスボス乙女は何処行ったと言わんばかりのメールを送信する恋する乙女っぷり満開の京子の姿に周囲が気付かぬ筈もなく。



僅か1週間の間にマスコミはローリィすら想像出来ぬほどのヒートアップを見せた。



当然群がるその他大勢の勘違い野郎共も爆発的に増加したのだが、キョーコも最愛の蓮との会見を指折り数えて待っている身、振る時だけは容赦なくばっさりと蹴散らしていった。


その蹴散らした勘違い野郎共の中に。


キョーコの人生史上最大の勘違い野郎も当然含まれていた。




「やっと見つけたっっ!!
お前電話くらい出やがれ!!
この俺がわざわざ懸けてやってるっつーのに着拒なんかしやがって~!!」



うんざりする程聞き慣れている幼馴染みの叫び声に、キョーコは盛大な溜め息を吐かずにはいられなかった。



「…それが2年以上顔合わす事無くて久々に会った幼馴染みに開口一番言う台詞ってのがアンタらしいっちゃらしいけど…。
一応幼馴染みとして注意してあげるわ、TPO(時と場合)を考えて行動しなさいよ、カリスマロックシンガーの【不破 尚】さん。
お互い二十歳越えた大人でしょ?」



もう少し立場とか考えて行動した方が身の為よ、とお互い嫌という程性格を把握している幼馴染みからの忠告に、言葉が瞬間的に詰まった尚だったが、自分との話は無いとばかりにマネージャーと次の仕事へと移動するために自分の横をすり抜けようとしていたキョーコの様子にムッとなり腕を咄嗟に掴まえていた。











何年経とうとおバカはおバカ♪

叩きのめすお決まりパターンは次回をお待ちくださいませ。(^-^)v


想いを歌声に乗せて(4)




----置物タヌキは狸親父に掌の上で転がされ----




無事菅からのお墨付きも得て、《雪花》は正式にハリウッドからのオファーについて相談することになり、改めて連絡を取ったジムがローリィの元へやってきた。



カインに扮した蓮の姿がない事に明らかな安堵の表情を浮かべ、早速話がしたいと薦められたソファーに腰を下ろし、持っていたブリーフケースから書類の束を取り出し、相対するソファーの雪花と担当の菅に差し出した。



『取り敢えず正式なエージェントが到着するまでの代理人として、私が話を進めさせていただいて契約内容を詰めておきたいんです。
改めまして、ジム・オラクルといいます。
アメリカはハリウッドから来ました。
失礼ですがお嬢さんと貴方のお名前を伺っても宜しいですか?』



『LME歌手部門担当、ヨシヒロ・スガです。
彼女は…。』



『…雪花・ヒールよ。
イギリス出身。
アタシまだ怒ってんだからネ!?
せっかくの兄さんとの素敵な時間を邪魔されて…っ。
…まぁ切羽詰まってたって話はボスからも聞いてるから、我慢してアゲルけどね。』



フンっとソッポを向いた雪花を宥めるように肩を叩いたローリィと向き合いながら、ジムは事情を改めて説明し直した。



『…という訳で、世界同時公開が迫っているにも関わらず、歌い手は決まらないといった状況に陥ってしまったんです。』



『…クリエイターの性(サガ)だよなぁ。
映画にピッタリの歌声を求めるっつーのは、さ。
で世界中の歌手っつー歌手を妥協せず片っ端から蹴った挙げ句自分で自分の首絞めちまったっつーのが本末転倒で間抜けっちゃあ間抜けだが。
んで?
お前さん、改めてその子の…雪花の歌を確かめなくて良いのか?』



確かめるなら収録したのがあるぞとローリィが差し出したUSBメモリに、ジムは目を輝かせ『是非!!』と食い付いてきた。



メモリを差し出したローリィはうちとして確認した事だがなと前置きして菅に合図をした。



『彼女は日系イギリス人ですので、英語、日本語両方で同じ曲を歌ってもらいました。
声量、音感、リズム感。
どれもうちの契約歌手として何処に出しても申し分なく恥ずかしくない基準を満たしています。
但し彼女は未成年者ですので、兄であり保護者であるカイン・ヒール氏の承諾無しには動けない事を予めご理解願います。』



ジムが首肯するのを確認してから菅はローリィから受け取ったUSBをノートパソコンに挿し込み、音声ファイルを再生するべく操作した。



???およそ20分後。



傍目にドン引きする程、声も出さずにボロボロと涙を溢し、それを拭おうともしない置物タヌキのような恰幅のいい、それは正直言って見苦しいおっさんの姿がそこにはあった。



『………。』(うわぁ…鼻水まで出て、拭いて下さいよ…)



顔に出ていたのか京子…もとい雪花の言いたいことはローリィにも伝わったのだろう、手で秘書に合図しジムにBOXティッシュを渡させた。



曲を聴き終えた途端堪えていたのだろう、おいおい泣き始めたジムがえぐえぐと嗚咽交じりに何か話しているのだが、何を言っているのか理解できず菅も雪花もローリィですら目が点になった。



『…Mr.エヴァンス?
取り敢えず泣き止んで下さらないと話が出来ません。
少し落ち着いてください。』



菅の言葉に受け取ったBOXティッシュを何枚も引っ張り出し、盛大な音を立てて鼻をかんだジムは目の前に置かれたカップに口を付け、大きく息を吐いた。



『いやぁ失礼しました。
感激のあまり涙が止まらなくなってしまって…っ!!
Miss.セツカ!!
改めてお願いします!!
今回の映画には貴女の歌声が必要不可欠だと確信しました!!
是非とも我々と契約を結んでいただきたい。』



勢い付いて迫るジムの迫力あるぼよんとした腹が揺れるのとは対照的に、先程まで泣いていたために潤みきった円らな瞳の半端ないギャップの姿を、直視しながらもクールな雪花を貫き通した京子がチラリと横にいたローリィに目を遣ると、あからさまに悪巧みしてますと言わんばかりの不敵な笑みを浮かべる姿があった。



(…嫌な予感…て言うか明らかに悪巧みしますって顔に書いてあります社長さん…。)



結果ローリィは興奮冷めやらぬジムを言葉巧みに丸め込み、LMEと雪花(京子)に対しこの上ない程有利な契約を結ばせる事に成功したのである。



全ての契約内容を確認してサインを終えた雪花(京子)と菅が、口に出さずとも丸っきり同じことを考えていた事に気付いたかどうかは定かではない。



((化け狸の掌で置物タヌキおじさんがまんまと転がされた…。))



正式なエージェントがやって来た時には既に浮かれたジムが契約を結んでしまっていたので、後からローリィがクーに『ボス、ジムのこと嵌めただろ』と責められていたのはご愛嬌である。











契約成立しました♪


さぁ、いよいよレコーディングですね。(^-^)



……ところで本作品、初のサブタイトル付きなんですよね~。



一応内容に見あったもの付けてるつもりですがいかがでしょう。




追記

登場人物の名前を間違っておりましたので、訂正いたします。