「あ、天宮さんっ、琴南さん、お話を伺えませんか!?
敦賀さんと京子さんの交際についてなんですが!!」
押し寄せた報道陣に、2人は顔を見合わせるとにっこり笑って頷いた。
「構いませんよ。
あの2人について、知ってる限り包み隠さずばらしていいと社長の言質も取ってある事ですし…ね。」
「とばっちりの意趣返しくらい、京子さんはともかく敦賀さんには我慢してもらわないとね。」
にっこり笑っていながらもどこか黒いものが漂う気配に、その場にいたマスコミ各社の記者たちの背筋を冷たい汗が流れていた。
「…で、ではお願いします…。」
マイクを持つ手が震えそうになるのをなんとか抑えながらリポーターが視線を向けると、奏江と千織による、マスコミ各社の記者たちが呆れ返るほどの暴露会見の幕開けになったのだった。
「…先ず敦賀さんときたら、先輩ぶって注意するふりしながら京子が曲解しているのをいいことに群がる馬の骨を排除しまくってたわよね。」
「そうそう、自分からのアプローチも見事にスルーされてた癖に、そんなとこばっかり独占欲強くって呆れちゃう。」
「で、では京子さんの方が敦賀さんの猛烈なアタックを受け流しておられたのですか?」
「ええ、京子には馬鹿な幼なじみがいましてね、変な刷り込みをしたものだから自分には魅力も色気もないって思い込んじゃってて。
だからあの娘(コ)、敦賀さんにどんなに口説かれてもからかわれてるか冗談だと思ってましたよ。」
奏江の発言に賛同した千織による暴露は更に続く。
「そうそう、敦賀さんって、あんな風貌してながら恋愛初心者なんですよ?
敦賀さんって、言い寄られて付き合った事はあっても自分が好きになって付き合った経験が無かったんですって。
だからもうこっちが呆れちゃうほど必死で…。
でも京子さん、不破のせいで自分の魅力にまるっきり気付かないから…あっ!!」
「ちょっと、マズイわよっ!!
千織、あんた今、名前出しちゃったでしょ!?」
飽くまで失言を装い、千織と奏江は暴露を繰り返した。
「大丈夫よ、何もフルネーム出した訳じゃないから…同じ芸能界でもジャンル違うんだし?」
「…それもそうね。
あっちは歌手だし…まあ、ともかく京子さん、自分には魅力も色気も皆無だなんて凄い思い込みしていて、見ているこっちが敦賀さんのあまりの撃沈ぶりに見ていられなくなって…。」
思い返すとつくづく頭が痛いわ、と苦痛の表情を浮かべる千織に、奏江も賛同して頷いた。
「…毎回部室でのやり取りを後から懇切丁寧に解説してやって、京子が敦賀さんの家に食事を作りに行った次の日も前の晩の事を白状させてじっくり説明してあげたんです。
それを何度も繰り返していくうちに、漸くまともな恋愛思考や反応が働くようになったんですよ。
馬鹿な幼なじみのせいで壊死した恋愛回路の繋ぎ直しって想像以上に大変でした。」
千織と奏江の暴露話を繋ぎ合わせていた記者たちは、京子のあまりの曲解思考と形振り構わなかった蓮の壊れっぷり、京子の魅力を気付きもせずに変な刷り込みをした幼なじみとやらに開いた口が塞がらなかった。
そうして散々暴露しまくっていた2人の元に、先程会見を終えたばかりの蓮と京子が遂に現れた。
そう、此処は蓮と京子が交際宣言した会見場になったホールのロビー。
後ろからは蒼白になった社の顔が覗いていたが、奏江も千織も構わず暴露し続けた。
…といってもキョーコとの友情にはヒビを入れたくない2人は、99%蓮のヘタレ暴露をしていたのだが。
「…丁度良いところに本人たちが出てきてくれました。
私達はこれからオフなので、京子を囲んで堂々交際宣言したお祝いの女子会ですから、私達の話の真偽はそちらの大先輩にお願いしますね?
あぁそれから、私達は2人のとばっちりで見合いさせられそうになってますけど、無事に2人がくっついてくれましたから見合い話も無かった事になりました。」
にっこり笑って2人は京子に歩み寄ると、真横で呆気に捕られて固まっていた蓮を見上げ、とばっちりの仕返しはさせて貰いましたよと言い置いて爽やかに京子を連れ去って行った。
残されたのはイメージ総崩れにされた見た目良い男、実は形振り構わぬヘタレな恋愛初心者の俳優、敦賀 蓮と、その蓮のイメージを必死で守っていたのにボロカスにされた憐れなマネージャー、社 倖一の2人。
そしてラブミー部員のあまりの手際の良さに唖然として見送った報道陣だけだった。
残された報道陣が事の真偽を確かめるべく、骨までしゃぶりつかんばかりに蓮に食い付いたのは言うまでもない…。
そして後日の放送や掲載された雑誌、新聞の内容に撃沈させられた蓮と社はつくづく思ったのだった。
ラブミー部員を敵に回すと地獄を見ると。
END
さ~、モー子とちおりん、敵に回すと酷い目に遭わされる、でした!!
…続編としちゃあもの足らないかな?
でもぶった切ります!!
ありがとうございました♪