蓮と社がキョーコと事務所で遭遇した2日後。
キョーコはマリアと共に機上の人となった。
マリアの渡米に合わせて休暇を取った皇貴の出迎えでアメリカの地を踏んだキョーコは、クーのたっての頼みなのだと言われて仕事中のクーの撮影現場に連れて行かれた。
その時のキョーコの衣装は渡米が報道されないようにとのローリィの配慮からテンによってメイクアップされ、マリアの姉だと言っても違和感のないスタイルに変貌させられていたため、ゴシックロリータの美少女人形がリアルに歩いているようで良くも悪くも目立っていた。
「Mr.ヒズリ、お久し振りです。
お約束のキョーコさんをお連れしました。
マリア、Mr.クー・ヒズリだよ。
お祖父様のご友人でね、日本にいた頃はLMEの俳優だった人なんだ。
ご挨拶なさい。」
皇貴の言葉に笑顔で頷いたマリアは、ピョコンと頭を下げてクーに向き合った。
「はじめまして、宝田マリアと申します。
お祖父様からお話は伺っておりますわ。
お姉様のお父様なら、クーおじ様とお呼びしてもよろしいかしら?」
愛らしく首を傾げた小さなレディに、クーも快く頷いた。
「勿論だとも。
よろしく頼むよ、Missマリア。
意外だな、あのボスの孫がこんなに可愛らしいレディだとは。
済まなかったな皇貴君、ところでキョーコは…。」
2人の挨拶が済むまで少し離れて黙っていたキョーコがクーに向かって歩き出した途端、周囲がざわつく気配が漂った。
当たり前の事だがここはハリウッド、映画の都である。
スターを夢見て遠くアジアからやって来る俳優、女優なら星の数程もいるだろう。
当然ここで働くスタッフもアジアンビューティーなぞ見馴れている筈なのだが、それでも尚(なお)一層目を引く可愛らしさだった。
「…お久し振りです、先生。」
はにかんで言うその姿にハートぶち抜きでキュンキュン来てる若い男性俳優&スタッフと、〈何このちまっと可愛い小動物はっ!!〉とかいぐりしたい衝動を抑えるのに必死に悶絶する女優&女性スタッフを後目に、キョーコはクーの前に立った。
「キョーコ…!?
いやぁ、見違えたぞ!!
…ってなぜ私を先生と呼ぶ!?
言っておいただろうが!!
ほれ、言い直さんか!!」
凶悪な面構えで美少女にデコピンしようとしたクーを見て、周りにいたスタッフや役者一同が慌てて止めに入る。
《ちょ、ちょっとクー!!
そんな小さな子に何してんの!?》
《英語じゃないから分からないけど、貴方がそんなに怒るようなニュアンスには聞こえなかったわよ!?》
羽交い締めで止めようとするスタッフに、クーも何でもないよと笑って応えた。
《ああ、すまないな。
何しろこの子は父に向かって先生などと言うのでな、教育的指導をしようと…あ、それに小さくないぞ?
確か18歳だった筈…。
なぁ、キョーコ。》
周りの反応にキョトンとしていたキョーコだが、クーの英語での質問ににっこり笑って答えた。
《あ、はい。昨年末に18歳になりました。
お、おとう…さん。》
《…だから何故そこで口篭る。
言いにくければパパでもいいから。》
…などとキョーコとクーが言い合っていると、騒ぎを聞きつけた人物が近寄ってきた。
《…おいおい、なんの騒ぎだ?
…と、騒ぎの元はあんたか、クー。》
呆れたような眼差しを向けるクーより10歳以上は年上の貫禄のある白人男性は、鋭い目付きでキョーコを一瞬見た後、フッと視線を和らげた。
《何だ?この子は。
お前の隠し子か?》
《何を馬鹿な事を!!
私には血を分けた愛する息子は一人しかいないが、この子は愛する娘にしたい子だっ!!
予行演習にパパと呼ばせているのだ!!》
堂々と豪語するクーに周囲がドン引きする中キョーコだけは優雅に向き直り、白人男性に綺麗なお辞儀をして見せた。
《お騒がせして申し訳ありません。
日本から参りました、キョーコ・モガミと申します。
Mr.ヒズリの日本での事務所の後輩にあたります。 よろしくお願いいたします。》
《おぉ、見事な挨拶だなぁ。
仕事柄色んな日本人を見て来たが、こんなに綺麗な挨拶する日本人は初めて見たぞ?
本当に何だ?この子は。》
《…訊く前に挨拶してるんだから自己紹介くらいしたらどうだ。
名乗ったら名乗り返すくらいは礼儀のうちだろうが。》
面白がっている白人男性に、クーが冷ややかな視線を投げつけた。
《…ああ、済まなかったな。
俺は今コイツと仕事をしている、ジェレミー・ホプキンスだ。
一応映画監督やってるんだ。》
キョーコは目が点になった。
それはハリウッド映画に於いて知らぬ人がいないほどのビッグネーム。
オスカーを何度も手にした繊細かつ大胆な演出と讃えられるその映画たちは、世界中の人々を魅了して止まない。
《はっ、はじめましてっ!!
お名前は存じ上げておりましたが、気付きませんで大変失礼致しました!!》
もう一度最敬礼で挨拶すると、構わないという風に手をひらひらさせながらジェレミーは笑った。
《気付かなくて当たり前さ。
マスコミ向けの顔してないもんな、今の俺。
で、いい加減教えろクー。
この子が此処に来た理由を、さ。》
多分通常あり得ないですよね。
時差ぼけ無視、渡航疲れも無視していきなり逢いに行くっつーのは。
そして全くもって当たり前の事ですけれど、ハリウッド映画界の話なんて全くの捏造、おもいっきりでっち上げです。
…そこいら辺は突っ込まないで下さいね、ヘコむから。
ついでにお知らせ致します。
しばらくリクを重点的に更新するつもりですので、“誰一”や“パパママ”の更新が滞ります。
楽しみにしてくださってる方がいらっしゃったならばすみません。m(__)m
キョーコはマリアと共に機上の人となった。
マリアの渡米に合わせて休暇を取った皇貴の出迎えでアメリカの地を踏んだキョーコは、クーのたっての頼みなのだと言われて仕事中のクーの撮影現場に連れて行かれた。
その時のキョーコの衣装は渡米が報道されないようにとのローリィの配慮からテンによってメイクアップされ、マリアの姉だと言っても違和感のないスタイルに変貌させられていたため、ゴシックロリータの美少女人形がリアルに歩いているようで良くも悪くも目立っていた。
「Mr.ヒズリ、お久し振りです。
お約束のキョーコさんをお連れしました。
マリア、Mr.クー・ヒズリだよ。
お祖父様のご友人でね、日本にいた頃はLMEの俳優だった人なんだ。
ご挨拶なさい。」
皇貴の言葉に笑顔で頷いたマリアは、ピョコンと頭を下げてクーに向き合った。
「はじめまして、宝田マリアと申します。
お祖父様からお話は伺っておりますわ。
お姉様のお父様なら、クーおじ様とお呼びしてもよろしいかしら?」
愛らしく首を傾げた小さなレディに、クーも快く頷いた。
「勿論だとも。
よろしく頼むよ、Missマリア。
意外だな、あのボスの孫がこんなに可愛らしいレディだとは。
済まなかったな皇貴君、ところでキョーコは…。」
2人の挨拶が済むまで少し離れて黙っていたキョーコがクーに向かって歩き出した途端、周囲がざわつく気配が漂った。
当たり前の事だがここはハリウッド、映画の都である。
スターを夢見て遠くアジアからやって来る俳優、女優なら星の数程もいるだろう。
当然ここで働くスタッフもアジアンビューティーなぞ見馴れている筈なのだが、それでも尚(なお)一層目を引く可愛らしさだった。
「…お久し振りです、先生。」
はにかんで言うその姿にハートぶち抜きでキュンキュン来てる若い男性俳優&スタッフと、〈何このちまっと可愛い小動物はっ!!〉とかいぐりしたい衝動を抑えるのに必死に悶絶する女優&女性スタッフを後目に、キョーコはクーの前に立った。
「キョーコ…!?
いやぁ、見違えたぞ!!
…ってなぜ私を先生と呼ぶ!?
言っておいただろうが!!
ほれ、言い直さんか!!」
凶悪な面構えで美少女にデコピンしようとしたクーを見て、周りにいたスタッフや役者一同が慌てて止めに入る。
《ちょ、ちょっとクー!!
そんな小さな子に何してんの!?》
《英語じゃないから分からないけど、貴方がそんなに怒るようなニュアンスには聞こえなかったわよ!?》
羽交い締めで止めようとするスタッフに、クーも何でもないよと笑って応えた。
《ああ、すまないな。
何しろこの子は父に向かって先生などと言うのでな、教育的指導をしようと…あ、それに小さくないぞ?
確か18歳だった筈…。
なぁ、キョーコ。》
周りの反応にキョトンとしていたキョーコだが、クーの英語での質問ににっこり笑って答えた。
《あ、はい。昨年末に18歳になりました。
お、おとう…さん。》
《…だから何故そこで口篭る。
言いにくければパパでもいいから。》
…などとキョーコとクーが言い合っていると、騒ぎを聞きつけた人物が近寄ってきた。
《…おいおい、なんの騒ぎだ?
…と、騒ぎの元はあんたか、クー。》
呆れたような眼差しを向けるクーより10歳以上は年上の貫禄のある白人男性は、鋭い目付きでキョーコを一瞬見た後、フッと視線を和らげた。
《何だ?この子は。
お前の隠し子か?》
《何を馬鹿な事を!!
私には血を分けた愛する息子は一人しかいないが、この子は愛する娘にしたい子だっ!!
予行演習にパパと呼ばせているのだ!!》
堂々と豪語するクーに周囲がドン引きする中キョーコだけは優雅に向き直り、白人男性に綺麗なお辞儀をして見せた。
《お騒がせして申し訳ありません。
日本から参りました、キョーコ・モガミと申します。
Mr.ヒズリの日本での事務所の後輩にあたります。 よろしくお願いいたします。》
《おぉ、見事な挨拶だなぁ。
仕事柄色んな日本人を見て来たが、こんなに綺麗な挨拶する日本人は初めて見たぞ?
本当に何だ?この子は。》
《…訊く前に挨拶してるんだから自己紹介くらいしたらどうだ。
名乗ったら名乗り返すくらいは礼儀のうちだろうが。》
面白がっている白人男性に、クーが冷ややかな視線を投げつけた。
《…ああ、済まなかったな。
俺は今コイツと仕事をしている、ジェレミー・ホプキンスだ。
一応映画監督やってるんだ。》
キョーコは目が点になった。
それはハリウッド映画に於いて知らぬ人がいないほどのビッグネーム。
オスカーを何度も手にした繊細かつ大胆な演出と讃えられるその映画たちは、世界中の人々を魅了して止まない。
《はっ、はじめましてっ!!
お名前は存じ上げておりましたが、気付きませんで大変失礼致しました!!》
もう一度最敬礼で挨拶すると、構わないという風に手をひらひらさせながらジェレミーは笑った。
《気付かなくて当たり前さ。
マスコミ向けの顔してないもんな、今の俺。
で、いい加減教えろクー。
この子が此処に来た理由を、さ。》
多分通常あり得ないですよね。
時差ぼけ無視、渡航疲れも無視していきなり逢いに行くっつーのは。
そして全くもって当たり前の事ですけれど、ハリウッド映画界の話なんて全くの捏造、おもいっきりでっち上げです。
…そこいら辺は突っ込まないで下さいね、ヘコむから。
ついでにお知らせ致します。
しばらくリクを重点的に更新するつもりですので、“誰一”や“パパママ”の更新が滞ります。
楽しみにしてくださってる方がいらっしゃったならばすみません。m(__)m