『…では、今度は敦賀さんにお聞きします。
京子さんにいつ頃から、どんなところに惹かれましたか?』

『うーん…。
そうですね。
昨日彼女がバラエティー番組でカミングアウトしちゃってるんですけど、俺って食事に無頓着なところがありまして、そのせいもあって体調管理が不十分で、彼女が代マネしてくれてる時にひどい風邪ひいたんです。
でも、彼女が献身的に看病してくれて、アシストしてくれたおかげで仕事に穴を空ける事なく乗り切れたんですよ。
…その辺りかな?
君を意識し始めたのは。』

『え、ええっ!?
私それ聞いてないです!
そんなに前からなんて…。////』

『でなきゃラブミースタンプ満点からわざわざ10点減点なんてしないよ。
気になってきた女の子に、“頑張って看病したのは仕事だから当たり前”なんて言われて、ちょっと悔しいから、からかいたくなったんだよ。』


俺の知らないキョーコ。
アイツだけが知ってるキョーコ。
そんな二人の姿に胸が締め付けられる。


『あ、あの~。
今のお話に出てきたラブミースタンプというのはなんですか?』

別の記者が尋ねる。

『ああ、彼女が俺と付き合い始めるまで在籍していたセクションです。
なにしろ彼女、愛したくも愛されたくもない病持ちだったので、社長が見かねて…。
“芸能人たるもの、愛し愛される気持ち無くしては生きては行けん!”…と、才能はあるがどんな形でも愛が足らない者の在籍セクションとして作られたのがラブミー部だったんです。
だから大変でした。
彼女に振り向いて貰うのは。
どこかの幼なじみのせいで、自分は地味で色気がないと思い込んでるし、そんな自分が男の目からどんな目で見られてるかなんてまるで考えないし、警戒心薄いし…。
俺の事男として意識してくれる様になるのに、2年掛かりました。』

辛かったですよ~、と突っ伏しそうなアイツに慌ててわたわたしだすキョーコ。
俺の言った言葉がこんなところでもまた後悔の矢となって自分に突き刺さる。

『ごめんなさい~!
だってあの頃、貴方は神様みたいに尊敬する大先輩で、演技の事、なんでも相談できる先生で…!』

『…うん、分かってたよ。
君がまるで意識してくれてなかったのは。
でなきゃ、いくら演技の相談でもラブシーンの練習に付き合って、キスの仕方教えてくれなんて言わないよね。
しかも深夜の俺の部屋で。
あの時は本当に生殺し状態だったよ。』


…なぁ~にぃ~!!!
若い男の部屋で、深夜に二人きりで、ラブシーン教えてくれって!
…敦賀 蓮が初めてかわいそうに思えたぜ…。
…ん?
ていうかそれで手ぇ出してない!?
どんだけヘタレ野郎だよ!敦賀 蓮!!

『うん、でもそこで強引に迫ってたら今日を迎えられなかったよ。
時間かけて頑張った甲斐はあったな♪』

…おい、なんか顔崩れてるぞコイツ。






記者会見、司会者は暴走する惚気た蓮を止める事が出来るでしょうか…。←こら