3年前に私が付き合ってた男は
文字で男女の「それ」をするのが好きな男だった。
ピグではよくある話らしいが
わたしはそれとは無縁のところにいたから
彼のいわゆるピグカノになったときに
それは避けて通れないのだろうかと
真剣に悩んだ。
でも付き合って2ヶ月。
その時は訪れた。
大好きだったから誘われた時は嬉しかった。
そういう目で見てくれることは
女として純粋に嬉しかった。
でもやり方がわからない。
どう答えればいいのかわからない。
「あん」とか触られてもないのに言えない。
というか、
喘ぎ声って我慢できなくて出るものであって
意思で書くものではない。
みんなそんなことを文字に書くのだろうか。
元カノたちはどうしてたのだろうか。
私の頭の中は
「白けさせないようにしなきゃ」と
白けていく一方だった。
彼は卑猥な言葉を
私に言わせるのが好きだった。
私にだけは言わせたくなると
その時言ってた。
私がどれだけ
そんな恥ずかしいことは言えないと言っても
言わないと終わらなかった。
拒めば拒むほど
時間は刻々とすぎていく、
その時間とともに
彼の興奮も冷めてゆくのが私は怖かった。
だから私は言った。
彼の望む言葉を。
満足気に「いいこだ」と言われ
わたしはほっとした。
触ってないのに「触ってる」と文字を打つ。
文字を打ってると触れないのに
彼は私の言葉を信じる。
「きらくんのがほしい」とお願いしても
それが私の中に入ることはない。
でも彼は「入れるよ」と書き
「気持ちいい」と書く。
文字を打ちながらで気持ちいいのかな、と
私は冷静に考える。
冷静になればなるほど白けていき
「どう言えば喜んでくれるかな」とだけ
考えるようになる。
だからその時間は
私にとっては奉仕と変わらなかった。
すきな人が
自分で興奮してくれるのは嬉しい。
だから私は嬉しかった。
でも別れた今思う。
そういう世界があるのは否定しない。
官能小説に興奮することと同じだと言われれば
わからなくもない。
でも彼にはリアルに彼女がいた。
彼女とそういうことをしながら
彼女はがいない日は
ピグカノと文字で話しながら
ひとりで行為をする。
愛の営みなんかではなく
彼もまた、
私をネタにしていただけだったんだ。
その証拠に
彼はわたし以外にも同時進行で
元カノとも文字でしていたし
長年の女友達ともしていたし
お気に入りの女の子ともしていたから。
変態男と流され女。
そんな私も変態女。