わたしは絵を描くのが好きです。
でも、正直に言うと…あまり上手ではありません。

 

専門的に学んだわけでもなく、
スケッチもデッサンも得意ではありません。
空間を捉えるのも苦手です。

 

だからずっと「才能がない」と思い込んでいました。
でも最近、ふと気づいたんです。

 

—— 才能が開花するほど、描いてきたっけ?

 

絵を描くのは好きなのに、練習は嫌い。
そんなタイプです。

 

思い返してみれば、高校の美術の時間に、
先生から「理屈」でわたしの絵を否定されたことがありました。
そのとき、心の中で


絵なんやから、描きたいように描かせてよ!


と叫んだことを覚えています。

あの瞬間から、わたしの中に
“美術=苦手なもの”という意識が
そっと根づいたのかもしれません。

 

それでも心のどこかに、
「いつか本気で絵を描くことを自分の生きる糧にしたい」
そんな夢みたいな思いはずっとありました。

 

だったら描かないと…
でも、いや、下手だし…
でも描かんと…(でもやっぱり下手やし)。

 

そんな堂々巡りを、何年も繰り返していました。

 

—— そんな調子やったら、いつまで経っても夢なんて叶わへんやん?

 

自分にそうツッコミを入れながら、
どこか苛立っている自分もいました。

 

でも、やっと本当のことに気づきました。

下手だから描けない。
描けないから描きたくない。

 

その裏には、
“突然うまくなる魔法”みたいな方法を探していた自分がいたことに。

 

—— 便利なアプリがなんとかしてくれるんじゃない?
 

そう思った時期もあります。

ほんとうに、AIを使えば「描ける」時代になりました。

 

でも、


—— それでいいの? 

 

と自分に問い直したとき、答えは NO でした。

 

わたしは「生きる糧にしたい」以前に、


“描くことそのもの”を心の拠り所にしたい

と気づいたからです。

 

下手でもなんでも、描くことに集中していると
心が揺れて波立っている日でも
少しずつ静かに落ち着いていく。


その時間が、とても心地いい。

 


だから、もっとシンプルに

 

── 描きたい 

 

アラカンになって、いまごろ気づくなんて……
「絵が上手くなる」ことだけに注目すれば、
そう思わなくもないけれど

 

長く生きてきたぶん
自分の生活や心を守るために

諦めたり避けてきたことも、
たくさんありました。

 

でも、これからの人生は、
“避けてきたこと”にもう一度挑戦することは、
全然悪いではないと思っています。

 

むしろ、これまでとは違う角度で
ものごとを見られる


今だからこそ感じ取れることがあるんだ!と…

 

そう思えるようになったから
もう一度、今度こそ苦手を克服し


絵を描くことを

ライフワークにしていきたいと思っています。