「過干渉母の独り言ブログ」
子供の決定に口を挟む親は、最低だと私は思う。
絶対に不幸になると分かっていること以外で、子供の人生に口を挟んではいけない。
ひと月前の自分に、言いに行きたい。
娘の夢は小学生から、薬剤師とイラストレーターになる事だった。
夏休みまで「絶対薬剤師になる!六年間頑張る!そして大学卒業したら、イラストの夢も叶えるの!」
とキラキラした瞳で語ってくれていた。
ずっと応援していたはずだった。
でも指定校推薦でA大薬学部の枠がもらえると分かった途端、恐怖が襲いかかってきた。
「A大学の国試ストレート合格率は、50~60%ほど。
そもそも学年の三分の一は、国試受験もできないとの噂。
六年間来る日も来る日も勉強漬けで、遊ぶ暇さえない。
卒業まで留年に怯え、ずっと受験生の様に勉強をしていても、国試に通らない事もある。
青春なんて無いに等しい六年間を、過ごすことが不憫でならない。
イラスト活動もほぼできない。」
そんなネガティブな情報ばかりを耳にし、連日しつこく伝えてしまった。
贔屓目かもしれないが、娘は心根が優しく素直な子に育ってくれた。
だからこそ母親の訴えを無下に出来ず、悩み苦しみ、心が壊れてしまった。
受験生にとって一番大切な夏。
娘は、過干渉母のせいで、勉強が一切手につかず、不眠食欲不振。毎晩ベッドで声を殺して泣いていた。
そして最後には文字が読めなくなった。
夏休みが終わる頃、「薬学部諦める。私には無理だったんだよ。現実が見えてなかったから。」と・・・
その時は、良かったと胸を撫で下ろしたが、それから娘は抜け殻になってしまった。
娘にとって薬剤師になる事が、どれほど大きな夢だったのか、やっと気がついたが、
覚悟は揺らぐ事なく、他学部の指定校推薦に出してしまった。
指定校である以上、卒業する以外の道はないだろう。
娘は高校受験でも辛い思いをした。私が、地域で二番目の高校を受験させたからだ。
今思えば塾長からは大丈夫だと言われていたが、担任は良い顔はしなかった。
娘はずっとずっと、苦しみながらずっと走り続けてきた。薬学部に行くために。
その薬学部への切符が目の前にあるのに、私が破り捨ててしまったのだ。
娘がある夜に「頑張ることって無駄なんだね。もう頑張りたくない。頑張ることに疲れた。」とうつろな目をして呟いた。
私は、取り返しのつかないことをしてしまった。
幸せになって欲しくて、ずっと大切に育ててきたのに、勝手な不安から、娘の心も夢も壊してしまった。
一度壊れた心はそう簡単に戻ることはないだろう。
このところ殆ど眠れていない。当然だ。子供の夢を壊して、のうのうと眠れる訳がない。
しかし娘は、優しい言葉をかけてくれる。
娘の夢を無理やり諦めさせた償いを、一生していかなくてはいけない。
心配性が過ぎる親に言いたい。
子供には子供の人生がある。
他の誰でもない、子供自身の人生だ。
どんな結果になろうとも背中を押してあげてほしい。
もう誰も私のような愚かな事をしないよう、そして娘の様に傷つく子供が出ませんように。