『はい、じゃあ今日も頑張っていきましょう。』
と一声かかると働きバチのように寮から飛び出せ海賊団、我らが秋田エリアの河城班。
みんな件数を出す為にそれぞれが色々な家宅へピンポンセールス。
19歳の僕も頑張って任地を飛び回って契約取ります。ブンブンブン。
夕方5時を回ろうかという頃、ゴールデンタイムと呼ばれる最も契約のアツイ時間帯、群馬のキムからメールが来ました。
『明日サッカーの試合あるんだけど来ない!?』
「今秋田にいるよ!」
『あー残念、じゃあ行けないね!』
(は?)
『明日みんなでサッカーの試合するんだけどさ、行けないね』
「お、おう!秋田は寒いぞ!」
そう返してメールは終わりました。
その瞬間決意しました。
(絶対お前らより有意義な一日にしてやる…!)
その日は土曜日だというのに1件しか取れませんでした。
日曜日、昼から吹きすさぶ吹雪の中、ピンポンを続ける19歳の冬春モデル。
任地のものすごい端っこの家を訪ねたら、おっちゃんが出てきました。
『んだ、何の用だべ?』
「auひかり、入りませんか?」
『んだば、家にあがりゃあ良いに。』
どうやら家の中で話を聞いてくれるということに。
(んぉぉぉおをを!!)
蒔田は小さくガッツポーズをしました。
なんてったって、1センチ大の氷が襲い、風速40mを記録する向かい風の中、アメリカのテキサスと言っても多分許されるほどの見渡しが素晴らしい道のりを越えて辿り着いたこの一軒家!
ここは災いの国 秋田最後のパラダイス。
俺は自由だ!
『本当に安くなんだべか?』
「当たり前だこの野郎!」
蒔田は気が狂ったようなテンションで説明しました。
別室から奥さんも来ました。
なにやら美味そうなご飯も一緒に出てきます。
「おっほぉ!これ、食べて良いんすか!?ナイスおばちゃん!」
「え!夕飯の時間だから!?まだ5時なのに!?あれ、俺の分無くない!?」
蒔田は気が狂ったようなテンションでわりと1人で喋ってました。
おばch『とりあえずウチはNTTのままでいいから』
何言ってんの?
おばchのマホトーンを食らい一瞬にして無口になる蒔田。
『わざわざご苦労様。』
「おま!」
帰りました。
吹雪は帰りにストーム(暴風雨)に変わっていました。
これが秋田で一番キツイ一撃でした。
まあその日は5件取ったけどね。