「どうしたん、だいじょうぶ?」


「あっ、いや、ぜんぜんだいじょうぶ。」


遊園地に着き、それぞれ臨時のカップルに別れ歩いていた。


明人と真理子、智也と結衣、俊介と加奈のカップルである。


先ほどまで場を仕切っていた明人であったが、真理子と2人になった途端急に顔が引きつりだした。


「ひょっとして私のこと嫌?」


真理子が不安げに明人を見た。


「そ、そんなことあるわけないやん。」


明人は大げさに手を振り


「ただ俺、その~、あんまり女の子と2人で話したことないから・・・・・・・」


真理子はクスッと笑い


「結衣とは楽しそうに喋ってたのにね。」


「結衣はイトコやから。」


「そっか、それでわかった。」


「何が?」


明人は首をかしげた。


真理子はちょっと自信ありげに


「だって明人くんも結衣も美男美女やのに今までつき合ったことないって言うから、その理由。」


「えっ!」


明人は驚いた。


そんなことは今まで考えたこともなかった。


「2人はイトコのつもりでもはたから見れば恋人同士にしか見えへんかったんとちがうかな?」


「だから今まで2人に交際申し込む人いてなかったと思うよ。」


「そ、そうかな~?」


明人は納得がいかない。


「今まで買い物行ったり、映画見たりするのはずっと2人でやったんでしょ。」


「そりゃ、まあ・・・・・・・・・・・」


「そのとき手つないだりしてなかった?」


「つなぐときもあったかな?」


真理子はちょっと呆れ顔で


「それって完璧恋人同士やん!」


「えっ、でも俺ら小さい時からそうやったし・・・・・・・・・」


「中学生の男の子と女の子が手つないで歩いてたら普通つき合ってると思わへん?」


「そ、そう言われれば・・・・・・・・・・」


「でしょ。」


真理子が念を押すと明人は力なくうなずいた。


それを見ると真理子は再びクスッと笑った。


「明人くんも結衣もいまどき珍しいぐらいオクテなんやね。」


「そう?」


明人は照れ臭さそうに頭をかいた。


「でもそういう純なところって素敵やと思うよ。」


真理子に面と向かって褒められ明人は顔が真っ赤になった。