「じゃあね、静也ありがとう。」


家を出たところで晶が礼を述べた。


「って、おいおいシュークリームごちそうさまは?」


横から拳が口を挟む。


「食べるときにいただきますって言うたやん!」


「あ~そうやって友達差別すんのん良くないねんぞ!」


「うっさい男やね!」


晶は面倒くさそうに顔をしかめた。


「じゃあ、俺帰るから。」


再びあやしい雲行きになってきたので、静也はそれを制するように声をかけた。


「うん、気をつけてね。」


晶はにこやかな笑顔で応えた。


「何かえらい態度ちがうねんな~」


拳が横で聞えよがしにつぶやいた。


晶はそんな声は無視して静也に向かって手を振っていた。


「んじゃ、俺も帰ろっと。」


拳は独り言のように言って歩き出した。


その肩を晶がつかんだ。


「ちょっと拳、まさか静也に何かするつもりやないでしょうね。」


拳は振り向くと


「そこまで俺、信用ないんか?」


真剣な眼差しで晶を見つめた。


そんな目で見つめられるとさすがに晶もバツが悪そうに


「そういうつもりじゃなかったけど、万が一って思ったから・・・・・・・・・・ごめん。」


「まっ、わかってくれたらええねんけどな。」


拳はそう言いながら晶の両胸をつかんで揉んでいた。


「な、何すんねん!」


晶は油断していたので反応が遅れた。


腕を振りほどいて攻撃しようとする前に拳は射程距離から離れていた。


「4回揉めたから、今日の3発のげんこつと今の言葉は水に流したるわ。」


拳はニヤリと笑った。


「このドスケベ!一瞬でもあんたに気を許した私がアホやったわ!」


晶は踏み込んで急所を狙ってキックを放ったが、拳は大きくステップバックしてさらに距離を広げた。


「そんな怒るなって、どうせ俺の物になるねんから。」


「あほかー!なんでそうなるねん!今度会ったら覚えときや!」


拳はそんな怒りの声に手を上げて応えた。