「ところでさあ。」
晶は極力冷静に話しかけた。
「何?」
「ええかげん変な噂流すのやめてくれへん?」
「変な噂って?」
「とぼけんとって!いつ私があんたの彼女になったんよ!」
「あぁ~。」
拳はわざと鷹揚な態度でうなずいた。
「別にええやん、俺らつきあってるみたいなもんやろ。」
「勝手に決めるな!」
晶は拳の顔面にハイキックを放った。
「おっとと。」
拳はスウェーでそれをかわし、空振りした晶の背後にまわった。
「俺とお前の仲やん。」
後ろから抱きつき両手で胸をさわった。
「ちょうど俺好みに巨乳に発育してくれてるし・・・・・・・・」
言いかけている途中で、晶に変形の背負いで投げられた。
そして再びアームロックに決められた。
「なめたマネしたら腕へし折るって言うたよね?」
晶は拳の腕をしぼりあげた。
「じょ、冗談やん、そんなマジで怒るなよ。」
晶はそれでも緩めない。
「マジマジ、折れる折れる、また何かおごるから機嫌直せって!」
拳は必死で晶をなだめた。
晶はそれを聞くとようやく腕を緩めた。
「今回は勘弁しとくけど、次はないよ。」
「それとちゃんと噂は消しといてや、私の学校にまで聞こえてるねんから。」
それだけ言うと立ち上がり更衣室に向かおうとした。
が、ふと立ち止まり
「ついでに着替え覗いたら目潰すで!」
「わかってるって!」
拳は苦笑いを浮かべた。
晶の着替えを覗いたのは1度や2度ではないからだ。
当然、そのときもボコボコにされたが。
だが拳は普通のカップルでは味わえない晶とのこういうコミュニケーションに幸せを感じていた。