※ 2017年1月27日に、記事を分かりやすく編集しました。
PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)が大流行している、ピコ太郎氏。
先日、PPAPが商標登録出願されているか気になり、ざっと調べてみたところ、下記2件の出願が確認されました。
商標①:PPAP(標準文字)
出願番号:商願2016-108551
出願日:平成28年(2016)10月5日
商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:
第9類「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」他、全8区分
商標②PPAP(標準文字)
出願番号:商願2016-112676
出願日:平成28年(2016)10月14日
商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:
第9類「レコード,録音済みコンパクトディスク,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音声・音楽ファイル」他、全13区分
商標②は、ピコ太郎氏の所属するエイベックス・グループ・ホールディングスの出願ですが、商標①は他者による出願です。
上記の通り、2つの商標は同一であり、指定商品又は指定役務も、その一部が同一または類似しています。
このような場合に、先願である商標①が登録されてしまうと、商標②は拒絶理由を有することになり、登録することができません(商標法第4条1項11号、同法第15条1号)。
ただし、実際の審査においては、ピコ太郎氏のPPAPのYouTube再生回数等に基づく著名性を鑑みれば、出所の混同が生じると判断される可能性が高いと思います(同法第4条1項10号または15号)。
また、商標①の出願人の過去の出願経緯などに鑑みれば、商標の使用意思がない(同法第3条1項柱書)と判断されたり、公序良俗違反(同法第4条第1項第7号)と判断されたりする可能性もあり、商標①が登録されるのは難しいものと推察されます。
したがって、他に拒絶理由がなければ、エイベックスの商標②の「PPAP」は、おそらく登録されることになると思います(「ペンパイナッポーアッポーペン」、「PEN PINEAPPLE APPLE PEN」についても同様)。
しかし、後願となったことのデメリットが全くないわけではありません。
特許庁の運用では、先願に係る商標が商標登録されることにより、商標法第15条第1号(この場合は、先ほどの先願登録商標と同一または類似するという拒絶理由)に該当することとなる場合には、あらかじめその旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることとされており、商標①の処理が終わらないと、商標②が登録されない可能性もあります。
ピコ太郎氏の動画が、Justin Bieber氏にツイートされたのが、9月27日。
CNNがニュースとして取り上げたのが、9月29日。
そして、商標①の出願日は10月5日、商標②の出願日が10月14日で、その差、わずか9日。
しかし、そのわずかな出願日の差で、早期登録が難しくなってしまった可能性があります。
商標①の出願人の行動が早過ぎたとも いえますが、商標登録をするのならば、エイベックスとしては、動画が人気になりつつあった時点で、もう少し早めの出願をすべきであったように思います。
最後に
昨年の公開商標公報出願人ランキングの1位・2位を、この人物とこの会社が占め、流行の言葉や人気のありそうな文字を出願しているので、商標出願をしようとしたら既に出願されていたり、出願後に交渉をもちかけられるということも増えつつあると思います。
しかし、先願商標も、登録されなければ、商標権に基づく差止請求や損害賠償請求などの権利行使をすることはできません。また、これらの膨大な出願は、印紙代が不払いだったり、拒絶理由を有する出願がほとんどです。
安易に出願をあきらめたり、交渉に応じたりせず、弁理士や知財に詳しい弁護士などに相談しましょう。
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